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2021年02月27日10:57

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【拳闘】井岡×田中

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ

王者 井岡一翔(31)
身長165cm
リーチ169cm
27戦25勝(14KO)2敗

元WBA、WBC統一ミニマム級王者(日本最速での統一王者)
元WBAライトフライ級王者
(日本最速での2階級制覇)
元WBAフライ級王者
(世界最速での3階級制覇)
現WBOスーパーフライ級王者
(日本初の4階級制覇)



同級1位 田中恒成(25)
身長165cm
リーチ167cm
15戦全勝(9KO)無敗

元WBOミニマム級王者
(日本最速プロ5戦目での戴冠)
元WBOライトフライ級王者
(日本最速8戦目での2階級制覇)
元WBOフライ級王者
(世界最速12戦目での3階級制覇)
そして今回16戦目で4階級制覇を達成すれば、オスカー・デ・ラ・ホーヤの24戦目を超える世界最速記録となる。



両者の肩書きを並べると、まさに壮観としか言い様が無い。鳥肌が立つ様な凄いカードである。ボクシングを観続けて40年くらいにはなるが、まさかこんな記録を打ち立てる日本人ボクサーが現れるとは。しかも2人。そして、その両者の戦い。
夢でも見ているかの様な大晦日の夜。まさか酔い潰れて本当に夢を見てるのでは、と頬っぺたをつねりたくなる様な、そんな夢の対決で2020年は暮れようとしていた。

数々の最速記録を打ち立て、遂には日本人初の4階級制覇を成し遂げた井岡一翔。
その井岡の背中を追う様に、その記録を次々と塗り替えて来たのが田中恒成。
井岡にとっては自身4階級目となるスーパーフライ級タイトル、2度目の防衛戦。
田中にとっては、4階級制覇を達成して井岡と並び、そして『世界最速』なる新記録によって井岡を超えることになる一戦。
ボクサーに『負けてもいい試合』など存在しないが、両者にとってこの一戦は特に重要だ。
年齢の壁が迫りつつある井岡は、負ければそのまま引退へと追い込まれる可能性がある。
そして田中。負ければ連勝記録は止まり、『無敗』の看板も下げなければならない。何より、『世界最速での4階級制覇』をアピールできなくなる。
この先更なる複数階級制覇や他団体統一などをネタに、世界の舞台に飛躍したい田中にとっては大きな大きな試金石。まさに人生のターニングポイントである。

もう1つ気になるのは、この2人は全くと言って良い程に同じ道を歩んで来た事だ。身長は共に165cm。キャリアのスタートはミニマム(47.6kg)級。そこからライトフライ(48.9kg)級、フライ(50.8kg)級と順調に3階級を制覇し、井岡がスーパーフライ(52.1kg)級を獲って日本人初の4階級制覇を成し遂げた。そして田中が今、井岡に追い付こうとしているのだ。
追い付かれるのか井岡一翔。
追い付くのか田中恒成。



1R
リング中央で向き合う両雄。まずは挨拶代わりとばかり、いきなり踏み込んでの田中のワンツー。ハンドスピードに定評のある田中だが、改めて見ても凄まじい速さ。何よりも強く感じたのは獰猛さだ。この一撃で仕留めてやろうとの強烈な闘志がほとばしる。
ガードの上からでも衝撃が強かったのか、田中の圧力に押される様に井岡が後退。勢いのまま田中は井岡をロープまで詰めて連打。
『え〜っ!まさかこのままKOか?』と一瞬ヒヤリとする。
井岡は左をボディから顔面へと連打して反撃。
しかし田中のパンチはキレてる。左ジャブからのアッパーはガードを縦に割って井岡の顔面をかすめた。
中盤から距離を掴んだ井岡のジャブが面白い様に当たり出し、ペースを掴みつつある。田中のパンチは貰わず自分のパンチを当てる絶妙な距離感。左ジャブから左フック、ボディと細かい連打を繰り出す。

井岡10-9田中



2R
リング上は凄まじい緊張感が漲っている。踏み込みのスピードとハンドスピードが合わさり、田中の攻撃は電光石火。軽量級とは言え、当たれば1発で終わる様なパンチが唸りを上げて飛ぶ。
しかしそこにカウンターを合わせる井岡の動体視力と瞬発力。冷静にタイミングを見る緻密さと、実際にカウンターを狙いに行く度胸。
観てるこちらまで、思わず息が止まる。
後半に井岡の右ストレートがヒット。

井岡9-10田中



3R
田中のハンドスピードが圧倒的ではあるが、要所で井岡の細かいパンチもヒットしてる。
最終盤に田中の右クロス。
俺はこの試合、田中の圧勝と予想していた。田中のスピードに井岡はついて行けず、相打ちでもパンチ力は明らかに田中の方が上だ。序盤は特に有利だろう。試合が長引けば井岡の技術や経験が活きてくるだろうが、スタミナ面でも若い田中の方に分があるかもしれない。
ここまでは予想通り田中がリード。しかし井岡も非常に上手く戦っている。

井岡9-10田中



4R
田中の連打は非常に速いが、井岡は次第にリズムを掴み始めて来たか、ダッキングやウィービングなどで絶妙に外す。かわし損なっても井岡の右のガードが高く、クリーンヒットには至らない。
中盤に井岡が右のダブル。2発目がクリーンヒット。
終盤にも井岡の右が伸びる。

井岡10-9田中

井岡38-38田中



5R
潮目が変わった事を肌で感じたのか、田中が少し荒々しい。非常に緊迫したラウンド。踏み込む井岡の右をスウェイバックでかわし、左フックから右ショートでカウンターを取る。
終了間際、井岡の左フックがカウンターでクリーンヒット。田中がすってんころりとダウンする驚きの展開。立ち上がるも明らかにダメージがありそうだ。前のラウンド辺りから見られた鼻血が激しくなる。

井岡10-8田中



6R
中盤にまたも井岡の左フックがカウンターでクリーンヒット。再現Vの様に田中が尻餅ダウン。
立ち上がった後は打ち合いに応じ、猛反撃で逆に井岡をグラつかせる。

井岡10-8田中



7R
井岡の連打。上下左右への打ち分けと強弱でバリエーション豊富。
田中の左ボディ。
終了間際に田中がスイッチ。

井岡10-9田中



8R
またもや左フック。またもやカウンターだ。井岡の右からの左フックが田中のアゴを直撃。1発で意識が吹き飛ぶ様な強烈なパンチで田中の足は完全に止まり、上半身がグラリと揺れた。倒れはしなかったものの、それはあくまでもその時の身体の流れ。これは『効いた!』なんてレベルではない。思わず画面に向かって『危ない!』と叫んだ。と同時にレフェリーが田中に抱き着き、井岡のそれ以上の打撃から彼を守った。
井岡一翔、超強敵である田中恒成を鮮やかなノックアウトで退けた。



まず最初に、良い仕事をしたレフェリーを称賛したい。普段K-1のクソみたいなレフェリングにやきもきしてる身としては、さすがボクシングのレフェリーは違うなと改めて感じると同時に、田中恒成がケガ無く(少なく)リングを降りられた(であろう)事にも感謝したい。おかげで我々は、この敗戦から立ち直った彼の更なる飛躍を期待できるのだ。
K-1などは『2本の足で立ってさえいれば闘わせてOK』と勘違いしてる様だが、当然ボクシングはそんな野蛮かつ危険な事はしない。意識が朦朧としていたり、相手を見ていなかったり、自分で自分の身を守れない状態となった時点でボクシングのレフェリーは試合を止める。そんな状態で殴り合う(と言うか、一方的に殴られる)のは極めて危険だからだ。特にボクシングは打撃が頭部に集中するので尚更である。

いやはや、それにしても恐れ入った。井岡一翔の世界戦は殆ど観てるが、全く底の見えない男である。巧いボクサーである事は判っているつもりだったが、こんなにも『強い』ボクサーだっただろうか。解説陣からも幾度となく『対応力』の高さを評価されていたが、それは驚くべき能力だ。前半で制空権を握っていたのは確かに田中だった。踏み込みの速さ、パンチのスピードで、仕掛けていたのは田中の方だった。攻勢によりポイントも取っていたはずだ。しかし要所でのカウンターや意表を突くタイミングでのジャブなど、クリーンヒットは初めから井岡の方が多かったかもしれない。4ラウンド辺りからは田中の攻撃は井岡のディフェンスに吸収され、要所で小さいながらも鋭いカウンターがコツコツと当たってダメージが蓄積した。
それにしても、3発共左フック。全てがピンポイントで正確にアゴを打ち抜いており、タイミングも完璧だった。田中は見えてなかったのか、何らディフェンスできずに直撃を受けた。なぜ井岡が3回続けて同じパンチをクリーンヒットできたのか、なぜ田中が3回続けて同じパンチを貰ったのか、俺には判らない。ただ、あの田中の嵐の様な攻撃の最中に放たれた左フックが、技術と経験に裏打ちされた職人技であった事は間違い無い。
柔よく剛を制した井岡一翔が、宣言通り『格の違い』を見せつけた。

井岡が井上尚弥と対戦したら、果たしてどんな展開になるだろうか?それまでは、井上はあまりにも次元が違い過ぎて、全く誰も歯が立たないと思っていた。しかしこの一戦を観て考えが変わった。
正直なところ、井岡が勝つとまでは思ってない。だが、何か起こしてくれそうな予感がする。そんな事を本気で想像したくなる一戦だった。
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