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2018年09月07日23:58

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英国海軍ドック型輸送揚陸艦「アルビオン」(HMS ALBION)、艦編

 英海軍揚陸艦「アルビオン」が8月4日に晴海埠頭で公開されましたので行ってきましたわーい(嬉しい顔)

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 ホストシップは掃海母艦「うらが」です。

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 「うらが」甲板上の記念撮影用顔出し立看とダミー機雷爆弾

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 「うらが」と「アルビオン」の軍艦色のグレイの違いに注目。
 海自は赤みが強く暗い鼠色、英海軍は黄色が強い(ので黒と混じって緑に見える)灰色です。
 活動想定海面の海象条件の違いから色が随分異なっています。
 因みに米海軍は青みが強いですね。

 展示用水陸両用装甲車と手荷物検査用テントが用意されています。

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 船体後部の飛行甲板には車両がミッチリです。

 今世紀の艦なのですが、艤装の基本型は42型に代表される'80年代のデザインを踏襲してますね。

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 計画から就役まで予算の都合で時間がかかってしまう英国海軍のジレンマが見え隠れします。
 角ばった煙突もステルス形状というより、工程簡略対策のように思えます。
 最もレーダー等の電波兵器は逐次新型に更新しています。
 マストを取り囲むようにフォールデッド・ダイポールアンテナが並んでるのも如何にも英軍艦的です。


 ブリッジ上面のアップ。

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 右手に手動操作式の20mm機銃。
 その後ろの独特のウイング上に目標指示器。
 伝統の英海軍だけに、露天作業を重視しているのが分かります。


 先ほどより少し低い位置から。

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 多機能カメラ兼20mmバルカンファランクス目視射撃指揮装置。
 ゴールキーパーをファランクスに置き換えた際に増設されたウイングに装備されてます。
 設置位置が日米と大きく異なる点が興味深いですね。私にはこの方が合理的に思えます。

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 上にキャットヘッドが開いてますが、そこがブリッジレベル。


 朝っぱらから凄い行列が出来てます。
 この日は横須賀で日米基地解放&艦艇公開がバッティングしてるのに。
 そして待ち列最前方には「名人」がおるあせあせ
 あんた昨日も関係者で来てるやん(笑)

 豊洲に向かう「ヒミコ」が通ります。

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 ヒミコといえば、丁度この日からヒミコ、ホタルナに続く松本零士水上バス第三船「エメラルダス」が運行開始しました。
http://www.suijobus.co.jp/ship/emeraldas/


 客を拾いに出動する屋形船も次々と通過。

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 艦首旗竿両側の黒い物は機銃座です。
 英国は艦首旗(ジャック)と国旗が同じなので、英国旗は通称ユニオン・ジャックと呼ばれます。
 なので厳密には日本の日の丸も艦首旗共用なのでユニオン・ジャックです。
 米国やソ連の様に、艦首旗と国旗は違うデザインの国も多いです。

 会場内では、やたらと入れ替わり立ち代わり友人に遭遇しました。
 誰も横須賀へ行って無いのか?(笑)


 錨は当然AC14型。

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 今や米国を除き世界標準と成っている英国発祥の錨ですね。
 日本ではJISタイプ2と呼ばれます。


 船首にはバルバスバウとスラスターマークが見えます。

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 水面下で見えませんがバルバスバウは下から突き上げる様な欧州商船によく有る形状です。
 スターンバルブも備えてます。
 つまり船形は欧州型二軸カーフェリーそのものです。
 DE動力(をさらに進めた統合電気推進)と合わせて目的にはよく合致している設計だと思います。
 狂ったように水槽模型作って専用船形を追い求める海自とは経験の差がよく表れてますね。


 車両ランプは一見華奢に見えますが、よく観察すると適切な設計だと思えます。

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 軽量化が巧みに為された設計です。

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 閉状態では波浪の衝撃に耐えられる事、開閉時には荷重がかからない事が前提、使用時には船体と岸壁で支える構造です。
 当たり前のようですが、その当たり前が世間では中々出来ないんです。

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 この点だけ見ても流石経験豊富な国の艦と思わせます。
 因みに海自の設計では、剛性を確保しようとして丈夫に作ろうとした結果、重量過大となり、それを支える為に構造がさらに過剰に成るって悪循環が見て取れます。


 格納庫入口の右側に見えるのが「アルビオン」のバッヂ、説教台に付いてるマークが海兵隊「コマンド」部隊のバッヂです。

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 左奥に見える給水サーバーと上に置かれたボトルにも注目サーチ(調べる)
 因みにバッヂを紋章と訳す方が居ますが、紋章学的にはバッヂ(バッジとも私は意識的に区別)は紋章ではありません。


 舷門。

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 舷梯がかかってる下側には、リジッドライダーやORCといった低乾舷のボートに乗り込む為の水密扉が有るようです。


 いよいよ乗艦です。

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 衛兵がL85ライフル構えて歓迎してくれますが、私の目は上に見える物資搬入用テルハに釘付け。


 車両格納庫へ。

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 いきなりバーブ(BARV)がおる目がハート
 前の週に退院したばかりの人間とは思えぬ興奮度MAX状態exclamation ×2
 でも車両の話はまた後の「車両編」で。

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 照明が緑なのは暗視装置対応だからだそうです。

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 海自は赤蛍光灯ですよね。
 でも暗視装置対応で緑という話には少々疑問があります。 それなら過剰照明に成ってしまうと思いますし、格納庫内に居る全員が暗視ゴーグルを付ける訳では無いですよね。
 因みに非常灯はやはり赤でした。


 艦尾のウェルドック。

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 ドック型揚陸艦は喫水を下げてこの部分を水で満たす事が出来ます。
 浮きドックの仕組みですね。
 画面右側のドックには上陸用舟艇LCU二隻が縦に並んで搭載されてます。
 
 ウェルドック壁は木材のバッキングと、その外に援衝材を貼って保護されています。

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 意訳すると「王国海軍軍艦アルビオンにようこそ。武器には弾丸が装填されていないので安心して見学してください」って感じでしょうか。

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 英国海軍はロイヤル・ネイビーと呼ばれますが、何で単にネイビーではなくいちいちロイヤルって付けるかというと、昔はロイヤルでは無いネイビーも並列して存在していたので区別する必要が有ったからですね。
 東印度会社等は王立ではない自前の海軍を持っていましたし、私掠船や武装商船を集めて国の海軍に臨時編入したりしたので。


 LCUに乗り込みます。

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 車両格納庫からドックへの傾斜はかなりキツイですね。


 IRC。

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 船外機にはプロペラガードが追加されてますね。


 LCU内のデテール。

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 基本、第二次大戦で発明されてから操縦室がエンクローズされた事くらいしか変わってません。

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 LCUは前後にランプを持つ為、二艙が縦に並んでいても車両格納庫から一直線に後方の舟艇に車両を搭載する事が出来ます。

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 船尾のランプが船首のランプより幅が小さく、重なっている事が分かりますね。


 LCU内から車両格納庫方向。

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 海兵隊員と水兵の縄張りの境目。

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 消火装置は安全の為にカバーが。

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 迷彩パターンは新型のMTPですね。


 飛行甲板へと上がるスロープから見下ろしたドックと格納庫の境目。

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 応急用木材とマーキュリー船外機が見えます。


 暴露甲板上のデテールは日米とは大違い。

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 飛行甲板から左舷を前方へと向かいます。


 洋上給油関係部分。
 互いに互換性が持てるよう日米と仕組みは同じです。

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 画面上に見えるペッパー君みたいなカメラに注目。
 日本が四角で大きくゴツいカメラなのに対し、波浪や爆風に対して流体力学的に有利で標的面積も小さい考え方で、両者は全く正反対のコンセプトだと分かります。


 ハッチも日米とはかなり違います。

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 右端は舟艇用ダビットのコントロール装置。


 ハッチの開閉区分表示は日米と共通です。

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 手動電源は商船と同じ既製品。


 カーリーフロート(って今は言わないか。救命筏)のコンテナ受けが木材ですね。

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 小型ロータリーガン。

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 やって来る見学客が皆次々と連続で「ミニガン」「ミニガン」と判を押した様に連呼するので、お付きの海兵隊員も思わず苦笑いむふっ

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 因みに「ミニガン」「バルカン砲」「ガトリング砲」は商標名です。


 こちらは.50口径機銃。

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 船体各所にマウント付き、設置場所のみ、等多数機銃座が用意されてます。
 機銃自体(とマウント)は使用個所に移動設置します。

 即用弾薬箱は第二次大戦時の物から変わりませんね。

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 艦首まで来ました。

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 除染装置部分。

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 主砲のゴールキーパーは目視照準器の付いたファランクスBlock1Bに交換。

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 火力が低下しても近接水上目標を目視で精密射撃する任務が要求される世の中なので必要な処置かと思われます。
 通りかかった見知らぬ「オレは詳しいんださん」が「予算の削減処置で維持費の安い20mmに交換された」と得意気に周囲に解説してました。そうなんですか、凄いや詳しい人。


 各所の注意書のセンスがまた日米とは大違いで粋で格好良い。

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 ウインドラスは商船の様に甲板から一段上がったタイプで、この種の目的の艦では使い易そう。

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 向こうに「うらが」とレインボーブリッジ。


 艦首右舷側にやってきました。

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 右舷を後方へと向かいます。

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 左手には増設された目視射撃指揮装置と機銃座、右壁面には洋上給油装置のホースが。

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 クリート類。

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 キャップ類。

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 使用中。

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 脱出ハッチと吸気口。

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 海兵隊員の迷彩服は旧型のDPMと写真に写ってるMTPが混在しているようでした。

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 装備はPLCEで流石にP58は見当たらなかったです。


 機関室へのハッチ。

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 消火ガスのソケットと覗き窓付きなのがオソロシイ。


 暑さ対策で、多くの海兵隊員が水のボトルを持ってるのが印象的でした。

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 形状が各種有ったので私物のようですが、給水所に置かれていたのは官給品だと思われます。


 手旗でしょうか。

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 動力付きハッチ等、やはり日米艦とは趣がかなり違います。

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 ハッチ下にシャックルで留められてるワイヤーは非常時艦内救助用でしょうか。

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 左端のパッキングが付いた丸い物は、給油ブラケットのキャップ。

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 リジッドライダーのジェットノズルはリバースに成って格納されてます。
 右端にペッパー君。


 隊員が結構艦内に出入りします。

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 ドアが装甲されて厚い様に見えますが、実際は固定機構が内臓されている為で板厚はありません。

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 時鐘の場所までやって来ました。

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 ここから飛行甲板です。


 航空指揮所周辺のライトが凄い。

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 車両格納庫へのスロープ入口に消火ノズルが置いてあります。

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 日米とダメージコントロールに対する考え方が違うのは、フォークランド紛争の戦訓からでしょうか。


 飛行甲板は車両やコンテナ物資の露天搭載場を兼ねていてかなり広く、チヌークでさえ着艦出来るのですが、ヘリの支援施設は有っても特定搭載機は無いので格納庫はありません。

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 コンテナと車両が係止されてます。

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 撮影用に脚立まで用意してくれてサービス満点。

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 右舷後端、銃座部。

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 画面右、私が居るのに立ち入り禁止テープで戻れないように企んでる隊員が居ます(笑)


 艦尾旗竿と左舷艦尾銃座。

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 旗竿の王冠に注目。

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 この高さから曳航デコイを降ろすのでしょうか?


 左舷、銃座、消火栓、飛行甲板縁照明、消火栓位置マーキングなど。

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 英国軍艦旗。

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 所謂「ホワイトエンサイン」ってやつです。


 装備や艤装やマーキングがやはり日米とは違い面白い。

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 車両格納庫に戻ります。

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 BARVが異常にデカイですね。


 車両や積荷を固定するラチェットバックル式ラッシングベルト。

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 これは民生品と変わりが有りません。


 この様に使います。

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 車両甲板前方から後方を見ます。

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 BARVだけ小山の様にデカイですね。


 車両用ランプ付近。

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 天井のテルハや操作ペンダント、IDカード持ち歩きなさいよ警告など見所満点。

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 ようやく出口(乗組員にとっては出入り口)まで来ました。

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 艦のバッヂは現在円形に統一されてますが、大英帝国最盛期には大量の艦艇を抱えてたので、艦艇の種類によってベース形状が五角形だったりとバリエーションがありました。


 車両ランプ上から。

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 軽量化すべき所は格子構造や肉抜きが、強度が必要な部分は充分な剛性を確保と、実に巧みな設計が見て取れます。


 下船して艦尾に来ました。

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 艦尾ドック扉は意外と複雑な形状ですね。

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 扉があるので、水面下船尾突出アリのマークも描かれてます。


 舟艇指揮所の窓も興味深い配置ですね。

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 英国では艦艇名は赤で書かれます。

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 長期単独航海なので自己完結の為の各種コンテナが搭載されてますね。

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 上甲板から張り出して艦側に沢山影が見えるのは、夜間に船体をライトアップする仮設照明。

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 やはり通りかかりのオレは詳しいんださんが、「テロ攻撃対策用のライトだ」と仲間に解説していました。勉強に成るなぁ、詳しい人。


 LCVPの背後はモノコック型ミズンマスト。

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 後部煙突には海兵隊コマンドのバッヂが。前部煙突には艦のバッヂが掲げられてます。


 見学終了時間間際ですが、まだかなりの人が乗艦しようとしています。横須賀から転進した方々も多いかと思われます。

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 メンマスト上部。

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 上から997型捜索レーダー、ECMアンテナ、衛星通信アンテナドーム。
 日米がアンテナ類をラティスマストの空いてる所に装備順に無秩序に配置して、新造艦はそれを踏襲する傾向が有るのに対し、英海軍は早い段階から縄張りを住み分けして、モノコックマスト化の際に機能的に配列する事をやってのけてます。


 上の甲板(ブリッジレベル)画面左端にデコイ投射器(その左画面外にチャフ投射器)
 そこから右に向かって、手旗ホルダ、キャットヘッド、信号灯、救命装置、遮風装置、舷灯など見所満点。

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 目視照準器の張り出しが増設されたので、折り畳み式キャットヘッドは畳む意味が無くなり開いたままにされてると思われます。


 本日の見学は終了です。

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 オマケ。
 帰りのバス待ちはこれまた大行列です。
 延々と続く行列を追い抜いて後ろからスタスタ来た兄ちゃんが、いかにも自分は最初からここに居ましたって感じで戦利品整理始めたんでこれは怪しいと思っていたら、案の定バスが来たら素早く列先頭付近に移動して横入りしてました。

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 帰宅してネットか、夜からのミリオタ会合で配布されたレーション等の戦利品を自慢するんでしょうね。凄いや、詳しい人。

 車両編に続く。
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