構想から完成まで約30年の紆余曲折を経て、テリー・ギリアム監督が完成させた作品。
「未来世紀ブラジル」、「12モンキーズ」、「Dr.パルナサスの鏡」などの、映画通を唸らせる作品を撮った鬼才の作品とあって、とても期待してました。
題材になったセルバンテスの「ドン・キホーテ」は、自分が騎士だと思い込んだ老人が従者を従えて冒険の旅へと旅立つ物語を描いた古典的な名作小説。
大筋は原作小説をなぞっていますが、ギリアム監督の独特な「夢と現実が入り混じったファンタジー」になっています。
この作品、というかギリアム監督作品は好みが分かれるので、見る人を選びます。
英国の伝説的コメディ集団「モンティパイソン」というのがありまして、監督はそのコメディ集団の出身です。
「モンティ~」は英国独特なブラックユーモアあふれるギャグが持ち味で、アメリカ人の「アメリカン・ジョーク」が日本人に「何が面白いの?」かが分からないのと同様に、日本人にはウケが悪い。
そんなギリアム監督の作品なので、誰にでも楽しく鑑賞するのは難しい…、のかもしれません。
正直なところ、狸もあと何度か見ないと正しく理解できない。
例えるならば、スルメを何度も何度も噛んでみて、その味の本当の美味しさを味わえるように。
まぁ、そこがギリアム監督作品の醍醐味だと言えますが。
作中で出てくるイスラム教徒の不法滞在者のシーンは、舞台がスペインというところから、イスラム教徒に占領された国土をスペイン国民が奪回する国土回復運動「レコンキスタ」を連想させられました。
現在のヨーロッパでも、外国人の不法滞在者は問題になっています。
他にもLGBT(←意味は各自で検索してください)にちょっとだけ触れていたり、ウォッカを製造する会社が金儲けの為にムスリム(←意味は…略)に売りつける事を目論んだり…。
主人公と彼が想いを寄せる女性が、大富豪から屈辱的な仕打ちを受けるシーンは、今も昔も変わらない「格差社会」の縮図でした。
ブラックな、知的な社会風刺が効いています。
ラストシーンを見ていて、「果たして主人公は最後に幸せになれたのか?」。
考えさせられます。
面白かったw
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