私達の業界は、いくら正確に図面を描いても誤差が付き物で、
時間との勝負の中、現場の対応が必須な訳ですが、致命的なケースは少ないです。
誤差自体見込んでの設計をなされている場合が多いのです。
私達の業界と違いその誤差が許される範囲が非常に小さいのが宇宙産業です。
ギズモード・ジャパンの記事によると、ロシアが打ち上げた人工衛星「Meteor-M」
この衛星は11月に通信不能になる訳ですが、先日、ロシアのTV番組で
副首相ディミトリ・ロゴジンが「原因は人為ミス」と語ったそうなのです。
極軌道を周回する予定だったこの人工衛星には50億円ほどのコストでした。
打ち上げが行なわれたのはロシア極東のボストチヌイ宇宙基地でしたが、
プログラムではバイコヌール宇宙基地の座標が入力されたと話したそうです。
バイコヌール宇宙基地は南カザフスタン。ロシアの国営宇宙開発企業ロスコスモスは
「人為的ミスじゃなくて予測が不可能な複数の要素が原因」と声明を出したそうです。
ロケットに積まれていたものには、科学的リサーチから商業目的まで18の人工衛星。
ロシアのほかノルウェー、スウェーデン、アメリカ、日本、カナダ、ドイツなど。
宇宙開発において人為的なプログラムミスや技術的なバグは珍しくないのですが、
このように莫大な金額だったり、人命が絡むだけに怖いですね。考えてみれば、
ソビエト連邦のロケット実験におけるニェジェーリンの大惨事や
アメリカのスペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故などは
明らかに人為ミスが原因です。しかもほんのちょっとした事なのです。
これらの事故に共通するのは多くの場合、時間の無さです。
期限が長くても、ちょっとした変更や調整で時間が無くなる現象に
何度も遭遇している身としては、何だか身につまされる話ですね。
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