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2019年10月22日15:11

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映画「太陽がいっぱい」~策士策に落ちる

幼いころからトムは器用だった。一見下品で貧乏育ち。
トムと資産家の息子フィリップは青年期を共に過ごした友だ。しかしこの貧富の差に芽生えた惡の華はたちまち蔓を伸ばしていた。

ローマ市街の路上レストランからシーンは始まる。あっさりと他人のサインを署名するトムの腕前にフィリップも舌を巻いた。まさか自分の遺産がこの器用さから奪い取られることも知らずに。

フィリップにはマリーという女子大生の恋人がいた。いな、婚約者だったのかもしれない。トムはひそかにこのマリーにあこがれていた。フィリップとマリーの間を割くべく対策も着々に進めている。酔っておどけるフィリップの上着のポケットに、とある夫人の落としたイヤリングをこっそり忍ばせたのもそのためだ。

太陽はまだまだ盛りを迎えるには早かった。旅先でヨットを漕ぐフィリップ。お目付け無役でトムも同行している。恋人二人は船室の中で甘い愛の戯言を交わしていた。船上でひとり残されたトム。やがてフィリップの上着のポケットにイヤリングのあることを感づくマリー。フィリップのわがままにも嫌気がさしていたマリーはこのイヤリングと 恋人の隠し事にナーバスになった。二人の間に亀裂が入るのに時間はいらなかった。ヨットから去るマリーは後ろ髪惹かれる思いで地上の人になった。

じつはこんなことになる前にフィリップはトムに対してた意外な仕業を犯していた。というのはトムを救助ボートにひとり乗せたまま、そのクレモナロープを解いてしまっていたのだった。閨中を楽しんだ二人がトムの不在に気付いたのは太陽が西に傾き始めたころだった。背中から腕にかけてやけどを負ったトムの心の中には、殺意こそなかったが、それに限りなく近い感情がジリジリトうごめき始めていた。

マリーのいなくなってトムはフィリップとただ二人になる。トムの中でそろばんはすでに弾かれていた。ポーカーゲームの合間にナイフでフィリップの急所をえぐった。カメラはこの瞬間をフィリップの片手のみ捉えてその嗚咽を冷酷にも観客に提供していた。


一人ぼっちの天下となったトムはヨットを扱い繫留。これからトムはフィリップと化してあらゆる手練手管で人目を欺きパントマイムを演じ始める。

一人殺すもふたり殺すももはや一緒とばかりに、フィリップの見えない姿を追うものをも殺害し、証拠隠滅に気を吐く。やがてフィリップは遺書を父に送り付け失踪者のごとき身として周囲から認識される。恋人マリーも泣くにはな泣くが、いつしか心はペテン師トムへと曳航されていく。

遺産はマリーに。そしてマリーはトムのものに。そんなある昼下がり、マリーは遺産として引き上げられるヨットの競売に立ち会うためトムとしばし別れる。そんなつかの間、太陽は無言で、しかも多弁にトムのシナリオを白日の下にさらそうとしていた。策士は作名落ちるを地でいくトムの満足顔がラストを飾る。
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