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2016年02月06日22:26

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真田丸について

 「真田丸」の最初の4回をまとめてに近い感じで観て、面白いことをしていると思った。
 堺雅人が主役というよりは狂言回しに近い役に、いまのところなっていて、それは人を見上げる芝居が多いことに端的に現われている。堺雅人はたぶん頭がいいから、自分の役どころはわかっていて、最終的に「仁義なき戦い」の菅原文太みたいな感じになれば成功なのではないか?つまり、群像劇の触媒という役回りだ。
 主役を狂言回しにした群像劇というのは手段であって、面白いのは、その結果というか、その目的というか、力のある役者が自分の出る場面で思う存分芝居をしてみせる。そういう状況を用意するかのような脚本を書く。そこが面白い。いまのところ、草刈正雄がもっとも目立つし、たぶんウケているだろう。舞台のミュージカルで、この人の実力を知っていたつもりの私でも、感心している。第1回の「武田は滅びるぞ」のギャグを見事にキメたのが、なんといっても大きい。内野聖陽なんて、初登場で爪を噛んでみせたのを手始めに、手ぐすねひいて芝居のしどころを待っているのが、手に取るように分かる。草笛光子と高畑淳子が笑わせるのに専念しているのもそうだ。嬉々としてやっている。
 驚いたのは武田勝頼の平岳大で、第2回で死ぬ役だが、この2回に関しては、自分の回だと思っていたのではないか。敗走して逃げる城を変えた直後の、自分の限界を悟ったかのような芝居が素晴らしい。出だしの回で中心になる勝頼を、よく平岳大に任せたし(もうちょっとキャリアのある役者を使いたくなるのではないか)、よく、それに応えたと思う。信繁の兄を演じる大泉洋は、おいしいところだらけで、どの皿から食べようかという状態に見える。なんたって、主役に一番近いポジションで、出番も多く長い。ただし、大泉洋の胃にはおさまりきれない皿数かもしれない。信長の吉田鋼太郎は、やれなかったのか、やらせてもらえなかったのか、勝負どころの光秀を打擲する場面を、スローモーションのテクニカルな処理の画面にされていて、ここは直球勝負が見たかった。
 ワキにいれば必ず目立つはずの綾田俊樹とか西村雅彦が、さして目立たない。かろうじて温水洋一が、役が重い上に芝居が上手い人に伍した演技を見せた。温水に引導わたす場面にいた段田安則も地味なよい芝居をしていて、第4回あたりからチャージしてきている。そのくらい、出てくる役者たちに、芝居をお見せしましょうの精神がいきわたっている。逆に長野里美の無惨なことは、芝居の出来なさ(台詞の途中で咳き込むという、第三舞台が揶揄したタイプの演技を要求されるという皮肉)という一点にのみ起因する。
 こういったことが偶然に生じているとは思えないので、これからも、芝居の出来る人が思うさま力を見せるという楽しみは続くことになるだろう。力のあるなしがはっきり露呈するという意味で、役者にとっては賭けられているものが大きい出演だと思う。
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