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2019年02月22日05:51

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コラム798:指示待ち

昨今のニュースでは、会社に於ける若手社員の「指示待ち族」が取り上げられています。
 
ただ、これが現代の若者の特性だとは私は思っていません。「指示待ち」というのは、あくまで上辺であり、その奥には現代の若者が備えている「合理性」があるのではないかと私は推察しています。
 
「もっと主体的に動いてほしい」と上の世代は思っていたとしても、実際のところ、社会経験が浅い方々が主体的に行動すると、それはそれでより大きく炎上してしまうことを彼等は既に悟っているのではないでしょうか?
 
一方でこれは世代を問わずですが、昨今の情報化社会により、全ての事柄がマニュアル化されてしまい、自由に動ける範囲が、もはや何もないという事態が存在しています。
 
基本的に「業務のマニュアル化」は「人間による完全自動化」を目指したものであり、これが進んでゆくと個人に与えられた裁量は必然的に無くなる方向性を示します。
 
もう10年前の話ですが、私がコンピューターの仕事でインターネット接続の仕事をしていた頃、東京で1週間の研修に強制参加させられたのですが、技術的なことは一切行なわず、全てが「ビジネスマナー研修」でした。
 
挨拶の仕方(お辞儀の角度や手の置き方)に始まり、会話の方法やクレーム処理のロールプレーイングなどと共に、歯の磨き方(お客様が不快にならないための口臭対策らしい)、下着(シャツ)の色や靴下の色指定、靴の形まで本当に事細かく決められており、ビジネスマナーの書類だけで100ページを超えていて、技術マニュアル(300ページ)を加えると辞書の様なボリュームがありました。
 
その会社は徹底したマニュアル主義で、現場から技術的なサポートを依頼しても「全ての事象がマニュアル化されているから、該当箇所を参照下さい」ということで、全く取り合ってくれず、結果的にお客様側にもご迷惑になるのですが、その対応も「マニュアルを参照下さい」とくるので、まるで「ロボット養成所」のような会社に対して、私は頭にきて強引に半年で契約を打ち切ってきました。
 
このような例は極端かもしれませんが、昨今の企業はコンプライアンス(法令遵守)の観点から、多かれ少なかれこのような事が行なわれているのだと思います。特に私のようなフリーランスの人材は、お付き合いする会社が新たに出てくる度に、その都度、同じような研修に参加しなければならず、知らず知らずのうちに、コンプライアンスに関しては詳しくなってしまいました。
 
情報処理化社会、マニュアル化、そして「指示待ち族」の量産・・・これが現実ではないでしょうか・・・このような点で、現代の若者が「指示待ち」だというのなら、それはある意味、社会が要請した目的を達成しているからに他ならないと思うのです。
 
私はフリーランスの立場として、自分の中で優先するべき事項というのがあって、仮にそれがマニュアルに反していたとしても、私は自分の考えを優先しています。
 
自分の身は会社に守ってもらうか、自分で守るかの見解に分かれるのですが、何らかのトラブルに遭遇した際に、当の会社が自分を本当に守ってくれるのかは、常日頃から考えておいた方がいいのではないでしょうか。
 
とは言え、何でもかんでも会社に楯を突くことを推奨しているのではなく、ここ一番の勝負どころで、自身が持つ道徳心や正義感を行使できるかが、その人間の持つ総合力であるように思います。
 
過去に「あべのハルカス」に入居している店舗が、車いすのお客様を店員や店長がマニュアル通りに入店拒否をし社会問題になっていましたが、ここでの問題点は、誰のためのサービスなのかという視点と、他のお客様のご迷惑ということなら、思い切って声を掛け合って許しを得るという、人間らしい考え方が全然出来ていないことに尽きます。
 
「ハドソン川の奇跡」という事件がありました。これは航空機事故によって墜落寸前の飛行機が、機長の瞬時の判断で川に着陸を試みて、被害を最小限に留めた実話ですが、このような咄嗟の冷静な判断ができる人間性を私は持ちたいと思っています。



「指示待ち人間」についてマツコ・デラックスの意見が胸に刺さる
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=159&from=diary&id=5507461
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