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2020年01月06日18:08

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【映画】ファミリービジネス

ファミリー ビジネス

親子3代の大泥棒って設定に加え、キャストを見て期待値が上がった。
まずショーン・コネリーはお爺ちゃん役だな。引退した伝説的な凄腕の泥棒って予感。
ダスティン・ホフマンがその息子で、コイツは技術屋か何かかな。
孫がマシュー・ブロデリック。当時は人気上昇中のアイドル俳優。泥棒未経験だが、センス抜群の天才肌か、はたまた口先ばかりで足を引っ張る無能か。
前者であれば、怖いモノ知らずのブロデリックと、その尻拭いに隠居生活から担ぎ出される2人の父親。みたいな内容か。
後者なら、クズの様なブロデリックへの英才教育を巡って父と祖父が対立するも、最後は一人前となる。って感じか。

観る前の軽い想像は当たらずも遠からずってとこだったけど、まずこの作品は『泥棒映画』ではなく、親子の絆がテーマだった様だ。知らずに観ていたので、途中から何を観ているのか解らなくなり、最後の方でそれと気付く。先に言ってくれって気がしなくもない。

コネリーは腕のある泥棒で、本人もそれに誇りを持ってる風だが、息子のホフマンは泥棒稼業に嫌気がさして『卒業』し、息子のブロデリックを堅気に育てる。
そんな『ブロデリックはある朝突然に』泥棒やろうと言い出すんだけど、ここの理由付けがイマイチ解らない。『敷かれたレールの上を生きるのは嫌だ』的な、中学生みたいな駄々をこねる。
まずこの時点でドッチラケ。『流石は俺の孫だ』と喜ぶコネリーは、そういうキャラとして解る。豪傑のお爺ちゃんに憧れるブロデリックの心情も解らなくもない。ただホフマンは『お前には堅気になって欲しい』とか言うだけだ。
もっと言う事あるでしょ。泥棒稼業に憧れてるとか自立したいとか言ってるけど、泥棒ってのは普通の人達が一生懸命働いて稼いだお金とか、誰かの為に大切に貯めたお金を盗むって事なんだから、大学生にもなってそんな事すら理解できないのだろうか。マシュー・ブロデリックって外見からして如何にも『稚拙で愚かな若者』って感じで、この役柄にはマッチしてるんだけど、どうにも好きになれない俳優だ。
ノリノリのコネリーに押される様にして、猛反対していたホフマンも『息子を守る為』手を貸す事になる。

ところがいざ忍び込む段になると、最初のドアの所でブロデリックが手袋を忘れて来るとか、建物内を進むうちにドアはちゃんと閉めて来たのか曖昧だったり。警備員がいて拘束するんだけど、そいつをどう扱うか、誰が何を担当するか等、全てが場当たり的で出たとこ勝負。誰がリーダーで仕切るのかすら決まっておらず、あちこちで小さな衝突を起こしながら、『有耶無耶』とか『なんとなく』って感じで計画はフワフワと進む。
オイオイ大丈夫かよコレ?
あまりのグダグダっぷりに、初めて泥棒に入る初心者のドキドキ感みたいなヤツの方が勝っちゃってるじゃん。こっちは凄腕泥棒の鮮やかな盗みを期待してただけにガッカリ。
終いには目的のブツを入手した時にノートか何かを置き忘れちゃって、取りに戻ってる間に捕まっちゃう体たらく。
あんたら何やってんだよ…

元々反対だったホフマンはコネリーの制止も聞かず勝手に自首し、盗んだ物を警察に返すのだが、後に中身がただの水道水と入れ替わってて騙したなとか本物は何処だと追及される。コネリーも『俺だって知らん』の一点張り。何がどうなってんだか、出口は何処なんだかとウンザリ。
最後は裁判の結果コネリーだけが実刑を食らうってのも何だかなぁ。世間知らずの若者がバカな事を言い出して、面倒見てやらなきゃと父親とお爺ちゃんが担ぎ出された。なのにやっぱりヘマして最終的にはお爺ちゃんが全ての罪を被り、バカな孫はお咎めなしって有り得ない結末。

ちょっと興味深かったのは、コネリーはアイルランド系移民でバリバリのアイリッシュ。身体も大柄で少し粗野。
息子のホフマンは母親の血を継いでイタリア系。小柄だし顔もそれっぽい。
その息子は母親と同じくユダヤ教徒と、親子3代バラバラの血筋ってのが多民族国家アメリカの縮図となっている。

最後にコネリーが亡くなり、アイリッシュ的な葬儀、『ダニー・ボーイ』の歌声に送られて遺灰が風に舞うシーンは悪くなかった。生前コネリーが孫のブロデリックと一緒に参列した葬式で『アイリッシュ系の葬儀も悪くないだろう』って伏線に絡んでるんだけど。
コネリーの葬儀には多くの警察官も参列していて、生前は派手に泥棒やってたことと、それでも何処か憎めない人柄が表されていたのが光ったな。

ショーン・コネリーはスパイのイメージが強過ぎたのか、泥棒映画が多い気がする。本作の他にも『大列車強盗』や『エントラップメント』。『ザ・ロック』はイギリス諜報員役だったかな。ジェームズ・ボンド役を降板したのは俳優としてイメージが固定するのを嫌った為らしいけど、『ちょい悪オヤジ』ってイメージが強いから、やはり堅気じゃない役柄はしっくりくる。軽妙な演技でクソ真面目なホフマンを手玉に取る様子も素晴らしいし、相変わらず匂い立つ様な色気だ。
ダスティン・ホフマンは、泥棒の息子として生まれながらも必死で堅気の世界に生きる不器用な男を好演。豪放磊落な父親に劣等感を感じていたのかもしれない。動と静、楽観と悲観。対照的で噛み合わない父子だが、だからこそこの2人の名優の掛け合いは引き立った。

んだけど、作品として見た場合はちょっと(と言うか『かなり』)微妙だ。厳しい事を言えば、名優のムダ使いって気もしなくもない。



ファミリービジネス ☆☆☆
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