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2019年12月11日14:45

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地震のドラマ『観てない』レビュー

NHKの地震のドラマがスゴそうだったので録画した。４夜連続だとかで、２日分録り溜めたので一気に観ようとしたが…
５分で止めた。
『観るに耐えない』って言葉があるが、生まれて初めて実感した。そして、これも生まれて初めてだったが、その場で２話をまとめて消してしまった。
まがりなりにも興味を持ったから録画した訳であり、どれだけ期待外れだったとしても取り敢えず最後までは観る。今までは。だって後からすげーおもしろくなるかもしれないしね。
でも今回は違った。そんな今までの習慣と言うか心掛けと言うか、そういうの全部吹き飛ばしてしまう酷さだった。

東京で首都直下型の巨大地震が起きたらどうなるか？を徹底的にリアルに描いたドラマって事だけど、舞台はあるテレビ局。主人公は新人(っぽい)女子アナ。次から次へと被害状況が飛び込むが、ビルが倒壊したりの映像は非常にリアルでド肝を抜かれる。さすがNHKと言いたいところだが、登場人物達が問題。出て来るヤツ出て来るヤツ、どいつもこいつも青筋浮かべ、ツバを飛ばしながら怒鳴り散らしてばかり。
実際のセリフは覚えてないが、例えばこんなやりとり。

『渋谷に向かった山本はどうした？』
『連絡来ません！』
『なにグズグズしてんだ

』とか

『携帯まだ繋がらない

電話会社は一体何やってんだ

』

『お前ら、今がどんな状況か解ってんのか

』みたいな…

ドラマだから判り易くするのは当たり前だが、しかしあまりに脚色が極端だ。
全員が感情剥き出しで、自分の立場や役職からの意見や要望ばかりを押し通そうとする。だから誰かが一言喋ると途端に言い争いが起きる。
電話回線とか停電が復旧しないのはテレビ局の人間の責任ではない。にも関わらず部下に怒鳴り散らすディレクターとか、幾らパニック状態と言ってもさ。
もちろん実際こんな大天災が起きたらパニックに陥る人は大勢いるだろうけど、でも冷静な人だって少なくないと思う。興奮状態なんてそうそう長くは続かないだろうし、何より、パニクってる人を見るとなぜか人間て逆に冷静になっちゃう人がいたり。そういうもんじゃない？ドラマだから、と言うのなら、逆にドラマだからこそ視聴者を飽きさせちゃいけないでしょ。出て来る人出て来る人、どいつもこいつも怒鳴ってばかり。穏やかそうな人が出て来て『コイツは冷静そうだな』と期待してると、やっぱりドカーンとブチ上げる。『ブルータスお前もか』とウンザリ。

こういうのが世間ではウケるのかなとネットを見たら、案の定否定的な意見が少なくなかった。たまたま俺が見たサイトが特にそうだったのかもしれないが、『テレビ局内でのドタバタを描いただけ』みたいな意見が多かった。上で書いた様に俺は最初の５分で断念したから内容は知らないんだけど、ネットの書き込みによれば、
『本来のアナウンサーが不在で、主人公の新人アナが「私にやらせて下さい。チャンスなんです」とぶっつけで中継しちゃう』みたいなシーンがあるらしく、かなり批判の声が上がっていた。
なんか目に浮かぶ様だな。

ディレクター
『おい◯◯(本来のアナウンサー)はどうしたんだ？』

部下
『連絡とれません！』

ディレクター
『連絡とれませんじゃないだろ

中継まで後５分しかないんだぞ

』

主人公の新人アナ
(意を決した様に立ち上がり)『私にやらせて下さい！』

ディレクター
『バカヤロウ、お前一度もやったことないだろう

』

新人アナ
『やらせて下さい！チャンスなんです！』

部下
『もうそれしかないですよ。後２分ですよ？』

ディレクター
(迷いを断ち切る様に)『よし、やってみろ！』

新人アナ
『はい

』

みたいな…？
いや、知らないけどね。観てないから。しかし『チャンスなんです』は有り得ないよな。ホントにそういうセリフがあったのかどうかは知らないけど。大災害で何千人って死んでるのに、それを自分のキャリアアップのチャンスと考えてるってのはね。幾ら架空のドラマだとしても、過去には実際数え切れない程の災害が起きてる訳だしさ。

そんで中継を無事やり遂げて、最後はみんな笑顔で

部下
『(ニコニコしながら)いや～新人アナちゃんがマイク持つって言った時はビックリしましたよ』

ディレクター
『(ニコニコしながら)これで新人アナも一人前だな』

新人アナ
『(ニコニコしながら)また大地震が来たら、次はディレクターの仕事に挑戦するチャンスです』

部下
『こりゃディレクターもウカウカしてられませんね』

一同笑い

なんて感じかな。お～嫌だ嫌だ。
後、キャストの中に伊藤淳史がいたのもな。別に嫌いな役者って訳ではないけど。
一生懸命仕事頑張っているのに、理解の無い上司とか石頭の国の役人に阻まれたり、自身も家族が被災したりと、様々な理不尽な目に遭うもめげずに愚直に努力して、最後は何かを成し遂げる、みたいな役所じゃないのかな。違ったらスミマセン。
なんか透けて見えちゃうんだよなぁ。キャスティングの薄さが。
色々書いてるうちに少し気になっても来たけど、再放送やってるから録画したい衝動に駆られなくもないが、やっぱり観ないんだろうな。

何人もの人がネットで指摘していたが、こういうのは下手に脚色なんかせず、ただ事実(と仮定して)だけを淡々とやればいいのだ。せっかく視聴者のド肝を抜く様な映像があるのだから、感情を抜きにしたシリアスな味付けにして『冷たい現実』を突き付ける方が響くと思う。ハリウッドのパニック映画なんかは大災害を共に乗り越えることにより友情や恋愛感情が芽生えるとか、人間の成長ドラマなどが描かれたりするが、それを見せるのは『娯楽作品』だ。NHKは娯楽作品を作りたいのだろうか？どうもブレブレな気がする。

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