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2016年10月15日08:51

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【美術】今年のベスト候補再び登場!「動き出す!絵画 ペール北山の夢 −モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち−」展

皆様、お今晩は。東京ステーション・ギャラリーにて11月6日迄開催されている驚愕の大展覧会「動き出す!絵画 ペール北山の夢 -モネ、ゴッホ、ピカソらと大正の若き洋画家たち-」展に行って参りました。その感想です。


明治末から大正初期、日本ではヨーロッパ美術への関心が高まりました。その興味は、過去50年ほどに起こったセザンヌ、モネ、ルノワールなどの印象派、ゴッホやゴーギャンといったポスト印象派、未来派や、ピカソといったキュビスムなどの20世紀アヴァンギャルドまでの動向にまでおよびました。若き洋画家のなかには留学する者もいましたが、多くは雑誌の購読や、複製写真や版画による展覧会の鑑賞、洋書の貸し借りなどを通じて情報を得ました。彼らは同時代の西洋美術の情報をもとに、自らの絵画表現を新たな視野で自由に試み、世に問いました。まさに洋画界が動き、それまで日本になかった新しい作品が次々と誕生したのです。

青年画家たちは、発表の場、情報の入手、生活費などの問題を抱えていましたが、それを裏方として支え、近代美術の発展に寄与したのが北山清太郎です。北山は日本におけるアニメーション草創期の重要な3人のうちの1人に挙げられますが、当初は洋画界にその身をおき、岸田劉生や木村荘八ら、洋画家たちの活動を支援しました。そして、『現代の洋画』という美術雑誌を編集、刊行し、同時代の作家の活動や西洋美術の紹介にも積極的に努めました。また、絵具の販売や写生会の実施、作品の募集による懸賞事業等も行い、洋画の裾野を広げたのです。彼の活動に感謝した画家たちは、パリでゴッホら多くの若い画家たちを支えた画材商のペール・タンギー(ペール=おやじ)になぞらえて、ペール北山と呼ぶようになりました。

本展では、大正期の日本における西洋美術への熱狂と、それに影響を受けながら展開した前衛的な近代日本美術の動向を、“北山清太郎”という人物を手がかりにひもときます。当時若き洋画家たちが見たいと切望したであろう西洋美術、それに影響を受けて展開した油彩、彫刻など約130点と資料類が展示されます。北山が発行した『現代の洋画』等に掲載された作品、そして北山がかかわったヒユウザン会や草土社が行った展覧会の出品作や作家の大正期の代表作、草創期の日本アニメ映像など、盛りだくさんで贅沢な内容を、この機会にぜひお楽しみください。


毎週金曜日の夕方は「おやじでNIGHTで」と言えば入場料1000円のところを500円で入場出来るお財布に優しい割引がありまして、それに乗じて行ってきたのですが、完全にノックアウトされました。第一章の「動き出す夢 ペール北山と欧州洋画熱」では日本にこれだけの印象派・ポスト印象派の作品がこの時期にこれだけ流れ込んで色々な人の変遷を経て、再度ここに集結していると言う事実を目の当たりにしただけで目頭が熱くなるのを感じましたし、この展覧会の特徴はどこかの一括貸しではなく個別に美術館に折衝をして貴重な作品を借り入れているのですが、絵画作品だけで182点、文献資料やパンフレット等も含めると200点を優に超えるのでこの展覧会を開く為の手間暇の掛け方は尋常ではない筈です。
第一章で意外だったのは「サントリーコレクション」が日本美術だけではなく、西洋絵画も集めていたと言うことでしてピサロにシスレー、そしてモネも保有していたんですねぇ。ガラスのコレクションは有名ですし、何度も拝見しているのですが、西洋画のコレクションは初めてお目に掛かりました。


第二章からは巴里帰りの画家の活躍と言うことで藤島武二や有島生馬、梅原龍三郎、坂本繁二郎、斎藤豊作、中村彝や岸田劉生と言う大御所がズラリと並んでいるのですが、住友コレクションの渡辺与平の『ネルのきもの』藤島武二の『幸ある朝』の二枚が特に気に入ったのと、早逝の天才中村彝の作品がこのコーナーだけで四枚あることに仰け反ったのであります。

最もインパクトがあったのは第三章での「動き出す絵画 −ペール北山とフュウザン会、生活社」のコーナーでして萬鉄五郎は出てくるし、岸田劉生もパワーアップの上、高村光太郎やバーナード・リーチと言う画家で無い人の作品も交じり、絵画だけではなくブロンズ彫刻や藤井達吉さまの『刺繍銀杏図壁掛』も入ります。とりわけ目に焼き付いて離れないのがゴッホも真っ青になる位強烈な萬鉄五郎さまの『風船を持つ女』でして、この人やっぱり天才だわと唸ったのであります。

第四章の「動き出した先に −巽画会から草土社へ」では北山が美術界から足を引くまでの形跡が入っていて岸田劉生の勢いは留まることを知りません。木村荘八や椿貞夫、ことに『道』という山形美術館蔵の作品が素晴らしい他に河野通勢さまの作品もあってお腹いっぱいになること疑い無しの壮絶な展覧会でして、堂々五つ星の今年のベスト候補として強く推薦致します。




http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201609_kitayama.html

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