少年院に思う。

「話し方教室」と言う市のサークルに入会してそろそろ1年になる。
月に２回あるそのサークルでは14日の土曜日に「最近あったこと、思ったこと」と言うテーマをふられた。

80代のご婦人の番になった時だ。
「先日、少年院に居る孫に会いに行ってきました」
淡々とそう話し始めたものだから、私は驚いた。

え？え？え？
そ、そ、そんなこと話していいんですか？
その場にいた会員はおそらく全員、顔には出さずとも私同様かなり驚かれたと思う。

そのご婦人はとても上品で、博識で、ご主人とスイスに海外赴任をされてた若い時もドイツ語を勉強されていたと言うくらいのインテリだ。
多分彼女はそんなお孫さんの存在を恥と思うことなく受け入れられるほど、とても愛していらっしゃるのだろう。
「何しろ無免許なのにバイクを盗んで乗り回した上に、万引きまでしたということですので…」

少年院という所がどんな所か知る由もないだけに、我々はどうしてもぼんやりと刑務所に近いような所を想像してしまうが、それは彼女も同じだったらしく、それだけに行ってみて彼女はとても驚いたらしい。
何でも非常に清潔感があって明るく綺麗で緑も多く、開放感を感じさせる造りになっていたのだとか。

面会に出てきたお孫さんはそこで高校卒業資格が取れる勉強をしていると言い、大学受験も考えていると言って、とても前向きだったらしい。
元々お孫さんは勉強はできたらしいから、悪い仲間と出会ったしまった結果だったのではないかと思う。

その悪い仲間から彼はオレオレ詐欺の受け子のバイトを振られたことがあったらしい。
その時彼は「おじいちゃんやおばあちゃんに可愛がってもらったから、年寄りを騙すのだけは嫌だ」と言ってそのバイトを断ったとか。
それがご婦人にとっての唯一の救いだったようだ。

それならおじいちゃんや、おばあちゃんを泣かすようなことはしないで欲しかったと思ってしまうが、10代の頃の自分を振り返ると馬鹿なことをして親を悲しませたのは私とて同じ。
後付けで偉そうなことは言えない。

「孫はADHD(多動症)なんです」とも打ち明けられたので、彼女は小さい時からお孫さんのことで悩まれてはいたと思うが、お孫さんを常に温かい目で見てあげられたと思えるそのご婦人には頭が下がった。

でも少年院てそんなに快適な場所だったの？
もしかしたら少年法が改正されたから、少年院も収容される年齢とかも含めていろんなことが変わったの？

正直そう言う話を聞いた時、私はいささか複雑な気持ちになった。
と言うのも次男が高校生だった時に下記のようなことがあったからだ。

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1975895689&owner_id=14108240

もとより少年院は未成年の更生が目的。
であればこの時お巡りさんが「問題のある親から引き離した方があの子のため」と言ったのはまさしく正論だったのだが、当時の私は少年院に懲罰を求めていたし、そう言う所だとも思っていた。

だからそれを私は今、ちょっと恥じている。
もちろん次男が無事だったから思えることだが…