抜歯１本っ！

歯医「左下奥歯、
　ここに小さいけど、
　虫歯があるんです。」

歯医者さんが、
パソコンモニターに映された
レントゲン写真を指さし、説明しています。

歯医「この虫歯、
　この歯と接触しているところにあるでしょう？
　これが邪魔で治療ができないんです。」
歯医「歯磨きも邪魔していて、
　虫歯になったんだと思います。

私「邪魔ですねぇ、」
歯医「親知らずです、抜いて治療しましょう」

私、歯医者さんが苦手です。
削るだけでも痛いのに
抜いてしまうなんて、、

レントゲン写真を見ると、
私の歯の中で一番健康で大きい歯です。
しっかり歯茎に根づいています。

しかし、虫歯が進行すれば、
痛むだろうし、結局は治療することになります。
ここは１つ覚悟を決めましょうか、、

そんな事があったのは、７月の初め。
休日出勤とか、お盆の来客とか、
なんとなく忙しく、
歯の治療は延期していました。

延期にしても、
気持ちは、休まることは無く、
恐ろしさがつのる感じ。

やるなら一思いにやってもらおう、
と再び覚悟し、
先週、歯医者に行ってきました。

ポジティブな事を考えよう。
松田優作は、役作りのため
奥歯４本を抜き、顔を細くした。

抜歯後、丸顔の私の顔は
小泉今日子さん的なシルエットに？

役に立っていない親知らずなんて
さっさと抜いてしまって、
気持ちよく断捨離だっ！

歯医者のホームページには、
「痛くない治療を目指しているので、
お子様でも安心」
みたいな事が書かれています。

お子様でも大丈夫だったら、
人生においてベテランの域に入っている私、
ちょっとくらいは貫禄を見せたい所です。

受付に診察カードを提出し、
ソファに腰をおろそうとすると、
診察室から
「ギャァー！」といお子様の叫び声！
「ガキが泣いているじゃないかっ！！」
（私の心の声）

名前を呼ばれ、あの椅子に座ります。

最初、チクッとする麻酔があり、
その効果で、
次の注射の麻酔は痛くありません。
１０分くらい放置。

歯医者がやってきて、
例のレントゲン写真を見ながら、
説明してくれました。

歯医「今から抜く親知らずは
　見て分かる通り、横に向かって生えています。
　この先端の部分を切り取り、歯を起こし抜きます」
私「うー」

最初、歯を抜くと言われた時、
どうやって抜くんだろう、と思ったんです。

横向きに生えている歯ですからねぇ、
起こさなければ抜けない、

例えば、殺人事件で人に包丁を刺した場合、
そのまま引き抜くのと、
刺した包丁をぐりぐりするのとでは、
殺意の度合いとか、量刑とかに差がでるはず。

しっかり根づいた歯を起こすなんて、
刺した包丁を
ぐりぐりするのと同じじゃないですか

最新の医学だったら、
ドラえもんのマシーン、
スモールライトで抜く歯を小さくするか、
特殊薬品で歯を柔らかくするか、等、
他に方法はないの？

どうやって抜くのかなんて、
恐ろしくて聞けなかったてすよ、
プロとしての答えは、
素人の考える最悪のケースっと同じ、、
ガッカリですよ。

そうは言っても、治療は
麻酔のおかげで痛くはありません、

でも歯の先端を切断するときの、
摩擦熱でカルシウムが焦げる匂いとか、
その後の恐ろしい治療による
振動とか音、顔にかかる抑えつける圧力。
とても不快です。

例により、現実逃避のため、
Ｈな事を考え妄想に励みますが、
加齢による体力減衰で
Ｈな気持ちに火がつきません。。

試した方法に効果がなければ、
次の方法に切り替える、
そこらへんは柔軟に考えないと。

苦痛を、
楽しい嬉しい快楽に置き換えるのは無理がある。
苦痛は苦痛として受け入れないといけません。

これは、未開の方たちの野蛮な風習、
割礼とか、バンジージャンプとか入れ墨。
大人になるための通過儀礼です。

そーなのだ！
この試練に耐えなくては
立派な大人にはなれないのだ。

その瞬間、激痛！
体がビクっとして声も出ちゃいました。

歯医「麻酔の効きが悪かったかな？
　もう１本打ちますねぇ、」
痛みが遠のき、治療が続きます。

次の痛みに備え、体は硬直です。
「もー、大人なんかになりたくないよう、
　少年の心を持ったじーさんくらいで
　勘弁してくれないかなぁ、」
（私の心の声）

治療が終わったときは、
もう、クタクタでした。。放心状態。

歯医「おつかれさまでした、
　ちょっと大変だったけど無事抜けました、
　明日、術後の確認をするので来てください」

そんなの聞いてないよぉ、、
明日の日曜日は、
東京芸術大学の芸祭に行くつもりだったんです。

でも、東京に出稼ぎに行っているので、
行けるとしたら明日のみ。
「それじゃ、朝一でおねがいします。」
と言うしかありません。


翌朝９時４５分。
歯医者の前で待ちます。

開店は１０時ですが、
約束通り、
朝一で９時５０分には診察して頂きました。

歯医「痛みはどーですか？」
私「夜、痛くて起きてしまい薬を飲みました」
歯医「じゃー薬は何個飲んでます？」
私「３つです」
歯医「昨日渡した６個じゃ足りませんねぇ、
　今日も６個出しておきましょう」
なんて言ってましたが、
水曜日になっても痛みは引かず、
鎮痛剤を買っちゃいました。

歯医「腫れのピークは、火曜日ごろになると思います、
　お大事にしてください。」

腫れのおかげで口が大きく開きません、
一番楽に食べられるのは、
クッキーとかクラッカーでした。
月曜一杯、クッキー、クラッカーで過ごしました。

その腫れは、木曜日になってもひかず、
顔が曲がってしまった感じ。
小泉今日子なんかじゃく麻生太郎だよぉ、
安倍友なんて嫌だよぉ。

芸祭には行きました。
朝９時着くつもりだったのに、
歯医者なんかに行ってしまったため、
到着は１２時ちょっと前でした。

芸祭を全部、
真面目に見るなら２日かかります。
それが半日になってしまいましたからねぇ、、
ちょっと急ぎ足です。
階段も２段飛ばしで登っていると、
抜いた歯のあたりがズキズキ。

とても痛いです。
鎮痛剤２個飲んじゃいました。

流血もあったみたい。

絵画棟３階で、
「湯たんぽ」の監督さんに声をかけて頂いたんです。

それだけでも緊張なのに
流血のため、口臭があるのでは、、
なんて思っちゃっうと
半パニックでした、、

先ほど、歯医者さんへ行き、
抜糸してきました。
一カ月くらい、
傷口の手当てをすると言ってました。

またまだ痛みは続くのかなぁ、
鎮痛剤、出してもらいました。