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2015年11月30日20:39

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【映画】大河浪漫と裁判映画双方から愛された『黄金のアデーレ 名画の帰還』

アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン姐さん)は、グスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画で第2次世界大戦中ナチスに奪われた名画が、オーストリアにあることを知る。彼女は新米弁護士ランディ(ライアン・レイノルズさま)とウィーン在住の反骨ジャーナリストのチェルニン(ダニエル・ブリュールさま(´∀`*)ポッ)の助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求めて訴訟を起こす。法廷闘争の一方、マリアは自身の半生を振り返り……。


観終わって一日経とうとしておりますが、この映画の残したメッセージはずしりと心に残っています。ホロコーストに繋がるユダヤ人の組織的迫害ですが、この映画はナチス党員だけでなく「一般市民」も程度の差こそあれ迫害に協力していたと言う今までの作品では自主規制していた闇の部分を描いておりますし、また当時の上流階級に属する人々が、逃げ場を奪われていく様を丹念に描いていると言う意味で大変貴重なものです。
観ていて一番心に刺さったのは、出国の際に査証を申請するシーンで担当官に「あんた方は自分が特別だと思っているんだな」と言う台詞を語るのですが、この担当官の心情が分からないでもないのです。
ナチスが如何に合法的に権力を奪取したのかと言えば当時のワイマール共和国に蔓延っていた不満や貧困の責任を全てユダヤ人に押しつけ「それ以外は正しい人」として認証するシステムを作り上げたところにあるのです。
自分のようなワーキングクラスの人間でも、党に忠誠を誓えば上に上がれるし、ナチシンパの人からは一目置かれるし、お金は領収書さえ貰えば「必要経費」として使いたい放題。
「良心」の自覚がなければホホイと靡いてしまう怖さがあるのですね。
幸か不幸か自分自身に独自の強固な倫理感を持って育ってしまった為、そうした体制になってしまえば真っ先に収容所送りとなるか銃殺刑に処せられるかと言う余り嬉しくない選択肢しか無いので多少の不満と貧乏は我慢しても「良心の自由」だけは引き渡すまいと心に決めていますし、それが侵害されるような世の中になったら出来る限りの抵抗をする覚悟がございます。

話が説教臭くなりましたが、この映画は過去と現在の往復の仕方も天才的に巧いし、裁判映画と大河浪漫と言う両方の視点から観ても極めてバランスが取れていてヒロインのマリアの過去に「何があったのか?」に関してもシンプルだけれども平時においては当たり前、板一枚下は地獄と言う極限状況においては「最後の希望」でありまして、その一言を伝える為に二時間の長尺を使って示したものと考えたいのであります。

この映画に出てくる三人は、直接的であるか間接的ではあるかは別としてそれぞれに「過去」と真正面から向き合って、それぞれがほんとうに求めていたものを手に入れると言うことで大円団を結んでいますが、一方で未だにナチスによって強奪され元の所有者に戻っていない美術品が十万点あると言う哀しい現実も突きつけております。
このケースは、あくまでも氷山の一角に過ぎずまだまだほんとうの戦後処理は終わっていないことを感じさせるものでした。

初代「大河浪漫を愛する会」
「裁判映画友の会」広報担当 大倉 里司
(2015年11月28日TOHOシネマズシャンテにて鑑賞)


http://golden.gaga.ne.jp/
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