火縄銃は英語ではマッチ・ロックという。ロックというのは、火薬へ点火することをいう。
マッチは火縄だ。この方式の難点は、あらかじめ火縄に火をつけておく、といった準備が
必要で、これが面倒なこと。そして何よりも雨や湿気に弱いということだった。
17世紀のヨーロッパでは、マッチ・ロックに代わる点火方式が考案されていた。まずは
ホイール・ロックという方式が作られた。この方式はライターの着火方式と同じである。
金属製のホイールと、黄鉄鉱での着火石をこすりつけて火花を起こすものだ。
しかしこいつは主流にはならなかった。理由は仕組みが複雑だったことで、製造コストも
高くついたし、戦場での動作不良が多かった。そんなわけでマッチ・ロック式を完全に置
き換えるには至らなかった。
続いて登場したのがフリント・ロック式である。これは石英を主成分とする燧石を、金属
に叩きつけて火花を発生させる方式である。火薬が乗っている火皿の上には、蓋がしてあ
り、燧石を叩きつけるタイミングで蓋が開き、バネの力で元に戻る仕組みもついていた。
なので、発射時以外は火薬は蓋で覆われているため、雨にも強かった。
ホイール・ロックに比べると遥かに製造コストも低く、動作不良も少なかったため、この
フリント・ロック式が17世紀半ば以降、完全に主流となっていった。日本においては、
この時代は江戸時代に入っていて、徳川家による支配下にあったので、この方式の銃が量
産されたりすることは無かった。
国同士の領土争いが激しいヨーロッパにおいては、フリント・ロックの登場でますます銃
が主力武器となって行き、大量に作られることになった。
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