リテラシー(literacy)とは、本来的には読み書きができる能力のことですが、日本でも近年はある分野の応用、活用力、理解力を表すようになり、「ITリテラシー」や「メディアリテラシー」、「金融リテラシー」、「教育リテラシー」などと、リテラシー単独ではなく、ある分野の言葉を頭に付けて使われることが多くなりました。
近年、金融リテラシーも盛んに取り上げられ、小学生が金融や経済の知識をゲームなどを使って遊びながら覚えるようなセミナーなども行われているそうです。
それは悪いことではないとは思うのですが、私としてはもっと先にやらせることがあるのではないかと考えています。
20年この仕事をしていますが、年々感じるのは、小中学生の算数や数学で、お金にまつわる問題の理解が弱くなっていることです。
極端に言えば「30円のあめを5個買うといくら?」という問題を、平気で「30+5=35」で35円などとしてしまったり、中学生も何割引きとか、利益の問題が良くない子が多いです。
こういうことの大きな理由は、まずは子供がお金を使わなくなったことにあるような気がします。
最近の子供は、特に現金を使うことがありませんし、以前は封筒に入れて学校に持って行っていた教材費も全て引き落とし、バスや電車に乗る時もスイカやパスモを使うため、お金に対するリアリティが非常に乏しいように感じられます。
子供のうちからあまりお金、お金と言わない方が良いという方もいますが、やはりお金は大切なもので、大人になってから失敗する人も多いわけですから、ある程度は自分でお金を使ったり、あるいは貯めたりという基礎的なことをしていくのは、とても大切なことのように思うのです。
うちの塾では、授業料のお支払いに月謝袋でのやり取りとお振込みを選べるようになっており、月謝袋を選ぶ親御さんが圧倒的に多いのですが、この月謝袋も、ある意味金融リテラシーを身に付ける一助になると考えております。
親御さんが月謝袋に現金を入れ、それをお子さんが持って来るということですが、この一連のことも現代のお子さんにとってはあまりない経験であり、親御さんの大切なお金を自分が仲介するということで、お金の流れというものを感じ、ひいては親御さんの愛情も感じて欲しいというのが願いでもあります。
近年は、クレジットカードなどのいわゆるキャッシュレス決済も普及し、ますます現金の出番は少なくなっているわけですが、だからこそ、子供達はまずは多少はお金に親しんで、お金に対する感覚を身に付けた方が良いはずなのです。
※仕事のブログから転載
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