インドネシアで最も有名な世界遺産。
昼間に行くと観光客の群れで情緒もへったくれもない、という前情報があったので、マノハラホテルが開催する「サンライズツアー」に参加しました。ツアーと言っても、特別に日の出前に入場できて、懐中電灯を貸してくれて、ビュッフェ式の朝食が付いてくるよ。ってだけの、ガイドさんも何もないオールフリーなやつなんですが。
https://www.manoharaborobudur.com/en-gb/new-page
しかし、通常の入場料が$25、サンライズツアーは3600円くらい。一生に一度の機会、それくらいの差額なら払いますよ。
ちなみにこのツアー、入場券を持っていれば当日内なら再入場可能。その気になればサンセットも見れちゃいます。私は日中が暑くてグロッキーだったけど。
ジョグジャカルタからは60kmくらい離れているので、サンライズツアーに参加するには事前の一泊が望ましいです。周辺の小さい遺跡にも行きたかったら+αね。
せかせかしたくなかったので、田舎町ですが2泊しました。ここ、すっごい夜が涼しい!日中は30℃越えなのですが、16℃くらいまで下がります。風邪注意。
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世界的な有名観光地は、「まぁ行ってみなされ、行きゃ分かる」派なので、多くは語りますまい。
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ただ、詳しい説明が手元にあるかないかで大違い。仏陀の生涯(の、何故か前半部分のみ)が、第一回廊に120枚のレリーフになってるんですが、摩耗・損傷が激しいので、「そこに何が描かれているか」を知らないと、漫然と流しちゃったりするんですよ。ガイドさん付きでも同じ、重要ポイントしか説明してない。1/10以下です。
この問題は日本を出発する前から頭にはあったんですが、専門書を持っていくとかは重量的に嫌だ。てな訳で、「きっとある」と前日に、近隣の小規模遺跡を巡りながらお土産物屋で探したのが、まだ日本人が多く訪れていた頃の、日本語が書いてある古い写真集。
ほい、見付けた。(昔は、英語が苦手なフランス人と日本人観光客の為に、3ヶ国語で書かれたガイドブックがよく置いてあったのさ)
ちょい高いんだが必要経費。いや、ビックリしてつい値切っちゃったけど。
120枚のパネルも全て説明してあって完璧。「写真を見てそれを確認する」みたいな事になったらイヤなので、詳しくは読まないで見学時に持参します。
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ボロブドゥールは五層の段になっていて、第四回廊までは正方形、第五回廊でいきなり円形に変わります。巨大でしかも丘の上にあるので、全景を写真に撮るのは不可能。それがやりたかったらちょっと遠い丘まで行かないといけません。
平安時代に、よくこんなデカいの作ったよ。
しかも、第一回廊外部は、途中から「あかん、強度が足らんわ」と、レリーフを埋め込んで補強の石積みで覆っちゃった。東南の隅だけわざと本来の姿を剥き出しにしてるので、設計者の頭にあった本来の姿が想像できます。うん、これ、上の重みに耐えられなくて下から崩れるね(笑)
他にも、第五回廊に三段に分けて配置されているストゥーパの中には一体一体仏像が収められているとか、見ただけじゃ分からない部分が多数。一通り見学してから購入した本を読んで、慌ててまた登りました。
持ち去られていたり頭部が欠けていたりするので、綺麗に残っているのは72基の中の二体だけでした(全部覗いたさ!)。あと、ストゥーパが紛失して剥き出しになっているのが一体。
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三段の一番下は不安定を示し、ストゥーパを形成する石も◇型です。
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その上の段は安定を示し、ストゥーパは□になります。
そして最上段の巨大な一基は完全を示し、一切の窓がありません。
この中に納められていた仏像は博物館の方にあります(写真撮影不可‥‥)。しかし、「完全」であるはずのそれは、何故か未完成なんです。
全ては流転する、完全なものなど何もない、という仏教的世界観を示しているのでは?という解釈が有力なのですが、証拠はナッシング。
とにかく謎だらけ、由来も制作方法も目的も全く不明な、世界最大級の仏教遺跡。
そこから見る真ん丸な太陽は、それはもう見事に美しかったです。
※昼と夜の温度差が激しいので、どうしても毎日霧が出ます。そして真東の方向には標高の高いブロモ山が聳えています。なので、日の出がくっきり見えるかどうかは運。各地の天気予報を睨みながら、これの為に2泊したのでした。
ちなみにちゃんとしたカメラじゃないと朝日を撮影するのは難しく、私は安物の水陸両用カメラのレンズ前に、サングラスをかませて撮るという裏技を使いました。
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