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2016年03月22日08:08

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軍艦史(51)

蒸気機関の登場は船にとって大きな進歩をもたらした。それまでの帆船だと、航行は風任
せの部分が大いにある。商船の分野では、常に一定の速度で航行できる蒸気船の登場は、
運送にかかる日数などを計算できるようになるため、メリットは大きかった。

しかし軍艦の分野では、なかなか蒸気への転換は進まなかった。一つには石炭の補給問題
である。蒸気船は石炭が無いと動かない。石炭をたっぷり積むと、戦闘用の砲弾なんかを
搭載する量が減ってしまう。それと当時の蒸気船は外輪船と呼ばれるものだった。外輪船
は船の横に木製の大きな歯車をつけ、これを蒸気機関で回転させ、水を漕いで進む。

言ってみれば、人間がオールを漕ぐのを機械化したようなものだ。さて軍艦の武器は大砲
だ。大砲というのは舷側に並べる。しかし蒸気船だと舷側には外輪がついている。砲撃す
るのには非常に邪魔になる。さらに、外輪を敵砲撃で破壊されたら、行動不能になってし
まう。まあ、以上のような理由で、なかなか軍艦の蒸気船化は進まなかったのである。

これを技術的に解決したのが、スクリューである。スクリュー自体は昔から考案されてい
た。おおもとはアルキメデスが発明した、とも言われているくらいだ。しかしイギリスで
は、蒸気船の推進用にスクリューを使うということは、海軍の抵抗が大きかったという。

その理由は、スクリューを取り付けるためには、回転軸を船底につける必要があり、船底
に穴を開ける必要がある。これがダメなのだ、というものだ。確かに船底に穴を開けると
いうのは抵抗がある、というのはわかる気がする。とにかく軍人と船乗りというものは、
保守的なものである。まあ命がかかっているのだから、目新しいものをそうそう簡単には
取り入れないぞ、というところだろう。

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