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2019年12月13日06:00

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グズの本分

今朝の朝刊一面が目を引いた。

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ヘイトスピーチに刑事罰を科す全国で初めての条例を神奈川県川崎市がつくったというのである。今後全国の自治体のモデルになりえて注目されるとあった。
ほんとに川崎市街地界隈で繰り返されていた在日韓国人方々に対する悪口罵詈雑言の街頭スピーチにはへどが出そうになるほど僕も嫌気がさしていたのでこの条例の制定には賛同する。

先日何の記事かは忘れたがある識者の大学教授が言うには日韓の現在の露悪な関係を修復するには一朝一夕とはいかず数百年かかる覚悟がいるのだとありほうと思った。
イギリスに対するアイルランドのテロの嵐はいまはどうなったか分らぬが、あれも確か6百年前の奴隷制度が発端だとありなるほど国家間の憎悪というのは根深いのですぐにどうこうできるものではないように思える。

まあお互い腹にいちもつを持ちつつもお互いの言い分にちゃんと耳を傾けるのが正着だと思う。今回の条例成立から各自治体がどう動くか見守っていきたい。

同じく今朝の一面でぎょっとしたのが毎日紙面で一番に読む「折々のことば」だ。今朝はこうだった。

「グズは魂と直結しているのでグズを矯正すれば魂も死ぬ」

                               岸本佐知子

→『グズな人には理由がある』みたいな題名の本があるらしいけど、自分ならこう但し書きをつけると翻訳家は言う。情報に条件反射のように反応し、反応したこともすぐに忘れる、そんな滑りのよすぎる情報社会。
でも人生の意味は問うてもすぐに見えない。むしろそう問い続けるのが人生。だから納得ゆくまでグズグズしている権利もある。随筆集『ひみつのしつもん』から。

この欄ではときどきぎょっとした日本語が載ることがあるがのっけから『グズ』とあるのには驚いた。だってグズだからねえ。
グズ。以前はよく使われた言葉だが最近は言い方が多分化されているように思う。
曰く役立たず、穀つぶし、無駄飯食い、のろま、バカ、アホとなりそのうち名刺ではなく死ねどっかいけ消えろ失せろの動詞命令形になってしまっているように思う。そう考えると『グズ』という表現も味わいある日本語に思えなくもない。漢字では『愚図』となる。

最近であるが家内の職場である町内の調剤薬局でふたりのグズがいたと聞いた。ひとりはまだ二十歳ちょっとの医療事務職の女の子で薬局に一年間勤めたものの結局役立たずでもって辞めさせられるようなかたちで退職したとあった。

聞けば彼女発達障害があったのを隠して入局したらしく、挙句一年間働いたところで仕事を一向に覚えられず、また周囲の仕事仲間やお客である患者さんが言う話を上手くくみ取ることができずコミュニケがまったく成立させられないということであった。そうなると客商売である薬局での仕事はやはり無理であったようだ。

その子の代わりに入局してきた今度は25歳くらいの女の子であるがその子もまったく使い物にならずになななんと一日どころか半日午前中職場に来ただけで職場放棄して帰っていったというのである。
なにそれ?どういうこと?と家内に訊いたらこうだった。彼女の初出勤のその日、いつもどおりに薬局を開局させてしばし時間が経過してお店が混み始めたところ、その子とたんに目に涙を浮かべてそのうちポロポロと落涙し始めたのいうのだ。

泣いている局員を公衆の面前で仕事させるわけにはいかず彼女をお店の裏口に連れて行きハンカチ渡してしばらく落ち着いたらまた戻ってねと告げてもいっこう彼女は戻らず一時間半が経過したので裏口に様子を見に行くと彼女まだしくしくと泣いていたというのだ。

どうして泣いてるの?と彼女に訊くと彼女曰くお店の雰囲気が恐ろしくて怖くてとてもその中にいられないというのであった。
ああこりゃあダメだと家内は思い管理責任者のH先生に彼女これこれこうなのでちょっと仕事続けられそうにないと伝えたところ、じゃあご帰宅願おうとなり家に帰したのであった。

翌日彼女はいちおう薬局までやってきたもののH先生にただひと言「辞めます」と言って逃げるように去っていったのだそうだ。
家内曰くあれは場所が怖いと言っているけど結局大勢の人前が苦手な対人恐怖症かなんかじゃないかなあと言っていた。そうかもしれないと僕も思った。

上記のふたりの女の子であるが仕事ができるできないのベクトルで言えばまあ端的に役立たずである。なれどふたりとも察するに精神や心の病を抱えている闘病者ではなかろうかということだ。だとすればこのふたりのまだうら若き乙女たちの未来はたいへんであろうからしておじさん心配である。実際多忙な職場を同じくしていた家内にしてみればそんなこと言っていられないようではあったが。

ここでグズといえばそりゃもうこの人だというのがいる。ご存じこちらの御仁。

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ザッパマン義父だ。まあいままで15年以上のつきあいで彼がどうであるかというと無芸大食の大飯喰らいの役立たずの無神経の大男総身に知恵が回りかねの権化である。
かつて書いたが彼がいかにダメであるかを証明している事象がありそれは彼が40年間勤めてきた警察職で分かることがある。

彼はやたらと転勤が多く、家内曰く40年間で20か所くらい回ったのではないかというのだ。そしてそれの異常さと比較できるのが元警察官であった僕の亡父だ。
父は昭和25頃から平成初期までの間ザッパマンと同じ神奈川県警に仕えていたまあヒラ警官であったが、その40年間で勤めた職場はたしか4か所であった。

なので直近と比較すると多少違いはあろうというもののそれでもザッパマンの異動の件数はちょっと異常だ。これが警視正や警視の位である所長職クラスの偉いさんであればけっこう異動が激しいらしいのであるが義父もまたわが父同様ヒラの警官であったのだ。

これを家内が察するにお父さんはきっと職場のどこに行っても煙たがられてたらい回しにされたんだと思うわとのことであり家内はそれをちょっと悲しそうに語ったものだった。

そう。彼は行く先々の職場できっと嫌われていたのかもしれない。ここでようやく日記の件名に至るが彼もまた相当なグズだからだ。なにしろロクに物事を確認しないうえで自分の思うままに勝手に動き出すしそのため周囲に災いをもたらすしすることなすことおおざっぱだしその足りないおつむで発言することばは思慮が欠けることが多いので単なる役立たず以上に余計なことをしでかす迷惑野郎だったに相違ない。

ここで義父をかばうのであるが義父はけっしてひとは悪くない。明るいしおおらかだし人を名指しで悪口言ったりしない。ただ無思慮で無配慮で無神経なだけである。

だが人はそれを時おり辛らつに「グズ」と言う。おそらく義父は陰でずっとそう言われてきたことを自身うすうす感づいていたに相違なく、そう思うと義父はやはり哀れな人であり僕も胸を痛めることもある。けっこうこの人の無神経に僕も幾度も傷つけられてきたものの。

だが今朝の「折々のことば」で鷲田清一先生は上記のようにのたまった。グズだって堂々としていればいいのである。そしてそういう世の中であってほしいと本当は皆が心の奥底で思っているはずである。まあそれにはやはり寛容であるしかあるまい。僕もそうあろう。そうあって義父をもっといたわることとしよう。週末に養護学校のお祭りで義父と再会する。だいじにしてあげるとしよう。

今朝こいつを作った。

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ぶり大根。旨そうにできました♡。
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