絆を繋ぐ想いの線 〜 真っ向勝負の結末 〜

ラインの力を結集しなければ、おそらく勝てないだろう。相手は世界クラスの男だから。

今年の世界選手権ケイリン2位、そして宮杯完全優勝の怪物、脇本雄太。準決勝で驚異の上がりタイム、バンクレコードタイをマークしている。


瀬戸内ライン先行、「阿波のハードパンチャー」原田研太郎は覚悟を決める…怪物相手に拘ったのは
「瀬戸内ラインでの勝利」だった…



身長164cm、競輪選手としては「小兵」だが…内に秘めた力は凄みがある。小松島期待の選手だ。

そして番手…「自在屋」松浦悠士。先行、番手どちらでも実力を発揮出来る。目下、売り出し中の山陽のエースだ。


今回の役目、松浦ならきちんと理解していただろう。
きちんと仕留めなければならないと。


研太郎と松浦、実は「同地区同期同級生」…意志疎通は問題なし。
ライン構成は「研太郎-松浦-柏野」、一丸となって近畿ラインとの決戦へ向かう。



レース映像
https://youtu.be/h5FqXq1vSNw

動いたのは山田、今回組んだのは同じ89期の内藤。
続くのが近畿ライン(+北日本の守澤)
そして瀬戸内に付いたのが諸橋愛…これで実質的に4車ラインへとなった。これが実は大きな意味を持つ。

まずは叩きにいく原田、パンチャーとしてワッキーを後方へ…ここで急増4車が効いてくる。


そしてアタック開始！！一気にスパートをかけ山田を飲み込んだ。
そして迫りくるワッキー！外並走から一気にまくり勝負へ！名古屋はまくりが決まりやすいバンク構造。

研太郎はインへ退避…先行からバトンが渡った瞬間だ…満を持して松浦の「 番 手 発 進 」！

決めなくてはならない、研太郎の自爆覚悟の先行に応えなければ…男が廃る。

これで負けたら…「原田を風よけに使って足を溜めていたのに、差しきれないのか？何やってんだ！」というヤジが飛んでたかもしれない。(お客入れてたらですがね…まぁ、絶対に後で言われますがね…)
だから、負ける訳にはいかないのだ。

ワッキーとの差を縮めるために「もがき合い」が始まった。この酷暑の中でのもがき合い…想像？したくないわ…キツいに決まってるでしょう。


そして内側から猛追する松浦がゴール…！右手を天に突き上げた。


研太郎、殊勲賞だよ…！本当によく牽いてくれたよ…
松浦勝利の立役者は貴方だ。敬意を表したい。
先行の力ではワッキーには勝てないなら…ラインの力を用いる。至極当然の結論。よくやったぞ、研太郎！！

ワッキーは責めませんよ、互いに死力を尽くした名勝負。負けたとはいえ、先行としてきちんとやりきったからね。
厳しめに見て、注文付けるなら古性なのでしょうが…
原田松浦とワッキーの戦いに茶々は入れられませんからね。
「ライン先頭がもがき合いをしてる中で、番手は手出しをしてはならない」という選手道があったので…最後の直線までは我慢だったのです。3着入りは大きいですよ。

急造同期山田と内藤も責めませんし、問題の男モロさんも選手道には逆らえませんからね。もしもルサンチマンアタックしたなら、間違いなく「選手管理呼び出し」です。…流石にこれはね…



同期の思いを受け継いだ松浦、よく決めた！
本当に強いラインになった瀬戸内…キーマンは松浦だった。
これで昨年の小倉競輪祭に続いての特別競輪制覇！
来年のS級S班残留確定！そして、今年もGP出場権を獲得だ！…はい、今年も清水裕友と共に頂天決戦へと進みます！清水にとっては待望の相方参戦となった。


「速い選手が、必ず勝つとは限らないのが競輪。」

別府競輪の初心者ガイダンス担当をなさっていた元選手の人から聞かされた文言です。(以前に書いた「落車転倒の闇」を教えてくれたお方です…)
大事なのは、ラインの結束です。単騎チョイスをしたとしても必ずどこかのラインには乗りますし…
そこには色んな要素が詰められています、それは恩返しの連続であったり…最後の直線恨みっこなし勝負であったりと色んな人間ドラマを内包している。


今の瀬戸内は、本当に各選手が自らの仕事を責任持ってこなしている印象を受ける。
清水だってそうだし、太田竜馬もオグリュウも柏野も橋本強も(SNF決勝ではミスったけど)岩津も…そして今回の研太郎も…松浦も。
目指す「ラインの勝利の為」に、献身的に走っている。
結果はナショナルエースを破っての勝利。文句なしだ。

おめでとう、松浦！これからも期待していいでしょう。研太郎からのバトンを受け取り、ラインの力を見せつけた。お見事！


THE ALFEE「Justice For True Love」https://youtu.be/BohHbuvK2qk