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2019年10月22日13:16

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ディビッド・バルダッチOne Good Deedは面白い!

ディビッド・バルダッチの新シリーズが登場した。
7つのヒットシリーズを持ちまた新たな主人公をNYT1位に登場させた。
1950年ころのフィリップ・マーロウ、サム・スペードのような探偵を主人公にした黄金時代を蘇らせるミステリーを書き下ろしたのだ。

主人公の名前は20代の若者、アロゥジス・アーチャー。
欧州戦線からの帰還兵で、無実の罪で3年刑務所に服役していた。
1949年に釈放後、保護観察担当事務官に会うため、ポコ市にバスで来たのだ。

保護観察担当事務官はアーネスティン・クラブツリーと言う若い女性だった。彼女の父親は3人を殺し、処刑された元警官だった。若くてきれいな女性だったが、何人もの釈放された前科者を就職あっせんし、定期的に面会をこなしていた。

アーチャーは街へきてすぐにバーでポコ市を牛耳る銀行家から貸金の回収を依頼されたのだ。
5000ドルを貸した農家のルーカス・タトルから金と利息、それと担保の1947年製のキャディラックセダンを回収するように依頼されたのだ。
アーチャーは保護観察官のアーニーに仕事に就いたと報告した。さもないと、彼女のあっせんする養豚場で豚を扱う仕事に行かねばならなかった。
ポコ市の大半の企業は銀行家のハンクが所有していた。

アーチャーの報酬は100ドル、前金で40ドルだった。当時としては大金だった。40ドルで背広や下着ネクタイなど全部が買えたのだ。

既にハンクが何人かに回収を依頼したことを聞き出し、回収に失敗していたのを知った。
そこでアーチャーはハンクにいろいろ質問をした。
銀行家ハンク・ピットルマンは、アーチャーの人物、性格、会話等から頼りになると見抜き「よく質問する奴だ」と言ったが、彼の慎重で勝つ勇敢な、正直で真直ぐな姿勢を見て彼に依頼したのだ。

アーチャーはすぐに背広を買い。身なりを整えルーカスのところへ出かけた。
ルーカスは農家と言っても大牧場主で使用人を雇い、大邸宅に一人で住んでいた。
アーチャーが玄関でルーカスに会ったとき、彼はレミントン銃をアーチャーの胸に構えていた。しかしアーチャーのひるむことなく堂堂とした態度に彼を招き入れた。

「金はいつでも返せるが、ハンクが俺から盗んだから返さないのだ」と言った。
ルーカス・タトルはハンクの銀行から借金していたが、今ではハンク以上の大金持ちだったのだ。
借金を返さないのは、彼の娘がハンクの家に住んでいることが理由だと言うのだ。
なんとルーカスの娘ジャッキーがハンクと一緒にいると。
アーチヤーはルーカスに返済をさせるため、ジャッキーを実家に帰るようにすると約束する。

ハンクの妻マジョリーは陰気だが賢い女性だった。無表情だが彼女はすべてを理解していた。ハンクがジャッキーとバーに出かけても彼女はお飾りで連れて行くだけだと分かっていた。

ジャッキーはハンクに一軒家を与えられそこに住んでいた。彼女はハンクが町にいるときいつも一緒にハンクと行動を共にしていたのだ。ハンクは金持ちの力を見せびらかすために娘の様な若い女性と。
しかし、彼女はハンクとは特別の関係ではなく、ハンクの見栄のための若い女性として付き合っていたのだ。
ハンクは土日以外には邸宅に帰らず、彼の経営するホテルに同じ6階に2部屋持ちそこに寝泊まりしていたのだ。
そのホテルの610号室にアーチャーも宿泊していた。

アーチャーはルーカスに会って彼の言い分をハンクに報告し、また掛け合うと言った。
その時ハンクも拳銃を携帯していたのをアーチャーは気づいた。

アーチャーが食堂で食事をしていると、ジャッキーが現れ、相席で話しかけてきた。

食堂では保護観察官のアーニーも一人で食事をしていた。そこへ、保護観察中の男が現れ、アーニーに絡みかけたのでアーチャーが追い払った。しかし彼女も小型拳銃をハンドバッグに隠していて、度胸がすわっているのを知った。
席に戻ると彼女を知っているのかとアーチャーがジャッキーに聞くと、よく知らないと答えたのだ。
しかし、食堂の従業員は若い女性二人がいつも仲良く話しているのを見たと後で教えてくれた。
二人はなぜ知っているのだろうか。

アーチャーはジャッキーからルーカスのキャディラックの隠されている場所を教えてもらい探しに出かけ、キャディラックが焼失しているのを発見した。なんとルーカス自身が担保を取られたくなくて、燃やしてしまっていた。ハンクには渡したくなかったのだ。

それをハンクに報告したが、ホテルのバーでハンクが酔ってしまった。アーチャーはジャッキーと二人でハンクをホテルの615号室に運び、ベッドに寝かせた。
それからアーチャーはジャッキーと610号室で酒を飲み、ベッドを共にした。

翌朝目を覚ましたアーチャーはジャッキーが姿を消しているのを知った。
朝食のため部屋を出て、ハンクの部屋を覗くと、ハンクがベッドで首を切られて殺されているのを発見した。

州警察のアービング警部補が現れ、アーチャーが有力な容疑者と決めつけられたのだ。
同じ階に泊まっていて、ハンクを部屋に連れて行き、同じ階で寝ていたのだから。

しかしハンクは末期の癌で余命がないことが警察の捜査で分かった。
アーチャーにとってハンクは依頼人であり雇い主で殺人の動機がなかった。
ハンクの癌を知っている人間なら殺したりしないだろう。時間を待てばいいのだから。

また、ハンクの邸宅を捜査して、彼が莫大な借金を抱えており、破産状態にあったことが分かる。たくさんの借金があり、支払いをしていないばかりか、ギャンブル好きでベガスにギャンブルの多額の借金があった。マフイアが殺した可能性もでてきた。

しかもハンクは癌が分かってから、それを隠して生命保険に入り、妻を受取人にしていたのだ。妻マジョリーには動機があった。彼女はハンクの破産状態は知らないと言った。

ジャッキーが父親ルーカスの家を出たのは、母親の事故による死亡に原因があった。彼女がハンクを殺すことは考えられなかった。住む場所がなくなるからだ。

またハンクのマネージャーもなにか仕事上の隠し事があるのか姿を見せなかった。

それらの情報を的確に判断し、理路整然オ説明したアーチャーに、アービング警部補は捜査協力してくれと依頼した。
アーチャーの軍隊での経歴、メダル数、過酷な戦場での活躍、偵察任務などを調べて、彼を雇い報酬を出すのだ。警部補は空軍出身で、陸軍で欧州戦線の地獄を見た息子の様なアーチャーを信頼した。

では誰がなぜハンクを殺したのか、カネか、恨みか、末期癌の患者を急いで殺したのだろう。
ハンクの病を知らずに殺したのか。

ルーカスはハンクの死後、すぐにハンクの妻マジョリーを訪問して、返済を約束した。
アーチャーがルーカスを訪問して元金と利息を受け取り、その場でルーカスは手形を燃やしてしまった。その時金庫に現金、財宝がいっぱい入っているのを見てルーカスは大金持ちだと知った。

そしてハンクの経営する養豚所でアーニーに因縁をつけていた男が首を切られ殺されていた。ハンクとおなじような殺し方だった。そこにはもう一人、アーチャーと同じ刑務所にいたディックと言う男がナイフを扱う犯罪者で、養豚場でブッチャーをしていた。ホテルにも養豚場にもマネージャーの姿はなかった。

そして事件の捜査が進展しない中、今度はルーカスが自宅で殺されているのが発見されたのだ。

ハンクが破産状態だったのに対し実はタトルは大金持ちだった。彼の土地から石油が出て、借金どころか、金庫には多額の現金、貴重な金貨等が入っていたのだが、それが全て無くなっていたのだ。何者がルーカスを殺し、現金を持ち出したのか、

ルーカスを何故、誰が殺したのか、ハンクの殺しとの繋がりはあるのか、それとジャッキーはなぜハンクと一緒に行動していたのだろう。
アーニーがディックと前科者に襲われたりしてまた話は複雑になります。

おまけにアーニーが突然荷物をまとめ、姿を消したのだ。なぜ姿を消したのか。
ジャッキーとアーニーはどういう関係なのか、前科者たちがアーニーの世話でハンクの養豚場に雇われていたのか。いくつもの話が絡み合ってくるのです。
あとは読んで楽しんでください。
読んでいて実に面白いです。
当時の時代を思いながら、読めば一層面白いと思います。

また、最後にアッと言うようなハッピーな「終わりかた」はイイですね。

アーチャーは男性から好かれるのはもちろん、女性からも皆に好意を持たれます。
そんな純粋で、ユーモア好きな堂々とした明るい性格の好青年です。
好みの煙草は「ラッキーストライク」!マイク・ハマーのラッキーストライクを思い出したなあ!
次回作が楽しみです。もう書きはじめているそうです。

舞台が1949年頃ですから、ケーリー・グラント、クラーク・ゲーブル、キャサリン・ヘップバーン、ジャッキー・ロビンソン、アイゼンハウワー、ボブ・ホープ、アンドリューシスターズ、ビング・クロスビー、フランク・シナトラの名前が出てきます。
本当に面白いです!  (420頁)


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