まだ自分が左側にいて本を読みまくっていた頃冤罪関係の本はかなりの数を読んでいました。
その頃は国や警察はそういうことをやるところで、裁判所は騙されるものと単純に思っていました。
現実に狭山事件や袴田事件などは絶対に冤罪と思ってはいますが、裁判官自体が真実を究明しようという意思を持ち合わせていない、鼻持ちならない世間知らずのエリート集団だと教えてくれたのがこの本です。
この本が上程されたころにはまだ裁判員制度が導入されていませんでしたが、世間の声と乖離した判決に世間常識を加味しようと裁判員制度が生まれました。
しかし最近は一審の判決が覆がえされる判決が増えています。
自分の世間知らずを自覚せず、六法全書の中にのみ正義があるとするエリート裁判官の反撃が始まっているのです。
この本に出てくる事件の数々と、その犯行の読むのも辛い残虐さに対して裁判官は驚くほどに鈍感です。
特に遺族や関係者に対しては驚くほどに冷淡です。
彼らにとって重要なのは被告だけなのです。
この本は冤罪ではなく非道な犯罪行為を裁判官がどう判断し、判決を出したかを子細に教えてくれます。
裁判というものをもう一度考えさせてくれる貴重な本でした。
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