WBA世界ミドル級タイトルマッチ
王者 村田諒太(日)
17戦15勝(12KO)２敗
身長184cm
リーチ190cm
挑戦者、同級８位、
スティーブン・バトラー(加)24歳
30戦28勝(24KO)１敗１分
身長182cm
リーチ190cm
KO率８割を超える強打から『BangBang』のニックネームのバトラー。WBOではトップコンテンダーを張る実力者。
かく言う村田もKO率は８割ジャスト。身長もリーチもほぼ同じ。真正面からぶつかって行くスタイルもそっくりだ。噛み合うからお互い削り合いとなり、ガードの堅さ、耐久力、打ち続ける持久力、そして精神的なスタミナの勝負になりそうだ。
１Ｒ
両者共に得意の右。村田は中盤、相手ガードの外側から捩じ込む様な大きな右フック。明らかに先程まで同じこのリングで繰り広げられていた軽量級のパンチとは違い、凄まじい迫力に会場がどよめく。ワンツーから左ボディへの連打もスムーズ。
後半、バトラーは下がりながら突然踏み込んで右クロス。
ガードの堅さと左ボディの分、村田が優勢か。
村田10-９バトラー
２Ｒ
村田が左ジャブ３連打。村田の右ストレートに合わせてバトラーは左フックのカウンターを放つが村田のパンチが先にヒット。
左ボディを打つ村田に対してバトラーも右クロスを返す。
村田のパワーが圧倒しつつある。
村田10-９バトラー
３Ｒ
村田の左ジャブが更にペースアップ。手数は多いし強くて威力がある。単発の右アッパーが、浅いながらクリーンヒットする。ワンツーから左ボディの対角線コンビネーション。凄い圧力。右ボディから顔面への右３連打でバトラーは思わずクリンチ。
村田10-９バトラー
４Ｒ
攻勢の村田が凄まじいプレッシャー。バトラーは防戦一方となるが、時折カウンターを合わせて来る。最後はバトラーがクリンチ。
村田10-９バトラー
村田40-36バトラー
５Ｒ
怒涛の連打。右を２発、３発と連打し、最後は返しの左フックがクリーンヒット。バトラーは膝から崩れ落ちてダウン。そのままレフェリーストップとなり、村田のTKO勝利。
バトラーは元々１つ下のスーパーウェルターを主戦場にしており、ミドル級での試合は多くはない。筋肉で増量してるから直線的なパワーはあるが、揉み合いになった時やバランスを崩した際の体幹の強さで村田に劣っていた。反対に体幹の強い村田はオールマイティーの強さを発揮し、バランスやタイミングが狂っても強いパンチを打ってたし、ガードもしっかりと固め、不用意なパンチを貰わなかった。
戦術面ではまずコンビネーション。それまでは左ジャブから右ストレートの、いわゆる『ワンツー』が攻撃の主体だったが、そこから返しの左フックまで繋げる『ワンツースリー』まで打ってたこと。
それから右の使い方。これは戦術、メンタルの両方に関係してると思うが、左右の連打ではなく、右手だけで２連打、３連打という、少し強引な攻撃が見られた。ややもすれば利き腕だけで殴りつける素人のケンカの様に見えなくもないが、これは闘争心や獰猛さの表れだと思う。それまでの村田に最も足りなかった部分なので、こういう多少強引な攻撃は非常に良かったと思う。
『強引』とは言え『冷静になって丁寧に左ジャブを突いて行く』のと、『イケイケで大きな右を振り回す』のバランスが重要であり、今日の試合はそれが非常に良かった。
村田は明らかに変わった部分がある。それまでは試合前の入場からリングに立った時まで終始笑顔を浮かべていたのが、前回のブラントとのリターンマッチから、非常に厳しい表情で試合に臨む様になった点だ。
それまでは『ゲームを楽しむ』とか『精一杯ベストを尽くせば悔いはない』みたいな心境でリングに上がっていた様に見えたが、ここ２戦は『何が何でも絶対勝つ』、『相手を引きづり下ろしてでも自分が上に行く』といった覚悟がオーラとして漂っているし、眼にも殺気が輝いている。心技体の全てが充実しつつある村田は、間違いなく今が一番強い状態じゃなかろうか。2020年は勝負の年となりそうだ。
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