ナチス・ドイツを率いて世界を震撼させた独裁者アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチさま)が、現代によみがえる。非常識なものまね芸人かコスプレ男だと人々に勘違いされる中、クビになった局への復帰をもくろむテレビマン(ファビアン・ブッシュさま)にスカウトされてテレビに出演する。何かに取りつかれたような気迫に満ちた演説を繰り出す彼を、視聴者はヒトラー芸人としてもてはやす。戦争を体験した一人の老女が本物のヒトラーだと気付くが……。
遅まきながら鑑賞致しました。確かに笑えてゾッとする話でして、中盤にチラリと出てくるユダヤ教徒が使う燭台が伏線となっていたのには唸りました。
この映画の秀逸なところは、一度犬の件でテレビを干されたヒトラーが第二の執筆により再度ブームになり、それから向かうところ敵なしになっていくところでしてこれはミュンヘン一揆により投獄されて第一の著書(因みにドイツでは現在も発禁処分)の『我が闘争』をモチーフにしております。
この映画の巧みなところは、前半はセミドキュメンタリー的な手法を取って全国津々浦々廻るところでして、顔面にモザイクが掛かっていたり目線が入っているところも含めて「本物らしさ」を醸し出しているところにあります。
それにしても、原作があったらしいのですが、良くもまあ映画化できたなぁと思ったところと右傾化が進む欧州諸国の今だから観直して欲しい一作でありました。
http://gaga.ne.jp/hitlerisback/
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