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2021年04月10日15:50

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翻訳家

私自身、本好きですが、小説の翻訳家と言うものは

本当に本が好きでないと無理な職業だなと思う事多々ある訳です。

 主人公が翻訳家と言う小説や物語は案外ありますが、

訳文の内容にまで踏み込んで書いてある小説は少ないです。

 今回はその少ない一作、石原敦久氏著

「人生はアイスクリーム」

 しぶとく続いているメディアワークス文庫週間です。

 主人公は売れっ子作家専属の翻訳家、妻と子供に恵まれて

順風満帆だったけれど突然妻子を失いトラウマになり

食事ができなくなり、死のうと考えだします。

見かねた編集者が主人公の姉に連絡し、

姉とその子供が主人公宅にやってくる。

 そんな所から物語は始まるのですが、

姪っ子が少し特殊な能力を持っていて、主人公は過去と向き合い、

その姪っ子とも向き合う事になります。

物語自体は少し流れの悪い部分はありますが、

本質的に話の質が良いので読み切るのは容易です。

 実は本筋で翻訳の仕事は姪っ子と共鳴するための小説に至る小道具なのです。

私は海外小説では、ジャック・ヒギンズやセシル・スコット・フォレスター、

ジェイムス・グレアム・バラードなんかが好きですが、翻訳家によって

本当に同じ作家が書いたのか?と思うほど文章に差が出てきます。

 この小説の中に「翻訳家は小説家を殺 す殺 人者」

と言うセリフが出てきますが、それは、小説に限らず、英語字幕の邦画や

アニメーションを見ても痛感します。

 鎖国していた日本の教育が日本語で行えるのも、

開国時、優れた翻訳者が日本語に直し、日本語に無い言葉を創造したおかげです。

この小説には、そんな先人の翻訳を想像する部分があったりするので、

海外小説好きとしても興味深さが倍増でした。

 いい本だと思います。
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