声の色といっても声色ではなく、小説の中に出てくる能力。
で、メディアワークス文庫週間にて、
小川晴央氏著の快作
「君の声に耳をすまして」
です。
声の色が見えて、その相手の本音が見えてくるが故、
人間恐怖症に近くなった主人公、
映像や録音ならばその色は見えないので、大学は映像関係の学科、
下品な先輩位しかいない限られた人間関係の中に突如現れ、
映像作品に参加を申し込んで割り込んできた失声症のヒロイン
声の色が見える事自体は、人の顔色を伺う能力を分かり易くした感じで、
そんなに無理が無いので案外自然に読む事ができます。
それに対して、そんな主人公にとって声を失ったヒロインの存在は
心の本音が見えず、逆に精神的に楽な存在でした。
しかし、ヒロインが彼に近づいた動機が隠されていて見えなくなり、
物語は意外な方向へ向かいます。
結末も、軟着陸が上手いハッピーエンド。
300ページ程度の装丁ですが、一気に読めました。
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