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2019年11月19日09:43

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ギリ3島(インドネシア14)

 ここはバリ島ではなく、東隣のロンボク島に所属します。でもバリのパタンバイから高速フェリーで行けるのですよ。
 バリ島クタ地区のホテルまで迎えに→パタンバイ港→ファストボートでギリ・トラワンガン、というトランスファーチケットがそこいらの旅行会社で売ってます。5000円くらい。
 これねえ、便利なんだけど、確かに便利なんだけど、「乗り継ぎがある。てことは1日がかりだな」と溜息ついた私の予想は大当たり。「10時にホテルへ向かいに行きます」と言ってたのに9時には来ちゃうし、パタンバイ11:00着なのにボートは14:00発(しかも遅れて実際は15:40発)。予定所要時間を合計すると4〜6時間で行けるはずが、案の定、10時間近くかかりました。
 客を置き去りにしないだけインドネシアは良心的だと思おう。そうでも思わないとやってらんねぇ。荷物運搬も、荒っぽくはありますがちゃんとやってくれます。まあ、ここをやらかしたら、私はともかくパワフルな欧米人観光客の皆様がものすごい勢いで抗議するだろうからね。あの人達の辞書に「泣き寝入り」の文字はない。

 複数のファストボートが行き来するのに、バリ島パタンバイ港の桟橋は一本だけです。しかも幅5mくらいで、抜け目なく物売りが居座ってます。
 そこに往路客・復路客が一斉に殺到し、合間に給油車やバイクが行き来するとなると‥‥
 うん、阿鼻叫喚だよね。なんでロープを張って通行を整理しないの?と思うけど、それは日本人の発想なので封殺。カンボジアのファストボートの方が全然スマートだったな、とちらりと頭をかすめるが封殺。
 待合室?待合パティオ?で「はい、ボートが来るから桟橋に移動ね!」と言われてから優に2時間、かろうじて日陰になる場所は確保しましたが、この立錐の余地がない場所で待機してました。待ちきれなくて物売りからビールを買い占めた挙句に奇声を上げる欧米人、「引越する気か」というサイズのスーツケースを連ねてバイクの通行を妨げるインド人、脇目もふらずにいちゃいちゃ‥‥いやもはやそれはペッティング‥‥する欧米人。なんでしょうコレ。なんかの罰ゲームでしょうか。
 もうね、悟りを開いたブッダのスマイルになってたと思う、私の顔。
 それにしても欧米人多いな。

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 理由は到着した瞬間に分かりました。
 なんだこの、エセ欧米マリンリゾート風な島。ピザ屋、アイスクリーム屋、ビーチバー、まさかのジムだのヨガスタジオだのまで完備の、徹底鉄美、欧米観光仕様。島全体が、インドネシアの常識を裏切って、ひたすら欧米人が求めるレジャーで溢れかえってる。
 そして高い。普通に先進国で「それしたかったらこれくらいは払え」値段。ジャワ島とは5倍くらい違います、えええ、ナニコレ!?
 甘いものが食べたくてコーンにアイスクリームを盛ってもらって330円を払った私、茫然。どこでもドアでいきなり欧米に飛ばされたみたいです。さらに非現実感を煽るのが、酒を出す店でヒジャブ女子が働いていること。いや、それはない、それはないから。

 なんやねんなココ―――!?

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 調べてみると、「パーティーアイランド」というものらしいです。
 欧米の価値観に慣れた人達が集まって、昼はビーチで遊び、夜は酒で遊ぶ、という、それれだけの島。産業は観光に特化し、多少の無理(生パスタとか)は平気で受け入れられてしまう地域。
 しかし、欧米の料理より東南アジアのご飯の方が全然楽な私は大苦戦。酒が飲めるのは嬉しいよ、でもメシは、ここまで来てハンバーガーとか食う気ないよ!!
 裏道を捜し歩いて、どうにか「そこで働いている人達がご飯を食べる食堂」とか、「そこで働いている人が頼む屋台飯」をゲット。しかし、今度は酒が置いてないのだよね。
 食事ができて酒も飲める飲食店、というのはバリ島onlyのようです。居酒屋‥‥居酒屋が恋しい‥‥

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 シュノーケルのアイランドホッピングで、偶然に一緒になった日本人男性との会話。なんと通常の社会人で、南国でのんびりする為だけに休暇5日だけでここまで来たとのこと。
「よく見付けましたね、こんなマニアックな場所!?」
「中国人が居ない場所を探していたら偶然に‥‥」
 あー‥‥確かにね、バリ島中心部のクタはもう簡体字が氾濫してる感じがあるよね。
「代わりにヨーロッパ人だらけですけど?」
「いいんです、中国人さえいなけりゃ」
 何があったんだ。
 私は、中国人が多い所ではいつも、「ニーハオ」と言われる度にニッコリ「こんにちはー」と返して、『あ・やべ、日本人だったわ』という隙を突いて値切ったり、日本人特典を満喫しております。なんかね、彼らの観光態度が酷いせいで、相対的に昔色々やらかした日本人の評価が上がってる感がひしひしと。「分かった、あんた日本人だから!日本人は好きだから負けたる!」と何度言われたか。
 そしてちょっとずつ覚えていく言葉の切れっ端。
「サヤ・オラン・ジェパン(私は日本人です・インドネシア語バージョン)』
「お客さんこっちの言葉話せるの?」
「『サヤ・セオラン・アポテーカー(私は薬剤師です)』『サヤ・ナーメ・ヒサ(私の名前は久です)』。合ってる?」
「いいね、他は?」
「ごめんなさい、あとは挨拶しか――あ・今、パンダワの像あった!五人兄弟揃ってた!!」
「おおっよく知ってんね――!?」
 日本人特典?むしろ神話オタク特典だったな。

※サヤが一人称。次に来るのは動詞?と思ってたけど、ちょっと待て、オランてオラン・ウータン(森の人)の「人」って部分じゃん!
 多分、「私は」「の人」「日本」、「私は」「してる人」「薬剤師」、「私は」「名前が」「久」という単語の並びじゃないかな?と思います。
 しかし島国‥‥というか、元々はてんでバラバラだった王国・人種の名残で、統一言語であるインドネシア語をいくら学ぼうとしても、現地の人はジャワ語・バリ語で話しているこの徒労感。
 じゃあもう英語でいいんじゃね?となったインドを思い出す。アソコはこのお陰で外国人がどうにか旅ができる有難い国だ。

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わーっと欧米人が押し寄せて、現地が「よっしゃチャンス!」とそれに乗ってしまった場所で、素敵なシュノーケルができるはずもなく。
 私が見たのは、大量の死んだ珊瑚と、それでも生きようとする少しのハードコーラルと、餌さえありゃどーでもいい感じの熱帯魚の群れと、一匹の大きな海亀でした。
https://www.youtube.com/watch?v=Kc3q4tWJeYs&feature=youtu.be

 ‥‥そーなの、カメがいたの。それだけで全部チャラにしちゃうくらい嬉しい、私カメと一緒に泳いだよ!て現実は。
 対象物がないから分かりづらいけど、体長1mくらい。そして、あの形状でなんであんなに早いんだ、泳いで追い掛けてる私は完全に息が切れてます。
 しかし亀って両生類だよね?なんで浅瀬に居ないの、なんでサクサク泳いでるの?という疑問は、しばらく追っかけてって分かりました。クジラやイルカと同じで、たまに水上まで上がっていくんですよ。そこでちゃちゃっと空中でしかできないことを済ませて、また潜る。
 うわわわ、ちょっと待って、付いていけない、その速さ。
 ボートに戻った私は、疲れたあまりへたり込みました。亀‥‥すげえ‥‥

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 宿泊料金も全体に割高で、そして場所重視で選んだ宿はコロニアル式の建物の廃物利用。
 コロニアル式って言うとマイルドな響きですが、訳すると「植民地式」です。植民地の暑さにうんざりした欧米人が作った建物です。特徴は、部屋が広い・天井が高い・温度湿度管理を分かってない人達が作ったから石とモルタル造りで窓が小さい。土地のない日本人からすると豪華に見えるんですが、これ、実はビックリするほど昼暑くなり夜も涼しくならない地雷物件‥‥
 ので、当然エアコン付きを指定します。正解でした、風邪引いちまって、3泊4日の内2泊3日は寝込んでた私、エアコンなかったら干からびてたわ。

 インドネシアは7月現在真冬。「赤道直下で真冬!?」としばらく信じられなかったのですが、冷たい海流がオーストラリアの方から流れてきていると聞いてよくやっと納得。そうなんだよ、海が冷たいの、もうめっさ冷たいの。上がったら即座にラッシュガードを脱いで(気化熱防止)日光浴しないと震えが止まらないくらい冷たいの。
 詐欺だバリ・ハイ。<ミュージカル『南太平洋』の中で一番有名な曲。同じ名前のインドネシア産ビールがあって、ホップの香りが素晴らしい。売切れてる事が多いんだけど、見かけたらオススメ。

 風邪っぴきとしては、この“パーティーアイランド”、24時間営業のコンビニが存在してくれて大変に助かりました。真夜中や朝(欧米人ども、夜中の2時3時まで騒いでるので、他の店が開くのが非常に遅い)に水が尽きた時とか、他の場所だったら途方に暮れたと思う。

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 ギリ三島が所属するロンボク島自体は、また酒売ってないイスラム圏に戻るので、ほんっとココだけ変な発展の仕方ですよ。
 私は‥‥うん。好きではないです、こういう所。
 旅というのは、そこにしかないものを見付けに行く行為だと思っているので。なんで暑い国に、エアコンの効いたジム施設を作るの?とか、全く理解できないです。自分の国と同じことをやりたいのなら、自分の国に居ればいいのに。と思います。
 そして、外貨獲得を目当てに、そういう場所を提供してしまう行為も、好きではないです。日本のカジノ法案に対する反発に近いかな。「外貨獲得をキッパリ選んだのは分かるが、そこに屈辱はないのか」という感覚。
 私は異国の文化を尊重する為にその国へ行きます。前提として、自国に尊重されるべき文化が在るというのが背骨になっています。わたしとあなたは違う。違うけれどお互いに素晴らしい。そういう感覚が、旅を楽しむ大前提だと思うんですよね。


 だから、ギリは私が行くべき場所ではなかったのだと思います。
 すいません、あまりの拒否感に、街並みの写真が一枚もありません。
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