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2020年09月20日01:10

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芥川賞作家は、どれくらい稼げるのか。純文学だけで生きられるか。2

一般に、芥川賞作家は賞金100万円以外にどれぐらい稼げるのか。
 2003年、高校教師のハチャメチャな性的、暴力的世界を描いた「ハリガネムシ」で芥川賞を受けた吉村萬壱さん(55)は受賞の年、執筆だけで約500万円の収入があった。大阪府内の障害者支援学校教員の給与と合わせると、年収1000万円を優に超え、専業作家の道も考えた。
 「でも早々に担当編集者から『仕事は辞めるな』と言われたんです。『勘違いして辞める人がいるけど、食べられないし、世界が狭くなりますよ』と。あと、芥川賞の賞味期限は10年と言われました。『10年は原稿依頼が来るけど、それを過ぎたら、自分の足で立っていないと、その時点で死にます』って」。案の定、執筆での稼ぎは年々減っていった。「僕はもともと寡作で、書くのにえらい時間がかかるんです」。デビューから現在までの14年で計8冊と比較的少ないのは、スランプに陥り09年からまる4年、全く発表できなかったからだ。
 「08年ごろ、それまで絶賛してくれていた編集者に、『吉村さん、このまま売れない小説家で終わってもいいんですか』と突然言われたんです。売れるのを意識して書き方を変えることが僕にはできなくて、ずっと原稿を編集者に渡せなかったんです」
 悩んだ末、吉村さんは芥川賞受賞から10年が過ぎた13年、専業作家となった。執筆量は増え、精神を病んだ妻が次第に巨大化していく「臣女(おみおんな)」(14年)など話題作を発表し「今の年収は教員時代の半分の400万〜500万円」。夫婦2人なので十分な額だが、初のエッセー集など企画も続き、「いつか教員時代の額に戻したい」と展望も開けてきた。
 一方、昼夜の生活が逆転し、自堕落な吉村作品の主人公に近づいている感もある。「教員時代は副主事などで忙殺されてたけど、今は古い小説を読む時間ができ、それが仕事に生きている。そもそも時間があれば書けるってもんでもない」ことにも気づいた。専業小説家にはメリット、デメリット両面ある。
 出版科学研究所によると、日本の出版販売額は1996年を頂点に下落し、15年の総販売額はピーク時の6割弱。純文学だけの内訳はないが、15年の小説全般の推定発行部数はピーク時の7割強。吉村さんが「売れる小説を」と迫られた背景には出版不況がある。
 この研究所が発行する「出版指標年報」によると、エンタメ系も含む「小説物語」の新刊発行部数は過去10年、ほぼ横ばいだが、「純文学系は確実に減っている」(研究所職員)。08年以降の「小説物語」は書籍全ての新刊発行部数の約25〜32%を占める最大のジャンルだが、総販売額は約17〜22%。「たくさん刷る割に売れない分野」(大手書店販売担当次長)なのだ。
 「小説家が食えないのは、今始まった話じゃありません」と言うのは大手出版社の文芸雑誌編集長だ。作家の実名は出さず、こう続ける。「夏目漱石の時代から現在まで、純文学を専業にできるのはごくわずか。今は村上春樹さんをはじめ1桁じゃないですか。新人作家の初版は3000部。印税1割で1冊100円台なので、得るのは30万円強。1年で2冊出しても年収100万円に届かない。今は学位がなくても大学の教員になれたり、テレビに出たり、昔より副業収入は得やすいので作家を続けられますが、執筆だけで食べるのは無理ですよ」
 低収入を覚悟で執筆に専念する小説家もいるにはいる。09年の「まずいスープ」から14年の「どろにやいと」まで5回、芥川賞候補になった戌井昭人さん(44)だ。ダメ男ながら妙に精神の落ち着いた主人公が下町や村々をうろつく描写が、ユーモアあふれる哀感を読後に残す作品群だ。
 「雑誌に原稿用紙10枚書いて4万円。100枚書いたら40万ですけど4カ月はかかる。『もっと頑張りなよ!』って前の恋人にきつく言われたことがあるけど、がんばって書けるってもんでもないし」
 だんご屋、塩工場での袋詰めなどいろいろ副業をこなしてきたが、就職は一度もしたことがない。「一度、僕ら定職のない連中ばかりで、大手企業の女性社員と合コンやったんですけど、『2次会はカラオケ!』と僕らは異様に盛り上がったんですけど、店の外に出たら女性たちが皆消えてたんです。やっぱ一度くらい就職しないと、人間、ダメなんですかねえ」
 就職してみたい理由は、暮らしの安定よりネタ探し。作家として人間の幅を広げる修業という発想に見える。小説家は副業を持ち、そちらの方でいくら稼げたとしても、本業はやはり小説家なのだ。
出典、《参考:純文学だけで生きられるか》
※純文学作家の「生きる糧」 芥川賞作家も副業は当たり前 「専業」はわずか1桁?
(毎日新聞2016年8月29日 東京夕刊)

――
研究者の衰退
望月衣塑子@ISOKO_MOCHIZUKI
日本の研究者が育たなくなった大きな契機を作ったのが #小泉首相と #竹中平蔵 氏が推し進めた国立大の法人化だ。2005年〜の10年で日本の論文数は9850本減り、減少数はワースト1に。
幻の科学技術立国 #国立大民営化 に賛成」小泉首相答弁に騒然 遠山文科相、法人化で説得

幻の科学技術立国:第2部 源流を探る/2 「国立大民営化に賛成」小泉首相答弁に騒然 遠山文科相、法人化で説得 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180802/ddm/016/040/010000c
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