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2019年11月10日11:13

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映画「子宮に沈める」ネグレクトなんかじゃない。

朝、目を覚ますと病室のベッドの上にいた。4歳くらいのころのことだ。また、幼稚園に行く間際にいきなり母親に本気で首を絞められた。全部事実である。筆者の幼年時代は普通の人の青春時代ほど重かった。白痴というか、首を絞めているときの母親がすこぶる美人に見えた覚えがある。筆者と妹は養護施設を通して里子に出された。母親は松沢病院に
措置入院させられた。

「子宮に沈める」。この作品は関西で実際にあった二児遺棄事件を礎にしている。オープニングはどこにでもいそうな二児の母。いや。過剰なまでに家事を演出するパワフルなお母さんだった。ただ、経験はないが育児とは大変な模様を各所に抽出し、見るものをうんざりされられた。キャラクターの絵の入ったお弁当など、どこまでが演出で、どこからが事実の引用かは不明なまま日常は進行する。

三歳児の幸は弟想いの優して女の子。保育園には通っていないようだ。そして弟のそら君一才。夫は仕事漬けの毎日で家事に見向きもしない。たまに帰ってきても、書類の忘れ物を取りに来るくらい。夫婦は離婚して、シングルマザーとなった母親はアパートに引っ越しする。高校時代の友人のキャバ嬢が夜中やってくる。大声を上げて子供の睡眠を阻害するかのよう。私も子供ほしいな、とかてめーには無理的な発言を連発。さらにはキャバ嬢にならないみたいな勧誘までしてくる。一方母親は医療事務の仕事で手に職をつけようと勉強していた。この対照的なふたりの友人関係もこの作品の好き嫌いをハッキリ二分する場面である。

母親は次第に夜な夜な男を家に連れて帰ってくる。かなめはイチゴが好きな幸のためにショートケーキをお土産に持ってくる。そして夜、男と女の関係を見た幸は翌朝、弟そら君相手に母親たちの営んでいた体技を再現する。母親は如実に派手になっていく。

「今日は何食べたい?」と聞く母。「オムレツ」と答える幸。「チャーハンでもいい?」と手順で楽な料理を数日分提供して、部屋の隅々に目貼りをして外へ出かけてしまう母。
姉弟の二人だけの生活ははじまる。幸はお腹のすいた弟のために母がそうしていたのと同じ要領で粉ミルクを提供する。しかし次第に少なくなっていくチャーハン。しまいに幸は色粘土を頬張り餓えをしのぐありさま。母親を呼ぶ健気な叫び。弟そら君は誕生日の夜に餓死し、固くなってしまう。テレビのブラウン管では砂塵が流れる。砂塵は胎内にいる赤子が聞く音としてのメタファーか。

ハエの飛び交う一室に母親が帰ってきたころにはそら君の周りにはうじまで沸いていた。母はそんなそら君の顔面と頭部をガムテープで覆い、果ては洗濯機の脱水にかける。幸は母の帰りを喜びながら裸にされ湯張りした風呂の中で溺死させられる。さらには、この母親はまたある生命を胎内に宿していた。が、編み物用の鍵針を膣内に挿入し堕胎させる。ここまでくると人間の威厳などどこへやら。昆虫の生態より尚ひどい。およそ生き物のする所業ではなくなってきていた。

ネグレクトなんて言うとかっこが良いかと思うが児童虐待は人殺しの次に非人道的行為だ。筆者も似たような案件の中で育ってきたが、ことが事だけに成長するにつれ親への猜疑心はかなり持ち合わせた。こんな映画が世に出回らないような法整備、国家対策が急務である。
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