リアクション・エンジンズ社とロールスロイス社が高速飛行(極超音速域まで含む)のための推進力の研究開発についての協力する新しい戦略を2020年8月21日に発表しました。
Reaction Engines and Rolls-Royce partner on high-speed aircraft propulsion
21 AUGUST 2020: By Gareth Jennings [Jane’s]
https://www.janes.com/defence-news/news-detail/reaction-engines-and-rolls-royce-partner-on-high-speed-aircraft-propulsion
私がこのニュースに注目したのは、これまでにSKYLONという大気圏を極超音速で飛行できる旅客機の開発が行われおり、この計画はSKYLONを宇宙空間それも弾道飛行ではなく衛星軌道まで旅客を送り届ける事が可能なスペースプレーンにまで発展させるものだからです。ただし、当時私が知り得た情報では推進している団体はReaction Enginesというベンチャー企業であり、その技術的な信頼度は疑問符が付くというものでした。
今回のJane’sという信頼できる軍事、航空宇宙の専門情報誌のニュースでロールスロイス社という老舗のエンジンメーカーが参加する事を知り、この計画がかなり信憑性のあるものに思えてきました。特にロールスロイスの開発資金力と英国政府に対する協力を引き出す事が出来る政治力には数字には表れないパワーを感じますね。^^
ここで、SKYLONについておさらいしましょう。
Reaction Engines
https://www.reactionengines.co.uk/
SKYLON [Wikipedia]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3
Skylon ‘spaceplane economics stack up’
29 MAY 2014: Jonathan AMOS [BBC]
https://www.bbc.com/news/science-environment-27591432
結論からいうと、世界中でスペースプレーンの研究をしていますがいまだ本格的なものが成立しない理由はニュートン力学上どうしても推進剤を大量に積み込まないと宇宙空間、それも衛星軌道に乗せるための速度まで飛翔体を加速出来ない事につきます。
それゆえに、現在の主力を担う使い捨ての燃料タンクとロケットエンジンを使用する多段式ブースター(打ち上げシステム)に代替する様な飛行機で宇宙に行くという事が実現できていません。Reaction Engines社はこの難問を高性能な熱交換器(Heat Exchangers)によって乗り越えようと考えています。今回のニュースによってこの熱管理に技術にロールスロイス社がこれまでに蓄積してきた技術的知見が生かされればスペースプレーンを成立させるというゴールに近づく事が出来るかもしれないですね。
この英国チームの挑戦以外にアメリカではロッキードマーティン社のスカンクワークスやボーイング社のファントムワークスなどもこの分野に挑戦しています。
残念ながら我が日本はまだJAXAが基礎研究をスパコン上でのシミュレーションで行うレベルにとどまっています。ただ、日本にも少しずつ宇宙へ飛行機で行こう!という計画を立てるベンチャー企業が登場してきてはいます。
(しかし、ご用心!眉唾な計画案も散見されます…)
いずれにしろ、こういうニュースを見るとワクワクしますね。
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