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2020年12月18日10:25

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リー・チャイルドThe Sentinelを読んだ

ジャック・リーチャーシリーズ25作目を読んだ。
相変わらず面白い。
リーチャーが好戦的というか、攻撃的で凶暴なくらい相手を叩きのめすのである。
しかも、これまでの寡黙さが消え、よく喋るのだ。2倍じゃ効かない。
本来なら、彼の頭の中で考えていることを口にするのだ。
おまけにスマートフォーンを使いこなすのには驚いた(多分この作品だけだと思う、設定されたスマホを渡され、連絡、GPSを使用するだけだから)。

リーチャーはテネシー州のナッシュビル近くでバスの故障で降りた。別に特定の目的もなく行きたいわけでもないのだ。ただ、コーヒーを飲みたい、ミュージックを聞きたいと思って歩いていた。
そこで一人の男性が誘拐されそうなところを助けたのが始まりだった。
ラスティ・ルースフォードはIT企業(Cyberus)に勤めていたが、最近解雇されたばかりだった。
彼は何も悪事を働いたわけでもなかったが、この街の機能がすべてシャットダウンしていた。彼が担当していた市の財務機能や警察機能,通信システムなどがマヒしていた。
原因が彼の操作ミスにあると街中で疑われていたからだ。
街の住人は彼がシステムダウンの張本人とみていたから周りすべてが敵みたいなのだ。しかし彼はこの街を逃げ出さなかった。
街にはハッカー組織がシステムを乗っ取ったと告げ、街に身代金(Ransom Ware)を要求してきていた。
会社の上層部は彼のプログラムミスにより、ハッカーに侵入されたとみていた。
彼は解雇されたが行く当てもなく、マンションの部屋にこもり、何とか身の潔白を証明する方法がないかと考えていた。

既に街には保険会社の人間が乗り込み代理人として、ハッカーと交渉を開始しようとしていた。

一方ラスティを街に住むギャングがなぜか誘拐を狙っていたのだ。
それをあっという間にリーチャーが6人を叩きのめしラスティを助けた。
しかしリ―チャーは警察から街を出てゆくように命令された。街にとって邪魔な存在なのだ。
何故かリーチャーが邪魔なのだ。
警官はハイウエイまで送ると言いながら、廃墟の給油所に置き去りにする行動をとった。
リーチャーはそれを見抜いて警官の銃を奪い、警官を車に閉じ込め、街へ戻る。
警官は組織から脅され、自分の命か、リーチャーの命か選択しろと言われていたと白状した。
自宅にバラバラ死体が送られてきて、決めたのだ。
リーチャーはラスティのマンションに戻った。そこで新しい情報が入った。

ラスティに接触していた新聞記者の女性が誘拐され殺されたのだ。
死体がバラバラにされていた。明らかな何者かの威嚇だった。

その女性は昔ロシアスパイの邸宅と言われた場所の実業家に雇われていた。
彼が女性記者を雇いシャットダウンの原因を探っていたのだ。

ラスティは自分の部屋に戻ることは危険なので、マンションの向かい側の部屋、海外旅行中の友人の部屋に身を潜めた。
そこへ元同僚のサラが現れ、彼がこれまでからシステムのバージョンアップを街に要求していたことを知っていた。ラスティとサラはシステムの間違いないことを証明しようと動き始めた。

突然、FBIからリーチャーにメールが入った。元軍人のリーチャーに協力依頼だった。
リーチャーが陸軍を除隊しても、陸軍は彼を手放しはしないのだ(リーチャールール)。

オークリッジ・ラボのスパーコンピューターを狙っているロシア人がいると告げた。
こんな田舎に全米の48州の選挙制度システムを管理するラボがあるので、ロシアが狙っていると。
ラスティは単なるIT エンジニアだったが、Sentinelという名の防御ウオールを突破して、街や政府のシステムに入り込むことができていたのだ。ラスティ自身はそれに気づいていなかったが、皆が狙っていたのだ。
FBIは選挙、ブラック・フライディ、クリスマスの時期にアメリカがハッカーに乗っ取られる恐れがあると考えたのだ。
コンピューターシステムのある工場は頑丈堅固だったが、8つのサーバーは既にラボから搬出されていた。ハッカーなら、システムを乗っ取ればそれでいいのだ。わざわざサーバーを盗み出す必要はないのだ。
リーチャーたちは8つのサーバー(キャビネット)を探しだせば、解決できるので動き始めた。

いったい何者が「身代金要求を出している」のか、街のマフイアなのか、ロシアの情報機関が介在しているのか、混沌としてくるのだ。
しかしもっととんでもない方向に事態は進んでいくことになります。想定外の展開です。

ここからはもう読んで楽しんでください。一気に読めます。

面白いです。ただ、フアンの評価はまちまちです。NYTベストセラーですが、両極端です。
今回はリー、アンドルーの共著になってます。
しかし今回は弟のアンドルーがすべて書いています。リーチャーが驚くべき変化がみられるから。
これで謎が解けました。
前作のBlue Moonもアンドルーが書いたと思います。今までとは違うリーチャーだった。彼が非常に攻撃的な行動をして不思議だったのだ。今年になってリー・チャイルドが弟に引き継ぐと発表して気づいたのです。
どうもアンドルーのデビュー作Even(元英国情報部員もの)の雰囲気を感じた。

本書はリー、アンドルー・チャイルド二人のサインがありました。よく似たサインで、リーは黒、アンドルーはブルーの色インクだった。
アンドルー・グラントのデビュー作のサインとアンドルー・チャイルドのサインはよく似ている。

リー・チャイルドはジャック・リーチャーを、フアンの希望するような、デビュー作当時からの「常に変わらないリーチャー」を書き続けてきたのです。(リー・チャイルドとイアン・ランキンの対談“イアン・ランキンA Song For Dark Timesの付録”から)
これまでリー・チャイルドが書いた23作の「リーチャー」シリーズが急劇的に値上がりしてきました。どれも£1000($1300)以上です。特に英国で。(HCの初版が少なく、もうHCはでません。サインも初版発売時しかしませんから)


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