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2022年05月13日23:10

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「シン・ウルトラマン」、1回目 《全文ネタバレに付き、要注意》0時38分、大幅の加筆版

「シン・ゴジラ」の時は、公開から2週間後位に劇場に出掛けたのだが、「ウルトラマン」となると流石に同じようの2週間後とはゆかなかった私。
公開日当日の初回上映なんて、いつ以来の事になるのやら。

お手洗いのお世話にならないように朝から餅を食べて、歩いて天王寺のアポロシネマへ。
今回も前売り券は買わず、3日前にネットで席だけ確保。
かつてなら、入替えは無かったので、何度でも観る事が出来たので、2本立てだとまる一日近く劇場で過ごした事もあったっけ。
学生時代に集中して観る事を体得したので、一度観ればかなり細かいところまでインプット出来るようになった。その代わり、一本映画を観るとヘトヘトになるようになったけれど。

今回も「シン・ウルトラマン」を観て、所用で淀屋橋まで出て梅田まで歩いて帰ったら、その後 数時間寝てしまった。

さて、これぐらい書けば、この先の文面は日記の見出しには表示されないであろう。
ここから先は自己責任で。

















私が観た「アポロシネマ」は、私が子どもの頃は東宝系だったが、シネコンになってからは東映系も上映するようになった映画館だったので、「シン・ウルトラマン」の上映前に「シン・仮面ライダー」の最新版の予告編が流れた。
「シン・ウルトラマン」同様、私は必要以上の期待もしていないし、予告編からはワクワクを感じなかった。









さて、いよいよ「シン・ウルトラマン」

冒頭から度肝を抜かれた。
オリジナルのテレビシリーズの「ウルトラマン」のオープニング、「マーブル模様」から「ウルトラQ」の文字が浮かび上がって、爆発ワイプで真っ赤なベースのウルトラマンの文字が浮かび上がる例のメインタイトルを・・・

立体的に三次元的にリブートさせているので、何が始まるのか勘の鋭い人でなければ気が付かないイントロから始まり、気がついた頃には「ウルトラQ」という文字になるかと思わせておいて、「シン・ゴジラ」の文字が! この見せ方、裏切り具合にガーンとやられた。
マーブル模様の蠢きは例のメインタイトルの三次元的に加工だとは直ぐに判ったものの、まさかこう来るかと!
(しかもこの仕掛けは、東宝系での配給だから出来るネタで、いつものウルトラマン映画の松竹系では無理な筈で、「3丁目の夕日2」のゴジラと同じ)

この間髪を入れずに押してくる演出に、これは気を引き締めて観ないと置いて行かれるゾと身が引き締まった後、テレビシリーズのウルトラマン以前の事件=つまり怪獣の出現が頻発するの至った前史として「ウルトラQ」の素材(ネタの意味)を使って、この映画の世界観の説明が入る。
まずは、「ゴメスを倒せ!」からゴメスの出現から駆除に至るまで(このゴメスがシンゴジラの改造を思わせるデザインと思っていたら、やはりシンゴジラのデータを元に作成していた)、マンモスフラワー、ペギラ、ラルゲユウス、パゴス(先に公開されているドリルの襟巻きのついたガボラの襟巻きナシという判りやすいデザインで湧かせてくれる)、カイゲル(「ゴーガの像」のゴーガの準備稿の没キャラクター名 → 転じて、ゴーガではなく没ネーミングのカイゲルが正式名称となった、別次元の延長線上の世界観、いわばマルチバースとしての世界観なのか?)と初っ端から、それそれ僅かな尺ではあるものの、既にこの日本は怪獣無法地帯と化している事をサービス満点で説明してくれる。
ますます置いてけぼりにされないとようにと気が引き締まる!(笑)

そして、間髪入れず、山間部にネロンガの出現。
禍特対(この映画の世界での科特隊=科学特捜隊)の設立経緯の説明が入り、映画の登場人物のセリフの第一声は「(自衛隊の現地での対策司令部と思われるテントに禍特対が入室するシークエンスで、また)お邪魔しまーす」で、もう私のハートは鷲掴みですよ。

吸電すると透明ではなくなるネロンガの体質に、「意味ナイじゃん!」とツッコミを入れる禍特対のやりとりは「空想科学読本」のまんまだが、それとて「ネロンガのこれ見よがしな体質」は、例の予告編の知識があれば、この後に展開されるであろう外星人の作為を感じさせる事を匂わせているのも良し。

ウルトラマンと地球人との融合を具体的には描いていないので、子どもには少し難しいかもしれないものの、この省略も良し。

作品としては、照明はリアルに徹しているので、私が面白がるユニークな照明を特にしていないのと、カメラワークにも凝っておないので見やすいのが助かる(カメラアングルは時折凝っていて、実相寺アングルに入る事もあるものの、さほど気にならず)

続いてガボラ。
ネロンガとガボラのチョイスは、元々が改造怪獣だからという理由を事前に樋口監督が語っていたけれど、その後の展開で「それだけではない」事が明らかにされていて、感嘆する。
しかも、先のパゴスも絡んでいるし、パゴスを伏せていた事にも感嘆させられる。

怪獣とウルトラマンとの格闘、特に怪獣プロレス的なアクションはココ1箇所のみ。ウルトラマンの力技が発揮されるのは、ガボラがウラン怪獣だという一点に尽きる。
そして、ここまでのウルトラマンは特に「ぶっきらぼう」で、地球に慣れていない様子なのが更に続く展開の伏線になっているのも面白い。

続くはザラブ星人。
ニセウルトラマンの出現までの怒涛の展開と、ウルトラマンの正体バラしが「この段階で来るのか?!」と、そうなるとこの先はウルトラマンが怪獣を倒して続く、所謂「予定調和」が崩れる展開となって、全く予測不能となる。メフィラスが登場するのは予告編で明らかだったから、前のめりにならざるを得ない。

ここで長澤まさみと斎藤工のバディコンビの設定が特に動き始めるのも良い。

ザラブ星人の罠を突破したのは、斎藤工のウルトラマンとしての地球人=長澤まさみへの信頼と、それに応えた長澤まさみの突破力と行動力で、ここで涙腺が崩壊し始めた。
オリジナルの「遊星からきた兄弟」では、ホシノ君の涙がハヤタの拘束具を溶かす展開で、子ども向けとしては判りやすい展開なのだが余りにもズバリそのもので大人にはこそばゆい展開だとこの歳になると思う。
しかし、こういう形であれば子どもには判りにくいかもしれないが、大人に通じる(それでもこの映画の中ではアッサリと描かれている)んじゃないかしら。
その後のザラブとウルトラマンの空中チェイスに至るまで、私の脳裏にはウルトラマンが好きだった先に逝った友人達のことを思い出して、更に涙腺がヤバい事になっていた

閑話休題

ザラブに拉致された斎藤工を助けに来るチェンソー片手の長澤まさみが素晴らしい。これ見よがしにチェンソーを振り回すシーンは無いのも良い。
謎だらけの公安調査庁出身の斎藤工の正体がウルトラマンであることを知らされていなかった相棒の長澤まさみの怒りと、それを一言で説き伏せる斎藤工の関係が素晴らしい。長澤まさみの呑み込みの速さも素晴らしい。
正体がバレた斎藤工は禍特対には戻れないだろうし、長澤まさみも同じ。
果て、どう展開させるのかと思ったら、斎藤工は失踪、長澤まさみを巨大フジ隊員に倣って登場させるとは!

それまでニタニタしたり、思わず笑い声が出たり、感嘆していた私。1つ離れた左隣のあんちゃんは、苦虫をかみ潰していたみたいだったのだが、この巨大長澤まさみの登場は、流石に劇場の観客からの感嘆の声が聴こえた。「ウルトラマン・きんじられた言葉」を観ていれば、この映画を初見した際には感嘆せずにはいられないのは確実でしょ?
メフィラスの登場は、巨大長澤まさみの登場後なので、度肝を抜かれる。

長澤まさみファンにはたまらない、タイトスカートのまま巨大化した長澤まさみファン垂涎のショットがいくつか続いて、操られたままの長澤まさみが片足を上げたままフリーズしている訳で、あの状態のフィギュアは発売されるんじゃないかしら?

メフィラスの登場後は、何故日本にだけ怪獣が出現するのかが語られるのだが、私的には「全ての怪獣が宇宙人=外星人の尖兵とする設定」はあまり好みではない。
が、それとて、この映画の中だけの話だと納得する。
加えて、ウルトラマンに変身するシステム、いわば「コスモクリーナーD」のような「人類の叡智を超えたオーバーテクノロジー」を巡って、日本と世界各国との安全保障の問題を匂わせ、宇宙中に知れ渡ってしまった地球に住む人達の立場の話に展開してゆくのも素晴らしい。
風呂敷を拡げまくってる。

そして、メフィラスと日本政府との調印を阻止するために、禍特対とウルトラマンの共闘がスタート。

映画の冒頭での「独立愚連隊にようこそ」のセリフがここで効いてくる。
この映画には、各所にこういう演出が効いていて、ウルトラマンの正体に言及するセリフのやりとりで映像は斎藤工を追っかけていたり、長澤まさみが風呂に入れない事を嘆いていたら、長澤まさみの体臭の話になったり、「映画ののお約束」が各所に埋め込まれているのも愉しい。
そういえば、斎藤工(ウルトラマン)と山本耕一(メフィラス)の会談で団地の公園のブランコのシーンも、子供たちやお母さん達が周囲で日常を送っていたはずなのに、いつの間にか誰も居なくなっていた描写があって、機動隊らに包囲されていたり、その後の斎藤工(ウルトラマン)と山本耕一(メフィラス)の、居酒屋での会談では冒頭から「♪小鳥」が居酒屋のBGMとして流れるかと思ったら、禍特対は軟禁されて「何も出来ない状態」をよぎなくされるわ、絶望的な地球の危機を前に「なんもせんほうがええ」を匂わせる展開にもニンマリとさせられる。
「♪小鳥」は、1974年のテレビシリーズ「日本沈没」の挿入歌で五木ひろしが歌っている。
件の居酒屋のシーンの冒頭から「♪小鳥」のイントロが流れ始めて、聞き覚えはあるものの直ぐに「♪小鳥」だと判らなかった私は、さながらイントロ当てクイズに陥ってしまって、暫くセリフが耳に入ってこなかった。とほほ・・・

そして、メフィラスとウルトラマンの決闘。
オリジナルを知っていれば、メフィラスが自主的に去ってゆくのは判っている。
が、この映画では、そんな単純な予定調和を良しとしないのは、ここまでの展開で判っている。どう来るのかと思ったら、ゾフィー(映画の中では、ゾーフィ的な発音であった)の登場!
メフィラスは、ウルトラマンの援軍=ゾーフィの登場で立ち去ったのかと思わせておいて、ゾーフィは地球人の抹消の為のシステムとして「ゼットン」を持って来たと言い出すので、2度ビックリ!

このゾーフィの設定変更には是非があるとは思うけれど、それ故の「ゾーフィ」の呼称のような気もする。

ウルトラマンは言わば「抜け忍」扱いで、光の国を追われる存在になる事を覚悟しているという展開に感嘆する。さんざんカムイ外伝やデビルマンで見ているのにね。

地球の大気圏外に、これまでには無い巨大なゼットンが浮かび、地球上のどこからでも見えるという圧倒的な絶望感。これは「巨神兵、東京に現る」や「エヴァンゲリオン」でもいくつかの使徒の表現でも同じ描写がある。

ラスボス(この表現は好きではないが)ゼットンを前に、ウルトラマンの知りうる「人類の叡智を超えたシステム」の解析とゼットン対策の具体的な作戦作成を禍特対が担い、地球人には不可能な部分(ウルトラマン=斎藤工は、これを「0.5秒でぶん殴りゃイイんだろ」と、ドラゴンボールの孫悟空のような表現をするのが可笑しい)をウルトラマンが担うという展開。

ラストは人間として蘇生して斎藤工が眼を覚ましてエンドクレジット・・・

気になったのは、ゾーフィは、「命を2つ持ってきた」とはいわないし、匂わせもしなかったこと。
しかし、ウルトラマンを連れて帰ったのは確か。

それと、地球人の有用性が宇宙中に拡散してままになっている事。
これはとりもなおさず、これからは地球人が宇宙で自立しなければならない事を意味している。

事情は変わったのだ。

これまでの続きではあるが、これまで通りは通用しなくなってしまった訳で、パンドラの箱が開かれた所で映画は終わる。


公開が伸びた「シン・ウルトラマン」ではあるけれど、コロナウイルスどころか、ウクライナ戦争後の世界にも通じるテーマを突きつけて、この映画は幕を閉じる。

ハッピーエンドのようで、ハッピーエンドが迎えられるかどうかは、我々にかかっているとでも言ってるようだ。

これも、かつてのウルトラシリーズでさんざん観終わった後に抱いていた感情であった事を思い出させてくれた。


以上、1回目の反芻オワリ。



『シン・ウルトラマン』が公開 斎藤工が“変身シーン”語る「ベータカプセルの造形が美しい」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=54&from=diary&id=6955590
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