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2020年05月22日08:48

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ジョン・グリシャムCamino Windsを読んだ

ジョン・グリシャムのCamino Windsを読んだ。
New York Timesに1位に登場した。本好きなら、絶対のお勧めです。
3年前のCamino Island の続編である。舞台は同じフロリダ、Bay-Book書店を舞台にお馴染みの登場人物であるが、全く異なる物語なのである。
これが実にイイのだ、面白い。

前作から3年が経過して、あのマーシャ・マンがベストセラー作家として帰ってくるところから始まる。
それをあの書店の主人ブルース・ケーブルがサイン会を開き、迎え入れることにした。
ブルースは今もこのカミノ・アイランドの書店で精力的にアンティツク本や、サイン本を売り、サイン会を開き人気を上げ、闇取引も続けていた。
二人は、お互い3年前の事を忘れ、何事もなかったことにして、過去の事件は触れないことにしたのだ。書店の顧客は誰も二人の間に合ったことは知らなかった。
ブルースは十億単位?の大金を得て、書店を経営、マーシャは人気作家になっていた。
マーシャは、サイン会の前にフロリダに入りブルースの自宅での昔の仲間とパーティを開いた。3年前に忽然と姿を消したことは、一切触れず、作家仲間が集まり盛り上がった。

そのころフロリダをハリケーン「レオ」が勢力を増しながら襲い始めていた。
レオはカテゴリーを2から4にまで上げ、カミノ・アイランドを襲った。
州知事は全員避難、退去命令を出した。警官が家を回り、島からの退去の勧告をした。
しかし、ブルースは、2階にサイン本などを上げ、書店従業員の6人は退去させ、パートの大学生ニックと二人で店に残ると決めたのだ。安全のため高い場所にある自宅で寝ることにした。
マーシャは、秘書のトーマスと本土サンタロ-ザのホテルに戻り、マイラとレイの女流作家は同居する自宅に戻った。詩人で作家のボブも自宅に、今人気のミステリー作家ネルソン・カーも自宅へ帰った。
そのほかの作家たちは島の住人と本土に戻り、橋は通行止めになった。
夜になると風雨激しくなりカテゴリーを上げ巨大ハリケーンになって通り過ぎていった。停電になり、スマホも通じなくなった。孤島になったのだ。
翌朝、ブルースは自宅を出て書店に行くと、水が床上まであふれていたが、本はすべて無事だった。金はあるから何も支障なく再開できると思った。
そこでブルースはニックと二人でマイラとレイの家へ助けに行き、倒木を取り除けるため切っているところへ警官がやってきた。

警官はネルソンが死んでいると告げた。その死体の身元確認をしてほしいというのだ。

ネルソンはヒルトンホテル近くの3階建ての自宅に一人暮らしだった。
そこにはボブがすでに来ていた。
家の前の塀にかぶさるように、ネルソンが倒れていたのだ。服装は普段のシャツ、ジーンズ、スニーカーだった。
頭部あたりを強くうち、死んでいた。しかしその傷は4回くらい鈍器で殴られた感じだった。
警官はほかに死人が数人出ているので、応援の警官が来るまで、待機してくれと言った。
ネルソンは、夜の嵐の中で何をしていたのだろう。彼は2年前に大手法律事務所で成功し、それを辞めカリフォルニアからここへ来たのだ。離婚して独り者だった。

まさに、クリスティが描きそうな、嵐の中の遮断された島の中、密室状態だった。

ブルース達は飲み物を求め、ネルソンの家に入り部屋をみたが、特に変わりはなかった。
しかし大学生のニックは、ネルソンは殺されたと言い出した。
ネルソンの首筋の傷は何度も殴られており、倒木の傷ではない。そして室内の壁、排水口に血を洗った跡があり、部屋にあったゴルフクラブの7Iにもかすかに血の跡があると言った。
倒木や風による傷ではない。
すると、ボブが、一人容疑者の心当たりがあると話し始めた。

金曜日にヒルトンホテルのラウンジで魅力的な女性と知り合ったのだ。
アトランタから来た40歳くらいのイングリッド・マーフィだった。ボブは彼女をナンパして自宅に泊まり愛し合った。彼女と話していて、ネルソンのフアンだから会いたいと言われ翌日、ネルソンを誘いボブは3人で昼食を共にした。

その後、ボブの家に二人で帰ったが、夜中に口喧嘩になりイングリッドが家を飛び出していったという。嵐の中を出て行ったので心配していると、ネルソンから「彼女が来た」と言って電話が切れた。それから停電になり、電話も、スマホも通じなくなった。

イングリットは鍛えたアスリートだったから、彼女なら、室内で殺して屋外へ運びだすこともできたとボブが言った。200ポンドのボブを振り回すくらいパワーがあった。ネルソンは170ポンドの細身だった。
すると、ニックが新しい推理を話したのだ。
イングリットは、最初からボブがネルソンと友達だと知っていて、ヒルトンでボブの誘いに乗ったのだと。そして、ネルソンの本も好きだと言ってネルソンとの昼食を仕掛けた。
彼女がヒルトンに宿泊していたのもウソ、ネルソンを殺すため、カリフォルニアから来たのだ。
ネルソンは弁護士当時、武器商人でマネーロンダリングをしている人物を政府に告発して500万ドルを得たのだ。だから、武器商人の組織からイレーネか、あるいは殺し屋が来て殺したと考えたら筋が通ると言った。現金、貴重品は残されていた。PCの中身のみ消去されていた。
調べてみると、イレーネはホテルにも宿泊していないし、実在の人物でもなかったのだ。
それから、5日間後にネルソンの妹がネルソンの葬儀のためブルースの自宅にやってきた。

ブルースは彼女と警察へ行ったが、警察はハリケーンの後遺症で、州警察も全く機能せず、島内の死傷者が多く、悲惨なまでに町は破壊されていた。全くあてにならないのだ。
捜査を期待することはできなかった。
ネルソンの妹ポーリーは最近ネルソンから送られたUSBメモリーをブルースに渡した。そこにはPCからは消去された遺作の原稿があった。殺害犯はPCからドキュメントは消去していたが、手掛かりがあった。
ブルースはマーシャにこれを読んでほしいと依頼した。

彼女によると老人ホームを経営する悪徳業者の話を500頁の小説にするという筋書きだという。母親が病に侵されていた。そこに中国で製造された薬があった。
それは、患者に使用しても、心臓は動き続けるが、盲目、吐き気、脳にもよくない薬なのだ。これを使用する患者はみな痴呆症、アルツハイマー病なので、クレームもなく家族には分からないのだ。植物人間を受け入れて医療費を稼ぐ病院が多く存在するという話なのだ。病院は植物人間でも長く生きていれば儲かるのだ。薬の売り上げも30兆ドルになる。これが事実なら、殺される動機になりうる。

ネルソンは人気作家だったから自宅と約百万ドルの現金、それに弁護士時代に購入した1千百万ドルの投資資産があったが、彼女と両親が受け取ることになっていた。

またブルースの知る限りネルソンを殺害するような仲間も近隣の住人もいなかった。彼は孤独を好み、一人だった。なぜか、スマホは使い捨てを毎月買い替えていた。メール、ツイッター、インスタなどを使用せずアナログにしていたのだ。何か、存在を知られたくなかったと思われた。
ネルソンが小説を出版することは予測できたから、小説の内容で殺されたのではないとブルースは考えた。
この情報を漏らしたウイスパー(ディープ・スロート)を探しているのだろう。

しかし事態は進展せずそれから時間のみが経過した。

ブルースは遺族のため、出版社と初版10万部、30万ドルの契約をし、それを発表した。
するとすぐ本屋にニューズ・ウイークに記事を書くジャーナリストが現れた。ブルースにネルソンのことを聞いてきた。餌に魚が食いついてきたのだ。
ブルースは家族に代わり出版を手助けしただけで、よく知らないと言った。

それから、彼はアルファ・ノース・ソリューション社を訪ねた。
そこはあのフィツジェラルドの初版をめぐって保険会社の調査を引き受けた会社だった。
彼は当時の調査官と会い、お互い腹に収めたままで当時、全員が「ウインウイン」だったことを話した。そして、今度はネルソンの事件を調査してほしいと依頼した。

ブルースは裏表を熟知していて、マーシャ、調査員、FBI にも最初から意識していたと言い、あの時のように、FBIなみの念密な調査、仕掛けをしてもらいたいと申し入れたのだ。

ここからは、もう書きませんが、非常に面白くなります。

前作Islannd の内幕も出てきますが、これは翻訳された時、あるいは原書を読む楽しみにしてください。
さすがにグリシャムです。実にうまいです、読ませてくれます。
絶対のお勧めです!お読みください。

本屋や、サイン会の内幕なども出てきます。盗品と思われる本の取引についても書いています。

余談:フロリダでは所得税はありません。トランプはフロリダに住所を変えました。
マイクル・コナリー、デニス・レーンも別荘を持ち、住んでます。ワシントンDCや、テキサス、ワイオミングなども所得税がありません。

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