ヨーロッパで最も由緒のある某国の王女アン(オードリー・ヘップバーン)は、ヨーロッパ諸国を表敬訪問中に、堅苦しい儀式の連続に参ってしまい、ついにローマで泊まっていた宮殿から飛び出してしまう。
行く宛のない彼女が路上にあるベンチで眠っていた時、偶然通りかかったのは新聞記者のジョー(グレゴリー・ペック)。
ジョーは最初は「変な女に絡まれた」と困惑するが、彼女がアン王女だと分かると態度を一変、「王女のプライベート」のスクープ記事をモノにしようと、アン王女をローマの街に連れ出すが…。
ウイリアム・ワイラー製作・監督、オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック主演の、ロマンティック・コメディの傑作。
公開は1953年と古い作品なのですが、ユーモラスな演出は今見ても笑えるし、わずか1日足らずの短い間の王女と記者のロマンティックな出逢いと別れは、これからも見る者の心を惹きつけてやまないでしょう。
「そんな古い映画なんて、DVDで見てもいいんじゃない?」、そんな声も聞こえてきそうです。
作品は著作権が切れてパブリックドメイン(誰にも所有権が無い公共のモノ)になっていて、YouTubeでも見られます。
でもね、この作品は「映画館の広いスクリーン」で見て、その真価が発揮されるんですよ。
ロケが行われたのは、スペイン広場、コロッセオ、真実の口などの、現在でも有名な観光地。
映像を見ていていると、オードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペックと共に、ローマの街を散策しているような気分になります。
ヘップバーンがスペイン広場で食べていたジェラート、カフェで飲んだいたシャンパンの美味しそうなこと!
この作品を見る時、スペイン広場にあった時計に注目してみてください。
ワイラー監督がヘップバーンの演技に納得がいかなくて、何度も撮り直したのは有名なエピソード。
撮影中、始終怒られてぱなっしだったヘップバーンを見かねて、グレゴリー・ペックはイタズラを思いつきます。
有名な「真実の口」のシーンで、新聞記者の右手が「食べられて無くなる」のはアドリブ。
シナリオに無い展開に驚いたヘップバーンが、慌てたり目に涙を浮かべて安心していたのは、演技ではなく彼女の素の表情。
最初は我儘で子供っぽいアン王女が、ラストでは凛々しい王女の品格を備えて成長していたところは、彼女の成長を間近に見ているようで胸を打たれます、
「午前十時の映画祭」も、今年で終わり。
新作映画も、もちろん面白いのですが、古い作品にも面白い作品がたくさんあります。
この作品を劇場で見た時、100席程の小さな箱の約半数が老若男女の観客で埋まっていました。
何度も見たであろう年配の観客も、初めて見たであろう若い観客も、みんなが笑いながら見てました。
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