mixiユーザー(id:1418555)

2019年01月21日02:55

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暗黒街のふたり(73年、仏)

主演は38歳のアラン・ドロンと69歳で、3年後には亡くなるジャン・ギャバン。
タイトルは知ってたけど、ドロンとギャバンならどうせ老ギャングと若いギャングの湿っぽいフィルムノワールなんやろと思って、見たことがなかった。
Bプレで「冒険者たち」と続けてやってたから録画して見てみたらまったくそんな内容やなくてびっくり。

監督は元ギャングで、死刑宣告まで受けたけど恩赦になって作家活動を始めたジョゼ・ジョバンニで、67年の「冒険者たち」の原作者でもある。
強盗で12年の刑に服していたジーノは保護士カズヌープの尽力で刑期を2年残して仮出所することになった。
花屋を営む美しい妻との生活を10年ぶりに再開したジーノは二度と悪事には手を染めないと誓い、カズヌープのサポートの元で市民生活を始める。
ところが、平穏な日々は長く続かず、交通事故で妻を亡くしてしまってからは、虚脱状態になってしまう。
無気力な様子を案じたカズヌープは自らの新しい赴任地へジーノを招き、地元の印刷所で働かせることにした。

仕事にも慣れ、カズヌープ一家との交流を通じて温かい心を取り戻し、新しい恋人まで出来たジーノの前に、以前、ジーノを捕まえたゴワトロー警部が現れる。
そうやって猫をかぶっているが、どうせまた悪事を働こうと企んでいるんだろ。
勝手に決め付けたゴワトロー警部は、ジーノを執拗につけまわすようになった。
あまりのしつこさにノイローゼ気味になってしまったジーノは、はずみでゴワトロー警部を殺害してしまう。

逮捕され、裁判にかけられるジーノ。
弁護士とカズヌーブはゴワトロー警部のほうにも問題はあったと必死で弁護するが、どうせ元々犯罪者だと偏見の目で見ている陪審員にその声は届かず、次から次へと不利な証言も出て、死刑宣告を受けてしまう。
その後、大統領に減刑の嘆願をしたがかなうことはなく、ジーノはあえなくギロチンの刑に処せられる。

フランスでは73年の時点でもまだギロチンが使われていたってのにも驚いたけど、一審で判決が出たらそのまま日を経ずして死刑が執行されるってのにもびっくり。
もちろん、いまから45年も前の話やけど、その頃でも日本なんかはもっともっと慎重やったはず。
いま、死刑制度を廃止してたり批判する中にフランスも含まれてるけど、映画の中とはいえ、あんだけあっさりやってたらあとからあれはおかしいんちゃうかって疑問も湧いてくるわな。

ジーノの事件の場合、公平に見れば、殺してしまったことはあかんにしても、そうせざるを得ない、そうする以外ないところまで追い込んだのはゴワトロー警部の常軌を逸した行動、いまで言うところのストーカー行為なだけに、殺人ではなく傷害致死、もしくは過失致死に減じられ、長期の有期刑が妥当のはず。
そういったことがまったく考慮されることも話し合われることもなく、どうせそんなやつだろうとの予断の元に殺人で死刑宣告を受けてしまったってのは、あまりにも乱暴すぎる。
犯罪者にも人権はあるはずやし。

見終わってから、なんとなく「私は貝になりたい」を思い出してもた。
それにしても、この時代のモノクロのフランス映画はなんともいえない味があってええな。

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