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2016年02月14日00:26

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三度目の「魔術師と呼ばれた男」

 長男が「ルパン三世」の近作を観て、面白がっているので、冗談半分で「ルパン三世 念力珍作戦」というインチキな映画のDVDを借りてきて見せたら、これも面白いという。それで、どうせならと、ファーストシリーズの第一巻のDVDを借りて来た。長男はまだ触手を動かしていないが、私は三話まで観た。
 「魔術師と呼ばれた男」は、私の好きな回だ。粗もあるのだが、なんたって題名がいい。中一の秋に初めて観たときから、そう思っていた。いまから7,8年前に、かなり大がかりな第一シリーズの特集番組があって、そのときに二度目を観て、今度が三回目。三回観て、三回とも、エンディングは、次元がガラスを運び去るところで終わりゃいいのにと思ったものだ。パイカルの声が江角英明だったと、今回初めて気がついた。起用された脚本家を見ても、このころのルパン三世が、末期の日活アクション映画を意識していたことが分かる。
 二度目に特番で観たときは、まず、大隅正秋のインタビューが生々しくて、膝をのりだした。すべてをさらけ出したというインタビューではなかったと思うが、それでも低視聴率に大阪まで呼び出され、つるし上げに近いであろう席に座らされたことを回想したところでの、「おまえら、なんでそっち側におんねん」という言葉には、えもいえぬ迫力があった。そっち側に座った人間がいたのだろう。
 私は世の中に出ている「ルパン三世」の大部分を観ていないし、興味もない。それでも、中学生が何かを期待して「ルパン三世」の第一回に、チャンネルをあわせたことに間違いはなくて、ルパン・ザ・サードとくりかえすだけの歌を、その後の人生で何度も口ずさむことになった。そもそも、あの歌が、ごくわずかな回数しか用いられなかったことを、その特番で初めて気づかされた。中一の秋にオンエアされた「ルパン三世」は、思ったよりも面白くないけど、気になる何かだった。そして「全員集合トランプ作戦」で舵をきった(ように中学生には見えた)方向は、その中学生の望むコミカルなアクションものという方向であったにもかかわらず、番組はつまらなくなった。作画的には拙く、台本だって粗のある「魔術師と呼ばれた男」が、その中学生の好みを超えて、彼の中で、シリーズ後半の作品群をさしおいて代表作となったことは、作品の傾向やジャンル、完成度など以前の何かのせいだとしか言いようがない。
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