三「マキシム機関銃を使用したロシア軍に対し、日本軍はホチキス機関銃を使用した」
榴「実は日本軍も最初はマキシム機関銃を購入したんやけど、日本の歩兵銃用カートリッ
ジである三十年式実包ではなかなかうまく行かなかったんやな、これが」
歩「ほー、そりゃまたどうしてや?」
榴「マキシム機関銃は、空薬莢の排出と次弾の装填を、発射したときの反動力を利用して
行う。日本の三十年式実包は反動軽減のために、小口径の弾薬にしたわけやろ。つま
り反動力が足りなかったんや。そのせいで装弾不良が多発してしもうた」
三「そうしたところに、フランスからホチキス機関銃の売り込みがやってきたので、三十
年式実包仕様の試作を発注した。出来上がった機関銃は良好な結果を示したので、日
本軍はホチキス機関銃の購入を決めたんや」
歩「ホチキス機関銃は何で三十年式実包でも問題無かったんやろ?」
榴「それは作動方式の違いやな。ホチキス機関銃は火薬の燃焼ガスの圧力を利用して、空
薬莢の排出と次弾の装填を行う方式やった。これをガス圧利用方式というけど、この
方式のほうが威力の低いカートリッジでも確実に作動するんや」
三「現に、今日歩兵銃として使われているアサルトライフル。これはフルオート時の反動
を軽減するために、低威力のカートリッジが使用されているけど、現代のアサルトラ
イフルはほぼ例外無くガス圧利用方式になっているで」
歩「う〜〜〜む、フランスか。またしてもフランスの技術の勝利か」
榴「それとマキシムとホチキスの大きな差として、銃身の冷却のしかたが違っていたな」
三「マキシム機関銃は水冷式。ホチキス機関銃は空冷式や」
榴「冷却効率は間違いなく水冷式のほうが高いわけやけど、戦場において水というのは、
意外と貴重品なんや。タンクに水入れて持ち歩くだけでも負担になるしな」
三「そんなわけで水冷式の機関銃というのは、だんだんと廃れていくことになるんや」
榴「ちなみにロシア軍も水の入手には苦労したので、人間の体から排泄される液体で代用
したこともあったそうやで。ちょっと匂いそうやけどな(笑)」
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