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2020年11月13日20:42

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【拳闘】井上×マロニー

2団体統一タイトルマッチ

WBAスーパー、IBF世界王者
井上尚弥(日)27歳
19戦全勝(16KO)無敗
身長165cm
リーチ171cm

WBA2位、IBF4位、WBO1位
ジェイソン・マロニー(豪)29歳
22戦21勝(18KO)1敗
身長165cm
リーチ165cm

マロニーはWBSSトーナメントでエマニュエル・ロドリゲスに負けてる選手だが、この大会はご存知の様に、各団体のチャンピオンやランキング上位の限られた者しか参加できないハイレベルのトーナメント戦で、それに選ばれたというだけでも、世界トップクラスの実力者の証明である。初戦敗退とは言えあのロドリゲスを相手に12ラウンド判定まで縺れ込んでるんだから、その実力に疑いの余地はない。井上本人や解説陣の話によれば、脚を使ったアウトボクシングもできるし、接近してのインファイトもこなし、1発の破壊力はそれ程ではないにしても、回転力により86%という軽量級離れしたKO率を誇る。身体もガッチリしており打たれ強さもあるようだ。走攻守が揃った隙のない選手の様である。
双子の弟はスーパーフライ級の世界チャンピオンだそうで、血筋も良い様だ。

それにしても驚いたのは、この試合がメインイベントに組み込まれた事だ。現在のボクシングの世界は、勿論アメリカのラスベガスを中心に回っているのだが、しかしアジアを中心とする軽量級の中心は日本だ。東南アジアの強者達が一攫千金を狙って日本に集結し、それを日本勢が迎え打つ図式。南米からの刺客も目を光らせている。
その日本で、一際輝く一握りのボクサーだけがラスベガスに呼ばれる。俺の記憶では西岡利晃が日本人初だった気がするが、あの山中慎介や内山高志でさえもベガス進出は果たせなかった。それを、もっと軽い階級で、しかも1発目からメインイベンターの座をゲットした井上は本当に凄い。



1R
マロニーはどんどん前に出て来る積極的な仕掛け。左ジャブがかなり速く、噂通り回転力のありそうな選手だ。
井上は脚は動いてるけど少し硬いんじゃないか?まだ様子見だとは思うがハンドスピードは速くはない。ボディストレートやカウンターの右が浅くヒットし、マロニーの鼻が早くも赤い。
積極的なのはマロニーだが、的中率で井上。

井上10-9マロニー



2R
マロニーはガードも固く、脚がよく動くので捉えるのは難しそうだ。
井上の左ジャブは非常に重く威力がありそう。クロスもヒット。

井上10-9マロニー



3R
距離やタイミングを見切ったか、井上がガンガン圧力をかけて前に出る。
右アッパーの空振り、直後に右ストレート。両者踏み込んだ時に井上の右アッパー。頭をくっつけた状態から右アッパーのダブル。明らかに狙ってる。バックステップしてマロニーが出た所に、引っ掛ける様な左フック。
前傾して頭から相手の懐に踏み込み左アッパーを狙う。少し強引な攻めで被弾も増える。

井上10-9マロニー



4R
ゴングと同時に飛びかかる様にして突っ込んで行く井上。非常に積極的。
井上の左ボディが凄い音。直後にマロニーは距離を取ったから相当効いてる様子。
マロニーのパンチもクリーンヒットは少なくないが、威力では井上。このラウンドはどちらを取るか。
(*公式採点ではこのラウンドをマロニーに付けてるジャッジがいたが、ダメージを与えたパンチを評価した)

井上10-9マロニー

井上40-36マロニー



5R
井上が距離を取って戦うようになる。右クロスでマロニーの顔が弾け飛ぶ。スローで見ると、左肩で一瞬フェイントをかける細かいテクニックが光る。

井上10-9マロニー



6R
マロニーの左ジャブのダブルに合わせ、井上がカウンターで左フックを引っ掛けダウンを奪う。腰の入った力のあるパンチではなく、手打ちでタイミングを合わせただけの左フックなんだけど、マロニーは腰砕けの様にして吹き飛ぶダウン。立ち上がり方を見ても決してダメージも浅くはない様子。恐ろしい程のパンチ力。
マロニーの打ち終わりに左フックや右クロスもヒットさせる。

井上10-8マロニー



7R
マロニーが出て来る所に井上の左フック。
次に飛び込んで来た時には右アッパー。
ラウンド終了間際、マロニーのワンツーに合わせた井上の右ストレートでマロニーがダウン。立ち上がろうとして再び後ろに倒れ込みレフェリーは試合を終了。



この試合で感じたのは、まずマロニーの頑張りである。彼は自分の持てる能力を全て使い、最後まで勝利を目指して奮闘した。
恐るべき強打者である井上尚弥を相手に、果敢に立ち向かって行く勇気!
かと思えば、脚を使って大きく動き、ペースを撹乱する冷静な心理戦。
微妙に立ち位置を変える細かいテクニックも駆使した。
全力を持って戦ったからこそ素晴らしい試合となった。
ジェイソン・マロニー。彼は『敗者』でも『王者になり損ねた男』でもない。
『井上尚弥と7ラウンド戦った男』である。その勲章と共に、胸を張ってオーストラリアに帰国して欲しい。



それにしても凄いパンチだった。当たった瞬間に試合終了を確信した。当たり所は左眼の辺りなので決して急所ではないのだが、マロニーの頭全体が右に捻じ曲がる程の衝撃。そのまま糸が切れた人形の様に垂直に崩れ落ちた。
正面から眼の辺りに衝撃を受けても、比較的首の支点に近い為、首から背骨、そして身体全体へと衝撃が分散するはずだ。軽量級のパンチならダウンする事はあっても、そのままノックアウトってのはあまり考え難い位置である。それがパンチを食らってから10秒近く経過した時点でも、膝立ちのまま後ろに倒れ込んじゃうんだから恐ろしいまでのパンチ力だ。そもそも『倒れる』ってのは衝撃で薙ぎ倒されるとか、バランスを崩すのが原因だが、『落ちる』ってのは、一瞬で脳震盪を起こして身体への電気信号が途切れた事だから、パンチの重さを如実に物語っている。

順番が逆になるが、実は俺は、最初のダウンシーンの方が印象に強い。マロニーが『左ジャブをダブルで出して来る』事を見抜いた井上は、そのジャブの2発目にカウンターを狙っていた。その観察眼と冷静な実行力は賞賛に値する。解説の村田も
『マロニーとしては何ら不用意なパンチではない。(そのパンチにこれだけ綺麗にカウンターを合わせられては)マロニーからしてみればやってらんね〜よって感じでしょう』と言っていた。確かにその通りだ。その鋭い洞察力は、さすが世界チャンピオンである。そして、やはり驚くべきは井上のパンチ力である。ダウンを取ったのは左のショートフックだったが、解説陣も最初『左ジャブ』と見間違えた程の小さなパンチだった。スリップダウンの様にも見え、『ダメージは殆ど無いな』と思っていたら、これがかなり効いていたのだ。
フックによるカウンターは相手を呼び込む様な角度になるので、正面衝突のカウンターでは決して無い。にも関わらずマロニーは弾け飛んだ。しかも驚いたのは倒れた後だ。ボクサーは本能的に倒れまいと反応するので、倒れてもすぐさま立ち上がる。この時も出会い頭のカウンター、タイミングを合わせただけの手打ちの軽いパンチだったので、すぐに立ち上がると思ってた。ところがマロニーは、スムーズに立ち上がれなかったのだ。
このダウンにより、井上尚弥はボクサーとしての格が全く違う、遠い異次元の存在なのだと改めて実感した。



さて、コロナ渦巻く昨今で先行きは不透明だが、次はどんな選手と戦い、どんな驚きと感動をもたらしてくれるのか?
やかましいカシメロの口を黙らせるか?
それとも『レジェンド』ドネアと再戦して引導を突き付けるのか?
27歳の若者の進む先が楽しみだ。
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