WIREDの記事によると、
時計の精度を計測するには、もうひとつ時計が必要。
どんなに高性能な時計をもってしても、時間を正確に測定するのには限界がある。
という結論をウィーン大学とオーストリア科学アカデミーの物理学者チームが
導き出したそうです。
量子力学と一般相対性理論を組み合わせて考慮すると、
高精度な時計が刻む時間は、
同じ空間で測定する際に途端に“ぼやけて”しまうという現象を、科学誌にて説明。
“超正確な時間”を測定するには、まず原子時計のように超高精度な時計が必要。
その時計の精密さを計測するのには、もうひとつ、同じくらい高精度な測定器が必要です。
この2つの超正確な“時計”は、同じ空間に置かれると、相互作用を及ぼすようで、
量子力学には、「ハイゼンベルクの不確定性原理」と呼ばれる数学的不等式があります。
相補的関係にある一対の物理的性質をより正確に知ろうとすれば、
他方の物理量が曖昧になり、その逆も同様である。というものです。
対となる物理的性質(位置・運動量や、時間・エネルギーなど)を
同時にかつ正確に知るのは原理的に限界があるという理論です。
時計の場合、限りなく正確に時を刻む高精度の時計は、そのエネルギーにおいて、
大きな不確定性を有することになります。
また、一般相対性理論には「時間の遅れ」という現象があり、
運動状態やエネルギー、重力場の強さにより、時間の進み方の変化を予測するものです。
通常、大きな質量をもつ天体の近くや、
光速に近い速さで運動する物体の時間の進み方が遅くなります。
アインシュタインは、有名な公式E=mc2により、静止した物質の質量と、
エネルギーの間には等価性があることを示します。
巨大な質量をもつ天体のように莫大なエネルギーをもつ物体は、
空間を歪ませ時間の進みを変化させます。
量子力学は、超高精度の時計はエネルギーの不確定性を非常に大きくする可能性を予測。
一般相対性理論は、エネルギーの不確定性が大きいほど、
その時計の隣辺の時間の流れの不確定性は大きくなると予測します。
これらの情報を繋げると、
同じ空間に隣り合って配置された時計は必ず互いに干渉し合い、
最終的に計測される時間の精度を落としてしまう結果になります。
専門家は、量子力学と一般相対性理論の両方が考慮されている“時間の本質”について、
考えを再検討する必要があると言います。
現在使用されている原子時計は「数千万年に1秒」の誤差という精度を誇るといわれている。
理論的には宇宙の年齢(138億年)が経っても1秒以下の誤差しか生じない
「300億年に1秒」の精度をもつ光格子時計の研究も進んでいるそうです。
アインシュタインやハイゼルベルクの論理だと、
速度、重力だけでも時間の進みかたが変わるので、
位置が変わるだけで、時間の進みかたも変わるので、
時計の精度が上がれば上がるほど誤差が明確になるのですね。
この原理からすると、我々一人一人違った時間を過ごしているのだと思うと、
個性があるとか無いとか言っているのがバカバカしくもありますね。
既に我々は一人一人違う時間を過ごしているのですから。
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