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2020年06月07日15:29

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【美術】「神田日勝 大地への筆蝕」展

皆様、お今日は。本日は東京ステーション・ギャラリーにて6月28日迄開催中の「神田日勝 大地への筆蝕」展を観て参りました。その感想です。


北海道の大地で、農業に従事しながら絵を描き続けた孤高の画家、神田日勝。
2020年は、神田日勝の没後50年にあたります。これを記念して、東京では42年ぶりの個展となる大規模な回顧展を開催します。
愛情を込めて育てた馬を病気で死なせたという、少年時代の記憶が色濃く影を落とす《死馬》、労働者としての自分と画家としての自分を重ねあわせ、息が詰まるような閉塞的な空間の中に自らの顔を描いた《一人》、画家として心ゆくまで絵を描きたいと願いながら、農業との両立で常に葛藤を抱えていた日勝の、内面の不安を描き出したかのような《室内風景》、そして最後の作品となった半身の《馬(絶筆・未完)》など、神田日勝の作品には、生きることと、描くことが、ひとつであった画家の、喜びや悲しみ、誇りと苦悩がにじみ出ています。
本展は、代表作を網羅して、日勝芸術の全貌を提示しようとするものです。大きな変貌を繰り返した日勝の芸術的展開をつぶさに追うことができる展覧会となることでしょう。


この展覧会も本来であれば、4月16日から開催される予定でしたが、コロナウィルス感染防止策の為、つい先日の6月2日より開催されることとなった展覧会でして、このあと、北海道の神田日勝記念美術館と北海道立近代美術館に巡回する為に会期の延長はありません。

僅か32歳でこの世を去ったので作品数はそんなに多くありませんが、驚くのはそのタッチの変遷でして、本当にこの15年間でこれだけ色々な題材に挑戦すれば、自分的には十分「アリ」の人生だと思うのですが、驚くのは絵を描いたその素材でして通常であれば、油彩・キャンバス
が普通でして、初期の作品は確かに東京藝術大学に進んだ兄、一明の影響なのかキャンバス地で描いているのですが、この人の本領は油彩・ベニヤ板なのであります。油彩・板や油彩・銅板の作品は古典の作品としてウィーン美術史美術館展やプラド美術館展で何枚か作品を観ておりますが、ベニヤ板と言うのは初めて見ました。

御当人にとってみれば無念の侭の未完の大作である『馬』(絶筆・神田日勝記念美術館蔵)も、観るこちら側にとりましては、この作品が未完であるが為にどんな風に作品を手掛けて行ったのかがマザマザと判る超一級の史料となっているのであります。この絵を観て頂ければ分かる通り、通常の画家であれば輪郭線を先に描くと思うのですが、どうも顔から先に描いているのが判るんですよ。ルーブル美術館にあるミロのヴィーナスに誰も手を加えて作ろうとしないのと同じで、この作品は未完であるが故に尊いとも感じてしまったのであります。

正直申して、今回の展覧会で彼の描いた作品全部が判るとは申しませんが、彼が15年の画業の中で懸命に生きて描いて死んだと言うツメ跡はハッキリと感じ取ることが出来ました。もう残された会期は短いですが、これも観るべき展覧会の一つであります。


https://kandanissho2020.jp/
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