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2018年01月08日16:34

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【本】桐野夏生著『夜の谷を行く』文藝春秋刊

皆様、お今晩は。桐野夏生さまの『夜の谷を行く』文藝春秋刊を読了致しました。その感想です。


連合赤軍の一員だった西田啓子は、山岳アジトから逃亡中に逮捕される。その後、死体遺棄などの罪で有罪判決を受け、五年あまり服役した。娘の「犯罪」をめぐる心労で両親は早くに病死、一人娘を抱えて妹は離婚を強いられた。出獄後の啓子は経歴を隠し、社会の片隅で息をひそめて暮らしてきた。

全部で300頁の作品ですが、2011年に連合赤軍の最高幹部だった永田洋子死刑囚が死去し、東日本大震災が起きたのでありますが、桐野夏生さまが描いた「連合赤軍の真実」は余りに意外なものでした。その真実は最終章にて明らかになるので詳しくは書けないのですが、やはりと申しますか1995年に地下鉄サリン事件を引き起こした「オウム真理教」の旗揚げの時と極致していまして両方共に陰惨な結末を迎えるのですが、事の起りは「善意」から成り立っていたと言う真実であります。

この本でも姪の結婚式から過去が暴き出されて、今迄ひた隠しに隠していた過去を明らかにせざるを得なくなるのでありますけれども、やはりその過程で出てくるのはインターネットの存在でありまして当事者が目の前に居るにも関わらず、スマートフォンから見るネットの情報の方を信じてしまうと言う現実が厳しく描かれております。

印象的だったのは「山に行った者とそうでない者」には決して理解出来ない溝が出来ており、これは他の事項でもそうですが同じ体験をしていないと決して解りあえない出来事っていうものがあるんだなぁと痛切に感じたのであります。

最後に完全な余談でありますが桐野先生、2015年に紫綬褒章を受章されていたとか。あと残るのは文化功労者と文化勲章でしょうか。

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