あらすじ
イギリスのチェンバレン内閣は、融和外交の失敗の責任を取らされて解散。主戦派のチャーチルが代わって首相に就任するが、国王からの信頼も薄ければ、議会での求心力も弱く、そのうえイギリス軍はダンケルクに押し込まれて全滅の危機。フランクリン・ルーズベルトにも支援を求めるが、これが全く役に立たない。
閣僚になっていたチェンバレンとハリファックスは、ここぞとばかりにチャーチルを突き上げて、再びドイツとの和平(実質的には降伏)への流れを作る。
にっちもさっちもいかず、和平案を飲む寸前にまで追い込まれたチャーチル。しかし、それまでハリファックスにベッタリだった国王が、突然チャーチルの家にやってきて、チャーチルへの100%の支持を表明。
国王から「国民の声を聞け」というアドバイスを受けたチャーチルは、産まれて初めての地下鉄体験。その地下鉄で話した市民たちが、皆一様にナチスへの降伏に反対であった事に勇気づけられ、議会での演説で徹底抗戦を表明。議会もチャーチルを支持し、和平の流れは完全に御破算。
ダンケルクの撤退が奇跡的な大成功を収めたこと、チェンバレンが病死・ハリファックスが左遷されたこと、5年後にドイツが降伏したこと、戦後の総選挙でチャーチルが負けたこと がテロップで流れておしまい。
感想
ほぼ同時期に上映された二本のチャーチル映画のうちの、メジャーな方。マイナーな方がノルマンディーまでの数日を描いたのに対して、こっちは首相就任からダンケルクまでの話。
作中にナチスの悪が全く描かれていないのに、作中人物たちが「ナチスに屈したら世界は終わりだ」と一方的に盛り上がって、そのままフィナーレ。まぁナチス=絶対悪という共通認識のある欧米の人たちなら違和感なく見られるのだろうが、そうではない私なんかだと置いてけぼり感があった。
宥和政策の失敗も詳しく描かれていなかったわけで、あれだとチェンバレンとハリファックスの方が、よほどマトモに見えるのだよなと。
それに比べるとマイナーな方のチャーチルは、ガリポリで多くの兵士を死なせたことへのトラウマで苦しむという、比較的分かりやすければ共感もしやすいキャラ付けだったので、置いてけぼり感は薄かった気がする。映像美はもちろんメジャー側が圧倒なのだけれども、見ていて面白かったのはマイナーな方だなと。脚色が多いのは、メジャーもマイナーも一緒。
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