「平成大不況」に見舞われながら、金融政策で株価を誤魔化し、全然ＧＤＰが増えないうちに、世界は大きく様変わりして、日本だけが置いてけぼりを食っても、相変わらず政府は「緩やかな景気回復基調にある」と繰り返してきました。しかし、此処へきて、「新型肺炎コロナウイルス」の世界的蔓延で、誤魔化しようのない「大不況」が目の前に立ちはだかりました。さぁどうする日本。これから申し上げることは多くの現役の方々にとって耳の痛い話かもしれませんが、生きて行くためには「やるしかない」と覚悟を決めて取り組んでほしい課題です。
その�，蓮�日本製の部品が買われて組み立てられ、世界で売られている商品が沢山あると言うことは、日本の商品開発力がないと言うことです。なぜそういうことになったのか？日本の高度成長期までは、地べたに這いつくばって苦労を重ねてのし上がった。「下から目線」で「買ってくれるお客様」を「神様」と呼んだ。お客様に気に入ってもらえるようなデザイン、お客様が望む機能や性能、品質を追求した。お客様に店頭に来て商品を選べるように「ショッピングの楽しみ」を作り、「コマーシャル」でお客様をワクワクさせた。その感動が今少ない。大型店の店頭に行っても、どこの商品も似たようなデザインであり、仕様であり、値段であり、第一「これが欲しい」と思われる感動がない。要するに「今ある商品を捨ててでもほしい代わりの商品がない」のです。
その�△蓮▲瓠璽�ーが「上から目線」に変わった。仕事を選り好みするようになった。Ｂ to Ｂとか、Ｂ to Ｃとか言って、商品を自分のやりたいジャンルを絞るようになった。客先を絞れば、メーカーのターゲットになる顧客が絞られる。そこへ自社の持つ経営資源を集中することになる。自ずと、顧客の欲しがる商品よりも、自社の誇れる商品を押す形になる。しかし、買い手は「自分の求める水準」を満たさなくては買わない。売り手が勝手に設定した商品を押し付けられるのは好まない。お客は他の客より優れたものをリーズナブルで買いたいのだ。ここに、日本のメーカーの驕りがあった。世界が「ＭＡＤＥ ＩＮ ＪＡＰＡ」を高く評価した。だから今後は「何を作っても買ってくれる」と。
その第��は、「過去の成功遺産」を守ろうとして、新しい時代を切り開く「商品開発」を怠った。つまり、例えば「スマホとガラケーの違い」に気が付かなかった。スマホはスタートこそはＰＨＳだったのかもしれないが、インターネットやＧＰＳと言った外部が提供する社会インフラを巧みに利用して、製品の機能を高めて毎年新製品を発売し、毎年スマホの新製品を「欲しがらせる＝消費者基点の商品」開発に拘った。ユニクロの「ヒートテック」然り、ＪＲ九州の「ななつ星」然り。既存路線の延長ではなく、客のニーズを発掘して新しい需要を開拓した。しかし多くの企業は脱皮できずに、過去の栄光を崩す「海外工場進出」での「原価低減」で自らの「命よりも大事な商品」を粗末な「コモデティ」レベルに下げて、韓国や中国に市場を奪われるチャンスを与えた。
戦後の日本が発展した陰には、「盥屋さん」を潰して洗濯機を売り、「映画産業」を斜陽にして「テレビ」を普及させ、「火鉢」屋さんを倒産に追い込み「石油ヒーター」や「エアコン」を売り、「写真機」を「ビデオカメラ」に置き換えさせて、生活をガラリと変えさせました。カマドや七輪でご飯を炊くのを、電気釜に置き換えて、家事労働を楽にさせました。最近はそのようなドラマチックな「生活を一変させるような商品」を誰も作ってくれません。「地デジ」や「ハイビジョン」をキッカケに、世界中のテレビを一斉に「液晶テレビ」に買い替えさせたことが、逆にその後のテレビ需要を停滞させて、多くの家電メーカーが自滅して行きました。
「市場がない」と言われますが、「市場」は作るものです。例えば、業務用の「ＣＴスキャン」や「人工透析器」などの医療器があります。もっと安価で使いやすい「家庭用」が出来れば、高齢化の時代は一家に一台必要な「家庭用健康管理機」があっても良い。健康を測定しながら、ネットでお医者さんとつなげば、病院まで出かけなくてもよい。「家庭用調理ロボット」があれば、「中食」や「レトルト食品」をそれに合わせて食品メーカーに作ってもらえば、家庭にいながらにして名門ホテルの食事が毎日楽しめます。そこに「料理の専門家の腕のいかに取り込むか」が売れ行きを決めるのです。それなのに、メーカーさんはお客の方を向かず、安易にコンサルタントに聞いたり、アンケートしたりします。そこから得られるものは「どこかで見たか聞いた過去の意見や知識」に過ぎません。「俺が世界を変えてヤル」と言う高邁な理想なくして、どうして日本が発展するでしょうか？
毎年、新製品が枚挙にいとまがない時代に戻りたい。「お客を探し回る」ことから「需要を作ること」それが「マーケッティング」の本義であって、「会議室」で「イノベーティブな発想」を議論しても「需要は生まれない」のです。「インプット」を持たない人が何人集まっても「アウトプット」はゼロなのです。誰がやるのか？社員ではありません。社長、貴方がやるのです。社長ができなきゃ社員がやるはずがありません。社長が自分でもがき苦しみ、それで道が見えてきたら社員にもやってもらう。これができなければいくら優秀な技術者でも、博士でも経営者にはなれません。
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