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2016年03月29日11:22

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大砲(35)

19世紀は大砲にとって重要な発明がいくつかされた時期である。カノン砲で榴弾が撃て
るようになったペクサン砲もその一つ。次にやってきたのはライフル砲の普及である。ラ
イフルの効果はとっくの昔に知られていたし、小銃ではライフルド・マスケットもすでに
登場してその威力を知らしめていた。

問題は弾込めだった。ライフルド・マスケットの場合、紙や布のパッチを使って無理やり
押し込むという方法を採ったが、でかくて重い砲弾でそれをやるのは、ちょっと無理だ。
イギリス、フランス両国がほぼ同時にこの問題に取り組んでいる。

その理由はカノン砲で榴弾が撃てるようになったことにあるだろう。野戦における大砲の
使われ方というのは、カール・グスタフが確立したものだが、歩兵と共に進撃し、援護を
する。あくまでも主体は歩兵であり、大火力である大砲はその支援という位置づけだ。

これを変えたのがナポレオンで、ナポレオンはむしろ大砲を最前線に配置し、敵前線に集
中砲火を浴びせ、隊列に穴をあけてそこに歩兵が突っ込むという戦法を採った。この戦法
は大坂夏の陣で真田幸村が、火縄銃で集中銃火を浴びせて空いた穴に槍隊を突っ込ませた
戦法と似ている。日本の戦国時代、最大の軍事的天才も同じ発想を持っていたわけだ。

このナポレオン戦法は当然相手も真似る。榴弾が撃てるようになると、一発の砲弾による
損害が増大する。砲兵が最前線で撃ち合うのは、リスクが大きい。下手をすると最大の威
力を持つ兵器である大砲が失われてしまうことにもなる。

それを避ける最良の方法は、射程を長くしてアウトレンジすることだ。射程を長くする方
法として、最も有効と考えられていたのがライフリングだったということだ。

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