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2022年01月23日19:50

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『影絵の街にて』新井素子

短編集で、大抵読んではいましたが、何しろ久方ぶりで忘れている作品もあり、そこは新鮮でした。
また、覚えていても旧友に再会したような気分でした。

特に冒頭の『季節のお話』
古川タクさんの絵が無いというのも、それはそれで自分の想像力を駆使できて悪くないなと感じました。

他の作品については、印象深いものについて書きます。

まず「眠い、ねむうい由紀子」
かなり毒のある残酷な話ですが、その原因となるものを持ちこんだ人物の苦悩によって、読む側の感じ方が和らげられるような気がしました。

次に「夕暮れ、七つの情景」
2人がすれ違った後、彼らの立場が入れ替わるのか?
何となく、そう感じました。そして、逆になったら彼らはどう思うのかも気になりました。
意外と、感じ方は変わらないように思えます。

3つ目「山手線のあいちゃん」
国鉄の時代のお話ですね。
あれからずいぶん経ちますが、21世紀になっても依然としてこの問題を解決できない、どころか悪化させているきらいもあるのはどうにかならないものか。
以前、仰っていた方もありましたが、本当にいじめる側の精神鑑定や生活環境の精査と改善を図らないと、解決しないでしょうね。

さらに「阪神が勝ってしまった」
素子さぁ〜〜ん。
いや、確かに笑ってしまいましたが、ある意味、かなりの問題作ですよ。

最後に「馬場さゆり」「あした」
私の大好きな『チグリスとユーフラテス』の外伝で、「ナイン」で地球から出発する前の話。
一方は、人々の愚かさのために不幸に落とされ、もう一方は、幸せだからこそ、あるハードルを上げ過ぎてしまう。
どちらも切ない物語でした。

様々なタイプのSF短編が載っていますので、ぜひ!お読みください。
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