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2019年10月15日11:33

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深い河

深い河 遠藤周作 を読了。
妻に先立たれた夫。空虚を抱える女。病床で鳥に慰められた男。
苦悩する戦友を看取った男。
それぞれが理由を持ち、何かを捜し求めて母なる河ガンジスのほとりに佇む――

今までの作品で出てきた要素等が一つにまとまった、
作者の答え、とも言えそうな一冊ですね。
登場人物が同じというわけではなくテーマという意味で。
平行して語られるそれぞれの物語が河という要素で一つにまとまる構成の妙も感じます。

きらびやかなものや厳格なものではなく、
汚泥も苦痛もすべて飲み込みながらも傍らにいてくれる「何か」にこそ慰めを見出す、
というのはすごく共感できる。
逆にそういったものを必要としない人も少なからずいるのだろう、と思います。

作者の祈りと慰めとは何か、という答えを読みたい人は是非。
率直に言えば内容も結末も非常に重たいものですので、
そういった話であるという覚悟は必要かもしれません。
読み終わって爽やかな気分になるというより、深く考えさせられるタイプのお話でした。
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