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2019年02月16日09:07

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武道随感  相撲を久しぶりに見た

 先週やっていた『大相撲トーナメント』の放映を見た。久しぶりの相撲観戦だったが、実は娘に見せるのがそもそもの目的であった。普段TVで覚えたらしい「マワシをしめて〜♪ ハッケヨイ、ノコッタ♪」、みたいな歌を唄っているのに、本物お相撲さんを見たことがないのはちょっと…とママが言うので、見せようという話になったのだ。

 で、案の定、見始めたら僕の方が夢中になって見た(爆)。娘は巨漢のぶつかり合いに途中で飽きたらしく、オモチャで遊び始めたのだった。残念。しかし『お相撲さん』がどんなものか判ったので、当初の目的は果たしたので、まあよかろう。

 そんなわけで久しぶりに相撲を見たのだが、実は今の現役力士のことを全然知らない。知っているのは長野県出身、御嶽海だけである。とにかくもう、長野における御嶽海人気というのは凄い! 場所中はラジオで毎日、御嶽海の成績が言及されるのはもちろん、別のコーナーでもリスナーがインタビューに答える言葉で御嶽海の人気が判る。

 そのリスナーさんの多くが、「相撲は昔見てたけど、ずっと見てなかった。けど御嶽海で出てきて、また見るようになった」と語る人が、《イッジョーに!》多い。いや、本当に多いのだ。ビックリするほど。その「昔」の時期が、千代の富士の頃か若貴の頃か、いや、もっと遡って大鵬の頃か、みたいな違いはあるが、とにかく御嶽海が出てくることによって再び相撲を見るようになった長野県民が異常に増えたのは間違いない。

 が、その御嶽海は途中であっさり負けてしまった。横綱の白鳳その他大関もあっさり途中敗退したので、本場所に向けて怪我をしたくない、と言ったところか。そもそも御嶽海は先場所、怪我で途中休場したのにも関わらず、復帰後に連勝してなんとか勝ち越して番付を下げずに過ごした。白鳳は後半三連敗して、途中から休場したのだ。そもそも出場自体が厳しかったはずだ。

 それはそうとして、何人か面白い力士がいた。唯一の大関、高安は素早い踏み込みで相手の力が「乗る」前に、相手を浮かせていた。これは「合い面」にもつながる呼吸で、非常に興味深かった。

 阿炎(あび)は非常に若い力士で、24歳とかいう話だった。裏話のところで「『ONE PIECE』の映画を見て号泣」とか書いてあって、「世代だなあ」と思っていたら、勝利インタビューで次の取り組みの抱負を聞かれて、「楽しんでやれたらいいと思います」と答えたのには驚いた。力士の口から「楽しんでやる」なんて言葉が聞かれようとは! スポーツならいざ知らず、力士というのはそういう事は言わないものだったが…時代は変わったなあ。

 この阿炎、とにかく張り手で押しまくる。マワシ取ろうとか全然考えてない感じで、とにかく張り手、喉輪で攻めまくって押し出す。この張り手を見て、「ゴムゴムの〜張り手!」とか言って、僕と奥さんは盛り上がっていた。頭ごと突っ込んでいって、グンと腕で押し出す。その感じが「ゴムゴム」なのだ。高安が素早く踏み込んで、サッと左のマワシを取るとかみたいのに比べると、同じ相撲と言っても全然タイプが違うのだなあと感心させられる。

 途中驚いたのは、嘉風(よしかぜ)だ。相手が誰だったか忘れたが、両手でマワシを取るといきなり相手を吊り上げたのだ。胸で相手を支えるようにして、相手の両足が完全に宙に浮いた。足をバタバタさせても動じる様子もなく、そのまま土俵の外へ吊り出しである。いや、凄い力だ。相手だって140kg以上あるのだ、尋常な力ではないとつくづく思った。

  こうして見ると「相撲といっても色々な戦い方があるのだなあ」と思い、改めて朝青龍とかどんな戦い方をしていたのだろうと、ふと思った。で、いい時代になったもので、動画を探してみる。


 いや、上手い、強い。再認識したのは、朝青龍が決して大型力士ではないということだ。と同時に、その技が非常に多彩で、臨機応変に繰り出されるところが凄い。張り手で争ったり、喉輪で押し出したり、マワシを取るかと思ったら、スッと足を取ったり救ったりする。実に上手い。さすが横綱だ、と思ったら、今度は千代の富士の事が気になった。あれ? 千代の富士って、どういう相撲を取っていたのだろう?



 いや、本当にいい時代になったものだ。すぐに全盛時の千代の富士の映像が見れる。これを見ると、当時『黄金の左手』と言われた左の差し手から「ウルフスペシャル」と呼ばれる、相手の頭を押さえつけての回し投げ。これが千代の富士の必勝パターンである。千代の富士の戦い方を見てると、この得意の形に「いかに持っていくか」が重要で、基本的にはこの形を防がれた時の修正法が上手いのだ。

 ここで気づいたのだが、朝青龍と千代の富士はまったく違う戦い方をしている。千代の富士は得意の形があり、いかにそこに相手を嵌めるか、それを防がれた時、いかにそれを修正してそこに持ち込むか、という事を入念に練り上げた戦い方をしている。その得意の形が『軸』で、そこからいかに広げるか、という感じだ。

 しかし朝青龍というのは、「得意の形」というのが見たところ特にない。その証拠に、朝青龍の過去の戦績が表示されると、驚くほど決まり手にバラつきがあるのに驚かされる。大半の力士は得意の形があって、必然的に決まり手が決まってくるのに対し、朝青龍は変幻的にどんな技でも使うのだ。

 正直、朝青龍は天才だと思った。と同時に、これは僕には無理だ、とちょっと思った。今、僕が追及しているのは、むしろ『得意の形』を練り上げることで、言うなれば『ハルカスペシャル』な戦い方を磨くことだ。これは千代の富士ならびに、日本人力士の基本的な形である。

 塩田剛三先生が、植芝先生の霊言として「オールマイティじゃよ」というお告げを聞いたとか訊かないとか言う話があったが、僕も昔は理想はオールマイティで、その場に応じた変幻自在の境地であった。しかし柔道をやってる時に、到底、三船十段のようにすべての技に通じることはできず、柔道では一本背負いしかできるようにならなかった。

 しかもそれも特に「磨いた」とは言えず、またそれを軸にして、それが防がれた時や、その形に持っていく工夫も漫然としていた。ちょっとそういう意識がなかったな、と思う。せめて薙刀では、絶対的に自信のある技、形を身に着けた上で、それを軸にしてその形に持っていくことを練り上げようとか思うのだった。



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