小説のシリーズものなどでは結構サブキャラクターの語りで
主人公を表現する手法があったりします。
柴村 仁 氏著「プシュケの涙」はそんな作品の亜種です。
同学年の女性が自 殺した瞬間を目撃した高校生の語りで始まりますが、
序盤の語りは論理的なのに少し違和感があります。
読み進むにつれ、その違和感が大きくなって行き、
中盤にその違和感の正体が明かされます。
変わり者で、不登校とされていた件の女子高生の
死の原因が明らかになって行きます、
終盤は、その女子高生の物語になって行き、
主人公との関係性が明らかになり、家庭の事情、校内での誤解、
主人公が心の支えになり、回復しつつあり、
素敵な女性であった事が記される訳ですが、逆に残酷さを演出します。
この著者は、前に「4Girls」をご紹介しましたが、非常に視点が面白いです。
著作リストを見ると、タイトルは違えどシリーズっぽい感じのものが
何作かあるので、ちょっと追いかけてみたくなる作品です。
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