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2020年05月15日20:58

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ディビッド・バルダッチWalk the Wireを読んだ

デイビッド・バルダッチのPIエーモス・デッカーの6作目Walk the Wireを読んだ。
今週NYTベストセラーの1位で登場した。面白い、お勧めです。
最初の殺人は
オオカミを追いかけていたハンターが若い女性の死体を発見した。野生動物に襲われたのではなく、それも惨殺されて全裸で頭部も、腹部も切り刻まれて荒野に放置されていた。
彼女の名前はイレーネ・クレーマー、インディアン居留地の小学校教師である。
彼女の名前が公表されると、FBIがなぜか興味を示し、PIデッカーが派遣されることになったのだ。
ノースダコタの片田舎ロンドンにPIデッカーは相棒のジェミソン捜査官と街に入った。
州内の人口全体は70万以下なのに、ロンドンはゴールドラッシュの再来で沸いていた。
石油、ガスが噴き出してきて、たちまち人口は1万5千人に膨れ上がっていた。
全米各地から一攫千金を夢見てドリル発掘の男たちが集まっていたのである。当然町はバー、売春、ドラッグであふれた、治安の悪い町になっていた。

ロンドン警察の警部補ジョー・ケリーはデッカーにあっさり協力すると情報を提供してくれた。警察といっても数人の警官と署長だけだ。
ケリーによれば、小学校の教師の彼女がなぜ事故に巻き込まれたのか分からなかった。そんな派手な女性ではない。デッカーを驚かせたのは、彼女がエスコート(売春)をしていたと言う噂を知ったからだ。彼女の身体や、雰囲気からは考えられなかった。
彼女の死体はプロの外科医のように手際よく切り裂かれていた。女性にしては丈夫な体をしており、きれいに日焼けしていた。本当に売春をしていたのかデッカーの精密写真のような記憶がそれを否定したのだ。
彼女は死亡診断書によると10日ほど前に殺されていた。
イレーネは約一年前にこの町に来ていた。しかし彼女の名前やよく似た体の女性は、FBIの指紋照合システムにも存在しなかった。誰も彼女を知らなかったのである。全く手掛かりはなかった。証人プログラムの人物なのかとも考えた。学校でも彼女の身元を確認していなかった。教師のなりてもない田舎だったから。それなのに何故彼女はこの町に来たのか不明だった。
しかも彼女の下宿先はひと月前から安い家賃の老人の家に住み始めていた。それまではドーソンタワーという地元の金持ちの高級マンションに住んでいたのだ。小学校の教師の給料でそんな高級マンション生活ができるはずがなかった。
彼女はウエストコーストの出身でこの町に来たと言うが、大学卒業以降の8年間はどこにいたのか。全く不明なのだ。町の警察も、学校も把握していなかった。

イレーネの身体を改めてデッカーが死体安置室で見ると、大きく割腹されており、彼女の身体にドラッグが隠されていたのかとも考えた。それとも他のものが腹部に入っていたのか。何故、割腹されているのだ。
また彼女の死体を検死担当したのが、おかしなことに街の葬儀屋だったのだ。
警部補ケリーはめったにこんな事件は起こらないから、ルーティン通りだと言う。まさかのでたらめなのだ。

そして第2の殺人
デッカーは死体を見つけたハンターに話を聞くため家を訪ねたが、自宅から姿を消していた。彼の部屋にはグラスが二つ、ワイン、ビールがテーブルに残されたまま、急に出かけたのか、連れ去られたのか分からなかった。
ハンターは正直者でいつもきれいに整理する男なので、飲みかけのグラスや、ワインが放置されえいるのはおかしい。
ハンターを探して自宅の周りを捜索すると、車の中にインディアンの若い女性の死体を発見した。
ハンターはドーソンに雇われ定期的に狼を殺して、牛を守っていたのだ。
ハンターはどこへいったのか、また居留地の若い女性がなぜハンターの家に来ていたのか、どこにも二人に接点はなかつた。ハンターは50代で、彼女は20歳くらいなのだ。ハンターは女性を買うような男ではない。彼女も本当にエスコートなのだろうか。

しかも彼女の死体は派手な服装をしていたのだ。グラマーに見せるには少し違和感があった。
彼女の身体には2サイズ小さい上着なのだ。また靴は逆に2サイズ大きいものだった。殺されてから着せられ、この場所に運ばれたと思われた。

そしてハンターの行方も全く分からず殺された可能性が高いと言えた。
連続して殺人事件、行方不明者が出るのは田舎では異常事態である。

しかも、検死をした葬儀屋は、そくさくと二人の女性の死体を通常の死亡として鑑定をして焼却処理しようとしていたのだ。若い女性二人が殺されているのに、なぜそんなことが行われるのか、州政府の態度も不可解だった。
それをデッカーが追及すると、検死官の葬儀屋は、突然拳銃を口に銜え自殺してしまったのだ。
主人の態度がおびえていて誰かに偽の死亡診断書を書くように脅されていたと葬儀屋の妻が言った。

またこの町の奇妙なことに、ドーソンタワーの道路の反対側には空軍の基地があった。
この基地はミサイルの飛来を監視するレーダーが設置されマーク大佐をトップにレンタルガードマンが警備していたのだ。なぜ空軍の軍人が任務をしていないのだ。
デッカーが念のため基地を訪ね彼女の事を訪ねたが、大佐はイレーネが基地に来たこともないし、名前も知らないという。なぜ、こんなところに空軍の基地があるのだ。
近くにもほかの空軍基地もあったのだ。

このあたりから、街を牛耳る金持ちと政府の甘い汁を吸う連中がデッカーをFBIに関係した私立探偵と知って、追い出そうと動き始めたのだ。

町のバーで偶然出会った、オイル採掘専門家の義弟とデッカーが外に出ると、3人の若者に絡まれるが、元フットボーラーの二人が相手を叩きのめした。しかし彼らはまた3人の仲間を集めてきた。デッカーの存在が彼らには不都合なことがあり、事件の裏に大きな闇が潜んでいるのが明らかになってきた。6人を退けて車に乗ろうとしたデッカーは、突然闇から現れた男に銃を頭に突き付けられた。
その途端に拳銃を持った男は何者かに射殺されてしまったのだ。
デッカーの車にライフルで狙撃した男が現れ、街の人間にとってデッカーは邪魔な存在だから用心しろと言った。使い捨てスマホをデッカーに渡し、緊急時に連絡をと言って男は闇に姿を消した。
デッカーがFBIの依頼で活動していると告げると男は「名前はロビーだ。同じような機関だ。」と告げて闇に消えたのだ。

そう、あのスナイパーロビーがデッカーを背後で守ってくれたのだ。
このあたりから、街を牛耳る金持ちと政府の甘い汁を吸う連中がデッカーを亡き者にしようと動き出した。
それ以外にも街の人間の複雑な絡み合いも見え隠れしてデッカーを悩ませるのである。
町の闇は、連続殺人とどう繋がるのかお楽しみください。
ここからの展開は書きませんが、とても面白いです。。アメリカには考えられない世界があります。
ここはワイオミングと同じでノースダコタは西部の町です。ほとんど白人だけの世界なのです。
楽しく読めます。デッカーの精密な記憶が事件を導いてくれます。
おすすめです。



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