mixiユーザー(id:1682634)

2010年08月17日14:04

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「歴史の目的」の差異を認識すべき

私のマイミクにそういう人が多いせいか、ここしばらく歴史認識についての日記が多かったよーな?(笑) < ここ数日では「日韓併合を肯定する人に歴史を語る資格はない!」のあたりも。



現代において、自然科学の目的は「自然界の諸事象を正確に説明&予測する理論体系を構築すること」あたりで共通認識がありますが、社会科学の目的については必ずしも共通認識があるとはいえません。

例えば「法律は何の為に存在するのか?」については文化圏あるいは自治体ごとに様々な考え方がありますし、実際の法律体系も様々なものが構築されています。
だから、法律を学ぶ者は「法律の目的はどのようなものか?」と「法律の実際はどのようなものか?」とを学ぶわけです。これらを学ぶことで、「様々な学説が存在すること」を前提に条文を議論できるようになります。もしも学説の違いを考慮せずに条文だけを議論するならば、いつまでたっても埒があかないことでしょう。

社会科学の中でぜんぜん埒があかないものの一つに「歴史」があります。確かに、過去の出来事である「史実」は唯一ですが、史実の解釈である「歴史」はいくつも存在しています。
私は、埒があかない原因は「歴史の目的について共通認識がないこと」にあると考えてます。「歴史の目的は何であるか」という共通認識が存在しないのに「具体的な歴史の記述」の共通認識を見いだすのは原理的に困難だからです。



世の中には「良い歴史とは、史実をより正確に記述したもの」(ここでは歴史学と表記します)と信じ込んでいる人もいますし、「良い歴史とは、交渉がより有利になるよう記述したもの」(ここでは歴史術と表記します)と信じ込んでいる人たちもいます。「歴史学」においては根拠を元に歴史を記述しますが、「歴史術」においては歴史にあわせて根拠を編集します。

ある文化圏で歴史学が発達するためには、長い伝統に基づく解読可能な現存資料がたくさんあることが必要です。たくさんの資料があれば捏造や隠蔽は困難になり、歴史術の有用性が減ります。逆に言えば、解読できる現存資料が少なければ少ないほど捏造や隠蔽が容易になり、歴史術の有用性が増します。

歴史術においてはプロパガンダが重要になります。都合のいい根拠だけを大声で繰り返すだけでなく、相手の発言を封殺したり、自国や周辺国のマスコミや教育界に介入するのも当然のこととされましょう。

興味深いことに、歴史学者からは「相手が捏造している」ように見えますし(あるいは捏造に気がつかないかも知れませんし)、歴史術者からは「相手も捏造している」ように見えます。



日本人はもっと「歴史の目的」の差異を認識すべきだと思います。具体的には「捏造することは正当だと信じている歴史術者たちが存在する」と知るべきです。さもなければ、ずっと長いこと水掛け論が続き、やがて交渉力が強い側の言い分が通ってしまいましょう(あるいは、通ってしまいました)。< 法律界に喩えるなら「悪徳弁護士を批判するだけではなく、彼らに対抗できるようになるべし。判例は勝者によって作られます」です。
感情的な対立の可能性を減らすためにも、重要なことだと思います。
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