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2018年11月14日15:17

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沖縄、名護にて 13 ― 阿波根昌鴻さんのこと 1

名護では、たった三日という短いあいだに、阿波根 昌鴻(あはごん しょうこう)さんの名前を四度も聞いた。
最初は、宜野湾市へ連れて行ってくれた比嘉末美さんからだ。阿波根昌鴻さんの「非暴力・不服従」の抵抗の精神が、辺野古や高江でいまもしっかり受け継がれていることを、彼女が誇りに思っているのが、話しぶりからよくわかった。

わたしにとっても、阿波根さんは、40年近く前に沖縄へ行ったときに名前を知って以来ずっと気にかかる人で、mixiの日記でも何度か、その非暴力の陳情規定などに触れたりしていた。
だけど、今回の旅ではじめて、伊江島の想像を絶する惨状や受難と、阿波根さんの平和を求める不屈の精神、また宗教家と呼びたいような端正な一面や、おっとりとした陽気で楽しい雰囲気が、ようやくすうっと重なった気がする。
翁長雄志前知事と玉城デニー知事、そして名護や宜野湾でお世話になったみなさんのおかげだ。


阿波根昌鴻さんの経歴や考え方、功績については、Wikiなどにも載っているし、岩波新書になっている著作など、読んでもらえたらうれしい。
でも、できたら、不屈の精神とミスマッチな(速度を1.5倍にしてもいいくらいの)のんびりとした語り口を知ってほしいので、YouTubeの講話、おすすめします。

1995年6月22日、敗戦50年の沖縄慰霊の日の前日のお話。(当時94歳)
https://www.youtube.com/watch?v=JO5jne1X9SA&t=2784s

ちゃんと分かりたくて、文字に起こしてみました。
https://bit.ly/2Fm3meN (Facebook Note)

数々のお話や著作の中から、すごく好きな箇所を写していきたいと思う。
が、その前に一つだけ。
YouTubeの講話を聞いてもらえたらすぐにわかるけど、阿波根昌鴻さんは、ご自分のことをずっと「わたし」って言ってる。すこし改まったときは「わたくし」だ。
それなのに岩波の『命こそ宝―沖縄反戦の心』では、一人称はすべて「わし」。
これは一体全体どうしたことだろう? 新書の出版は1992年10月で、90歳のとき。講話は1995年、3年しか違わない。
ちなみに、1973年に出版された『米軍と農民 沖縄県伊江島』(岩波書店)では、「私」で統一されている。
『米軍と農民』が若干堅かったから、『命こそ宝』では、おしゃべりしている感じを出したかったのかな?
それにしても、実際のおしゃべりの声を聞いたあとで読み返すと、『命こそ宝』の「わし」って違和感ありまくりだ。
いつか、「ヌチドゥタカラの家」の謝花悦子さんに伺ってみよう . . . 。


閑話休題。
好きな言葉 . . . 1955年の「陳情規定」関連から、すこし。

「反米的にならないこと」
「この不幸な土地問題が起きたのは、日本が仕掛けた戦争の結果であり、我々にもその責任があることを忘れず、米国民を不幸にするようなことはつつしむこと」

アメリカとの戦争で、伊江島の友人や子どもたち1500人以上をも殺され、一人息子も失っている。こつこつと買い広げた土地はすべて接収され、家も焼き払われた。それなのに、自分にも責任があるって、アメリカの悪口は言わないって、胸がつまる。
そして、
「沖繩人同志はいかなることがあっても決してケンカはしない」

これは、辺野古で非暴力の抵抗運動を続けている仲本船長たちにも、しっかり受け継がれている。わたしが連れて行ってもらったときも、キャンプ・シュワブのゲート前の警備の人たちにちゃんとあいさつしてた。
そして、「この人たちは”敵”ではないわけさ、絶対に敵ではないんだよ」って言ってた。

もう一つの大好きは、阿波根昌鴻さんの、詩のような次の言葉。『命こそ宝』より。
.

この伊江島はね、海も動いているし、生きておる。こうして木を見ていますとね、風は三味線(三線)ですよ。静かな三味線をひくと、木の枝はみな、クミウルイ(組み踊り)する。あれは王様の前で踊る踊りですね。
三味線という風が力強く吹くと、沖縄のカチャーシー、庶民の元気踊り。そして、木によって踊り方がみな違う。木の葉が大きい木の踊り、木の葉が小さい木の踊り、みな違う。
それも見事。

天を見たらですね、雲がどんどん動いて、いろいろな形に変わる。船になったり、ライオンになったり。
それもまた見事。

何でも生かしていかなければならない。
戦争のない平和な島をどうしても作っていかなければならない。
―― そう強く思っております。

(つづく)

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